時は、大体補修中のノートンが無咎先生に叱られ・・・んんっ、補習で指導されていた頃に遡る。
イソップside
「と、いうことで」
僕ら全員をとりあえず正座させた後、イライさんが言った。
「とりあえずこれから僕らで仲直りの人狼ゲームをします。」
・・・いや、寧ろ仲悪くなりません?これ。
「あの・・・これなんか更に仲悪くなりそうじゃないか?」
「僕もナザニールと同意見だね」
「僕もめちゃくちゃムカつくけど兄さんとおんなじ意見。」
「いちいちムカつくなお前」
「はい、言ったそばから喧嘩しない!」
「「すみません」」
この学校・・・・やっぱり変な人しかいないのか・・・?
「「「はぁ・・・」」」
・・・ん?・・・なんか溜息がハモったような・・・?
聴こえた方をとりあえず見る。
名前は知らない人たち2人と目が合う。
「・・・」
反射的にシュッと目をそらす。
「「あっ」」
何、目を逸らしただけじゃないですか。
まあ、なにか誤解されていても面倒なので、とりあえず答える。
「・・・なん・・ですか」
「いや・・・別に」
なんだ、ただのツンデレ(仮)か。
「はぁ・・・エドガー・・・」
なんだ、ただのまとも枠(仮)か。
「用がないなら・・・これで・・・。話遮って仕舞っている・・・ので。」
3秒待ち、返答がないことを確認した後、僕はイライさんに
「・・・続けていい・・・ですよ。」
と伝えた。
イライさんは一つ頷いて続けた。
「と、言うことでこれから人狼ゲームを始めます。GMは・・・」
そこまで言って言葉に詰まってしまったみたいで、数秒黙り込んだ。
しばらくして、イライさんは、「アプリに頼もうか」と微笑んだ。
しばしの沈黙。各々思うことがあるのだろう。
知らないですけど。
沈黙が大体5秒くらい?続いた頃、さっき無関係なくせに僕のことを追っかけてきてしかも最後には首根っこ掴んでここまで連れてきた・・・誰だっけ?・・・いて・・・いと・・・いた・・・い・・・いた・・・いたく・・・いた・・・イタカ!
イタカさんが口を開いた。
「ちょっと!名前わからん!・・・まあいいや!怪しい人!」
とイライさんに叫んだ。
「何でしょうかイタカさん。あと僕はイライです」
冷静にツッコみつつ返答するイライさん。
流石というか、何と言うか?
陽キャ(仮)ってすごい
「じゃあイライ!僕人狼ゲームって逆に仲悪くなりそうだと思うんだけど?」
ごもっともである。
僕は心のなかで全力同意する。
「僕もそう思うかな。先輩**”たち”**からの助言だと思って人狼は辞めた方が良いと思うな。」
「僕も。・・・・って・・・ん?」
先ほどエドガーと呼ばれた男子生徒が疑問符を浮かべる。
「どうしたんだい?エドガーくん」
僕が首根っこを掴まれているときに確かルカと呼ばれていた男子生徒が、
「ん?(どうしましたか?)」
確かいつかビクターと呼ばれていた男子生徒が、
「どうしたんだよ・・・」
え〜っと・・・名前呼ばれてるの聞いたこと無いな・・・白兎っぽいし・・・白兎さん(仮)ってことで、白兎さん(仮)が、
「「ん?」」
イタカさんと、イタカさんに顔がよく似た・・・おそらく双子の兄弟とかなんだろうな・・・こちらも名前はわからない。
とりあえず、発言の当人の2人も疑問符を浮かべる。
「いや・・・先輩**”たち”**って・・・?確か学年・・・」
「?忘れたのかい?/忘れたの?」
ルカさんとイタカさんが、エドガーさんに問う。
「イタカは留年してるじゃないか/僕は留年してるじゃないの」
「あっそっか。」
エドガーさんがスパンと納得する。
「珍しいね?エドガーくん記憶力エグいのに」
ルカさんがニパと笑ってエドガーさんに言う。
「なんか言い方悪い」
ルカさんにジトッとした目を向けているエドガーさんを見たとき、ふと後ろが騒がしいことに気が付いた。
・・・・・なんか喧嘩してるゥ〜・・・
「あっ..あっ…えっ..と..」
いつの間にかあちらの会話を見ていたグランツさん(※さっきエドガーたちに全員の名前を教えてもらった)があわあわしている。
ああ…喧嘩がどんどん燃え上がっていく・・・
(僕・・・もう帰ろうかな)
そんなふうに思ったその時。
『イライさん、イタカさん、ナザニールさん、落ち着いてください・・・!』
グランツさんのスマホからスマホが出せる最大音量で電子音声が流れた。
(だめだ、全く聴こえていないみたいだ。)
割と大きな音だったと思うのだが・・・
それからも何度かその電子音声が流されたが、どれだけ流しても彼らの耳には届かなかった。
(・・・あの人達耳大丈夫なんでしょうか?耳鼻科紹介しましょうかね?)
一向に終わらない地味に声がデカい口論に僕もイラつき始めていた。
その時。
「ッ、いっ..たか…さんッ・・・ナザっ、、、」
グランツさんが3人に向かって話し始めた。
(・・・なんか話の話題変わってないですか?)
いやいや、そんな事はどうでもいいんだ。
グランツさんが必死に喋っている。のに、矢張り彼らの耳には届かない。
僕は今日ここで彼らに出会ってから、一度もグランツさんが筆談や電子音声以外で話しているところを見たことが無い。
つまり、何らかの理由で話すのが苦手なのでは?
そう仮定すると、それでも必死に話して彼らを止めようとしている彼の声が彼らに届いていないのはなんだかイヤだ。
気が付くと僕は口論の声に負けないくらいの声量で彼らに声を掛けていた。
「「「?」」」
その言葉を聞いて漸く気が付いたのか、もはや半泣きのグランツさんに彼らは視線を向ける。
僕がそう問うと、グランツさんはコクリと頷いた。
3人は困った顔をして顔を見合わせた。
僕は自分でも驚くくらいに早口で捲し立てるように話していた。
(これくらいにしておこう・・・というかもうやだこれ・・・)
そう考えた僕は最後に
と言って、部室の2階へ上がった。
エドガーside
(驚いた・・・あの人、あんなに声出るんだ・・・)
階段を登るイソップさんを横目に、僕は改めて驚く。
(さて、あいつらはちゃんと謝ってるだろうな?)
僕は3人の方を見る。
「ビクター /ビクターくん/グランツさん、」
「ごめん・・・/ごめんなさい・・・/すみません・・・」
3人から一気に深々としたお辞儀(ナザニールだけは何故か土下座だけど)とともに謝罪されて逆にアワアワするビクター。
3秒ほどして、ビクターは答えた。
「だい・・・じょ、ぶ・・・ですの・・で、その・・・なざ・・・にーる、さん・・は…土下座…を、辞めていただいて・・・後の方々・・・も、顔を、、、上げて・・・ください」
3人は顔を上げた後も何度か謝っていて、ビクターを困らせていたが、本人はそれが彼らの意思でがあっての行為だとわかっているので止めはしなかった。
「丸く治まったみたいだね?」
気が付くと真横にルカが立っていた。
「ん。そうだね。」
「・・・私ビクターくんと転入してきたときから仲いいけど声聞いたの初めてかも」
「ふーん。」
心の中でそうなのか、と思いつつ、僕は(珍しく)思ったことを(素直に)口にした。
「・・・可愛い声してるじゃん」
「え、エドガーが珍しく素直・・・明日は雪?」
「失礼な・・・」
何だ、今日は一段と失礼だな・・・
「ふふ、すまないね?」
なんかなぁ・・・
「・・・なんかこっちもこっちでなぁ・・・()」
つい僕はそう口に出す
「えっ、」
驚いた顔をするルカ。
・・・この謎のカオスはこの後数十分続いた。
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