どうも!黄粉です!
ここ最近、指先が凍るぐらい冷たくて困っちゃいますよね…?(多分、末端冷え性)
そろそろカイロの時期ですな〜
それでは!
スタート!
夜明け前の空は、黒い雲を裂きながら光を孕んでいた。王城の尖塔では、鐘が鳴り続けている。
ラッダリア王国の崩壊を告げるように。
血と煙の匂いが漂う中、らっだぁは剣を杖代わりにしながら進んでいた。肩の傷口から血が滴る。
それでも足を止めなかった。
最上階、玉座の間。
そこに、“すべての始まり”が待っている。
rd side
扉を蹴り開けると、そこにいたのは金豚きょー。
漆黒の魔導陣の中心で、王の杖を手にしていた。
その背後には、倒れ伏した兵士たちと燃え上がる書類の山。
金豚きょー「やはり来たか、らっだぁ。」
「全部……お前の仕組んだことだったのか。」
金豚きょー「仕組んだ? 違う。導いたのだよ。“真実”へな。」
金豚きょーの声は、どこか陶酔していた。
杖の先端で魔力が渦を巻く。
金豚きょー「五年前――王国は崩壊寸前だった。」
金豚きょー「だから私は選んだ。“英雄を生け贄にする”ことで、秩序を守る道をな。」
「その犠牲が……ぺいんと、だったのか。」
金豚きょー「そうだ。だが、彼は死ななかった。」
金豚きょー「今や、彼は“復讐の神”の器となり、再びこの国を燃やそうとしている。」
金豚きょーの笑みは、狂気と誇りの狭間にあった。
金豚きょー「面白いだろう? 正義も悪も、すべて私が創った幻だ。」
金豚きょー「お前たちは、ただそれを演じていただけだ。」
「――ふざけるな!」
らっだぁの声が震える。
剣を構え、足を踏み出す。
金豚きょーは楽しげに腕を広げた。
金豚きょー「来るがいい、偽りの英雄よ。」
金豚きょー「この世界を終わらせる“鍵”を、お前に授けてやろう。」
その瞬間、天井が砕け、蒼黒い光が降り注ぐ。
空から現れたのは――ぺいんと。
黒き鎧に包まれ、背に紅い炎の翼を背負っている。
ぺいんと「やっと見つけたぞ……らっだぁ。」
その声には怒りと、哀しみが混ざっていた。
「ぺいんと……もうやめろ。」
「全部、金豚きょーの――」
ぺいんと「知ってるさ。」
らっだぁは息を呑んだ。
ぺいんと「全部ッ…知ってる…」
ぺいんと「けどな……それでも俺は、お前を許せねぇ!」
黒炎が翼から吹き出す。
ぺいんと「俺を“殺した”のは、お前じゃなくても――」
ぺいんと「信じたお前が、俺を殺したんだ!」
ぺいんとが剣を構えた瞬間、金豚きょーが笑い声を上げた。
金豚きょー「いいぞ……! 憎しみが二人を結ぶ!」
金豚きょー「それこそが、“蒼の誓約”の真の力だ!」
玉座の後ろに浮かぶ魔導陣が輝く。
封印が解かれ、王国の魔力が暴走を始めた。
空が裂け、蒼と紅の光が世界を染める。
剣と剣がぶつかる。
火花が散り、床が割れた。
ぺいんとの一撃を受け流しながら、らっだぁは叫んだ。
「お前の怒りは、誰のためだ!?」
「王国のためか!? 自分のためか!?」
ぺいんと「……そんなこと、もうどうでもいい!」
「違うッ!!」
「それでも………」
「俺たちは同じ場所で戦った仲間だったはずだろ!」
ぺいんとの剣が止まる。
わずかに、揺らいだ。
ぺいんと「仲間……? そんな言葉、もう信じられねぇ……」
金豚きょーの笑い声が響く。
金豚きょー「感情など無意味だ。復讐こそが神の意志――」
その瞬間。
ぺいんとの瞳が、金豚きょーを射抜いた。
ぺいんと「黙れ」
黒炎が爆ぜ、ぺいんとは魔導陣へと歩み寄る。
金豚きょーが後退る。
金豚きょー「何をする気だ……!? お前も滅びるぞ!」
ぺいんと「それでいい…」
ぺいんと「この国も、この俺も……お前の作った“偽り”と一緒に消えればいい。」
ぺいんとが剣を掲げる。
蒼と紅の魔力が交差し、空が裂ける。
らっだぁは叫んだ。
「やめろ! そんな終わり方、誰も望んでない!」
「……お前がまだ信じてるのか、“正義”なんて。」
沈黙。
らっだぁは剣を地に突き、ゆっくりと膝をついた。
ぺいんと「信じてるんじゃない。」
ぺいんと 「……取り戻したいんだ。」
ぺいんと「お前と笑っていた頃の俺たちを。」
その声に、ぺいんとの動きが止まる。
剣の先が震え、涙が一滴だけ零れ落ちた。
だが、金豚きょーが吠えた。
金豚きょー「くだらん情に流されるなッ!」
魔力の奔流が暴走し、床が崩壊する。
蒼の光が天へと走り、王城を飲み込む。
らっだぁは、咄嗟にぺいんとを抱き寄せた。
「このままだと……!」
ぺいんと「行け……らっだぁ。」
「何言ってッ……」
ぺいんと「俺が止める。お前は、生きて……」
ぺいんと「“本当の王国”を創れ。」
「やめろッ! 一緒に……!」
ぺいんと「もう遅いよッ…」
ぺいんと「……だからせめて、お前に“信じること”を託す。」
ぺいんとが微笑んだ。
あの、五年前のように。
そして、黒炎が彼の身体を包み込んだ。
「ぺいんと……ッ!!」
光が弾け、世界が白に染まった。
rd side
数日後。
焼け落ちた王都の跡地で、らっだぁは立ち尽くしていた。風が吹き、灰が舞う。
「俺は……何を守ったんだろうな。」
背後から、コンタミの声がした。
コンタミ「あなたは、滅びの中で“希望”を残した。」
コンタミ「それで十分です。」
らっだぁは空を見上げる。
蒼い空の中に、一瞬だけ紅の羽が舞った。
「ぺいんと……また会おう。」
「その時はもう、誰も裏切らない世界で。」
風が吹き抜ける。
それは、まるで答えるように優しかった。
ラッダリア王国、滅亡。
だがその名は、やがて“新たな王国”の礎として語り継がれるのだった。
二人の英雄の物語とともに。
見てくれてありがとうございました!
これにて
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