今日も例の道を歩いていた。
別に期待なんてしてない。してないけど――あ、いた。
イギリスが、また同じ場所に立っていた。
その手には、またもや花束。まさかとは思ったけど、あいつは本当に持っていた。やれやれ。
仏「……またかよ。お前、もしかして花屋に就職でもした?」
英「してません。そもそも、こんな安月給で花なんて買いませんよ、普通は」
そう言いながら、今日の花を僕に差し出してきた。
薄いピンクの、やわらかくてちょっと儚げな花――スイートピー。
仏「……また花言葉狙い?」
英「さあ、どうでしょうね」
そう言ってるくせに、顔が赤いの、ばれてないと思ってんのかな。
仏「これ、あれだろ。“門出”とか、“優しい思い出”とか」
英「調べるの早いですね、意外とマメなんですか」
仏「僕がマメじゃなかったら、あんたなんかと何百年も付き合ってないって」
英「……そうですね。貴方は、そういう人です」
その声が、なんだかいつもより静かだった。
いつもならもっと好戦的なのに。
仏「……おい、なんだよその顔。なんかあった?」
英「……いいえ、ただ少し、疲れてるだけです。」
見慣れた皮肉っぽい笑みじゃなくて、どこか遠くを見るような目をしていた。
でも、僕が心配そうな顔すると、すぐに取り繕うように笑う。ああ、まただ。
仏「っていうか、疲れてるなら休めよ。こんなとこで花なんか渡してる場合か?」
英「……いえ。これを渡すのは、大事なルーティンですから」
仏「……へえ、そう。ふーん」
なにそれ。なにがルーティンだよ。こっちはお前のその曖昧な笑顔に、いちいち振り回されてんのに。
仏「……ま、悪くはないけどね。今日の花も。似合ってるよ、お前」
英「……なんですか急に。気持ち悪い」
仏「言わなきゃ言わないで拗ねるくせに」
英「拗ねてませんーそして拗ねませんし」
ほんとに、めんどくさいやつだな。……でも、嫌いになれない。
スイートピーのやさしい香りが、こっちまでくすぐってくる。
仏「じゃ、また明日な」
英「ええ。……また明日」
仏「また明日…か」
仏「会えたらいいな、ボソッ」
いつもより少しだけ長く残ったその声が、
コメント
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このカプやっぱ大好き…。 神すぎて死ぬ