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#クイズノック
あお
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暇人
359
58
kwmr×ymmt
ymmt視点
河村さんが亡くなった。
車に撥ねられて。
僕の目の前で。
あっという間のことだった。
空中をくるくると舞って。
儚く散った。
最期の表情は穏やかだった。
それだけが、救い。
それだけが救い。
………そう言えるのか。
『僕のせいだ。』
あの時、僕は隣に居た。
帰り道、河村さんが車道側を歩いていて。
雨の夜の事だった。
視界も悪く、背後から迫り来るトラックに気付かなかったのだ。
飲酒運転、ハンドルが逸れたのだ。
皆、僕が悪くないと口を揃えて言った。
でも。
あの時僕が車道側を歩いていれば。
あの時僕が気付いていれば。
あの時……。
でも、それはたらればにしかならない。
過ぎてしまった事だ。
何日が経っただろうか。
あの日から、僕は家から出られなくなった。
何をしても河村さんのことを思い出して、手が付かない。
最後にご飯を食べたのがいつかも思い出せない。
目が醒めた。
スマホを見る。
日付が。
戻っていた。
あの日、河村さんが亡くなった日。
今なら、
救えるかもしれない。
帰り道。
僕は車道側を歩いた。
もう少しで暴走するトラックが来る。
後悔はない。
河村さんを救えるなら。
ヘッドライトで照らされた瞬間。
僕は力いっぱい河村さんを突き飛ばした。
激しい衝撃で意識が薄れていく。
……はずだった。
『…なん、で…』
河村さんが 車に撥ね飛ばされた。
『河村さんっ!』
慌てて駆け寄ると、河村さんは口を開いた。
河「…………。」
『っ、』
kwmr視点
世界が繰り返している。
あの日ー山本が死んだ日からだろうか。
珍しく、あの日は泣いた。
一緒に歩いて居て、如何して救えなかったのだろうかと。
泣いて、泣いて。
泣き疲れて。
ようやく、僕は山本の事が好きだったのだと気付いた。
遅かった。
山本はもう、居ない。
でも、次の日オフィスに行くと。
山「おはようございます、河村さん」
山本が居た。
その時、時間が戻って居る事に気付いた。
其れから。
何度も山本を救おうとした。
でも。
その時間オフィスを出ないように引き留めると心臓発作に。
早く帰らせると家が火事になって。
何十回も繰り返して。
気付いた。
其の時間に誰かが死ぬ事は覆せないのだと。
「運命は、従う者を導き、抗う者を引きずっていく。」
— セネカ
こんな言葉を思い出した。
だったら。
其の日。
僕は、いつもと違う選択をした。
最期に見えたのは、山本の顔だった。
山「河村さんっ!」
善かった。
君を救えて。
あぁ、初めからこうすれば良かったんだな。
僕は微笑み、静かに眼を閉じた。
ymmt視点
あれから。
僕は引き篭ろうと思った。
死のうと、何度も思った。
でも、其の度に河村さんが最期に言った言葉を思い出す。
“山本は、生きて。”
“それで、僕は幸せだから”
其れが頭を過ぎって。
まだ、生きようって思うんだ。
だから。
僕は今日も、生きている。
河村さんがいない世界を。
河村さんが残してくれた時間を。
いつか。
何十年先か分からないけど。
僕が其処に行くから。
待っててね。
ずっと好きだったよ。
今も。
そして、これからも。
コメント
5件
う、うわぁぁぁ(泣) めっちゃ切なすぎません!? 最初から結構なインパクトあったけど、いやぁ、まじかぁ、すごいです、こんな上手な小説が書けるの もう、好きですマジで!!
すんごい好きです…… どっちが何を選択しても救わへないの、辛いけどすっごい好きです……
うわあ……これ、お互いがお互いを救おうとして、最後に河村さんが自ら犠牲になったんだね。ymmtの「僕のせいだ」から始まる自己否定のループ、そしてkwmr視点で「何十回も繰り返して気付いた」ってところが切なすぎる。セネカの引用の使い方、すごく効いてた。運命に抗った結果、一番好きな人が代わりに逝く……でも、その最期の言葉でymmtが生きる決意をする構成が美しい。あおさん、この静かな残酷さと温かさが同居するバランス、本当に巧いです。