テラーノベル
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急に押し倒してくるから、驚いてその顔を見た。
欲が浮かんでいると思ったのに、そこには何も無かった。
「……お兄さん」
求められることは嬉しかった。
でもなんで、なんの感情も浮かんでいないの? 当てが外れた気分だった。
何度か、夢に見た景色。
現実に起こりうることは無いだろうと決めつけていたことが、今起きている。
お兄さんの顔に、滲んだ欲を探そうとしたが見つからない。欲は無いとするならこれは一体どういうことなんだろう
……分からない
でも、
今までで1番、お兄さんの素に近いところに触れられているような気がする。
「……私は抵抗しないよ?」
多分、このまま私が流されればお兄さんはあとから後悔する。それでいい。
私がお兄さんの心にこびり付くようになれば。
真顔のまま、私の腕を抑える力が強くなっていく。
脳裏に過ぎる、この後の時間。
待ち焦がれていたというには少し違うけど、でも望むものが得られる。
脳の麻痺は甘い痺れ以外を感じさせてくれなかった。
「口開けて」
言われるがまま、餌を与えられる池の鯉みたいに口を開く。
「……馬鹿」
なぜそう言われたのかは分からない。従うなってことなのかなんなのか
悪口とは逆に、お兄さんは 同じように口を開いてこちらに近づいてくる。
開いた口に、口を。
唇より先に舌が触れ合った。
「ん、」
それから、唇。
もう離れない、みたいに舌が絡まる 。
唾液が混ざる。口内の感覚が過敏になっていく。
口に空気が入らない。
相手がそれを許さないくらいに、私を求める。
混ぜられて、絡まりあって、飲み込む暇のない唾液が口元と喉を伝って、呼吸が乱れて、体温が上がる。
……これっていつ終わるんだろうか
なんて奥底で冷静になりかける声がした。捻り潰した。そんなものは感じるだけ無駄で、今を無下にする思考だから早く捨てて。
思考じゃなくて、身体感覚に意識を向ける。
下腹部が疼く。喉が渇く。焦がれる。焦れる。お兄さんの息が乱れている。私と同じ。顔は真顔のくせに。
「、!?」
口内全部舐め取られたと思えば、思考の余白を全部埋められるみたいに、お兄さんの方から唾液が流し込まれる。
驚いて、後ずさろうとして、無理だった。
「んく、ぅ」
正面からの圧からは逃れられない。
思わず眉をしかめる。拷問みたいだよ
口は閉じれないから、流し込まれたものが喉にそのまま伝って、喉が潤う? 口元はお互いにべたべたで、乾いたせいか、不快な匂いが強烈に鼻をつく。この匂いは嫌いだ。
流し込まれるのが止まって、舌の絡まりが外れていく。唇が離れて、その後に舌も離れた。
端正な顔と目が合う……と思ったら顔は右へと逸れて、お兄さんの左腕が私の髪を左へ流すように頭ごと少し左に倒すようにし、て
首筋を噛まれた
「い”“っ、づ、」
これは間違いなく跡が残るななんて思いつつ、痛い。
私の声が聞こえたのか、お兄さんは噛んだ後すぐに離れた。
でも、顔は無表情のままだった。なんなら、悪化しているようだった
目の奥の渇望も、変わらないみたいだった。
理性が残っているのかいないのかどっちなのか。馬乗りの姿勢になってはいるものの、全体重が乗せられているわけではないし。
少し上体を起こしていたら、
お兄さんが近くにあったタオルで口元を拭って、私の口も拭ってくれる。
「……」
ずーーーっと、無表情。
こういうことしてる時って普通、もっとこう、似合う顔があると思うんだけどな。まあいいけど…
タオルを脇に置いたお兄さんは、また私と向き合う。
先程から変わらない無表情
「お兄さん壊れちゃった?」
手を伸ばして、お兄さんの頬をびよーと伸ばす。反応は無し。
大人しく手を離す。
「壊れてないよ。おかしいけど」
お兄さんが言った。
寂寥感のある目だった。
優しさの含まれたキスが額に落とされたかと思えば首筋の噛み跡を撫でられ、思わず声が上ずる。それが彼を煽るのだろう。唾を飲み込むのが見えた。
服の中に手が差し込まれ、素肌に触れられる。他人の手の感覚。
時間が経てば経つほどに 優しさ は消えていく。欲だけが浮き彫りになってていていて、激しさが増していく。
声を聞かれたくなくて口元を塞ごうとすると、その手は退かされて代わりにまたキスをされる。
「……んん、う、んぐッ、ん」
強引だった。
素肌が空気に晒され、撫でられ、やがて全部が晒されて、愛撫されて。
脳が溶けるようだった。頭が熱かった。声が反射で出てしまって、もう止められなかった。
不意に
なかに意識を向けると、指が入っているのがわかる。……いつの間に入れられたの?これ
だめだ、あんまり記憶が無い
「んぁ、っ」
指がもぞりと動き、慣れない感覚に身じろぐ。 下腹部が熱くなる。
指が動く度に快楽に脳がやられる。
「あっ、ふ、ぅひ、 や」
耐えられそうになんてなくて、足を閉じようとしたけどダメだった、抑えられてしまった
声は抑えてもどうせお兄さんに腕をどかされてしまうから
……唇は噛むけど
段々と、指が増えていって、脳までもがお兄さんに侵食されて、唇を噛む暇なんてなくて、全身の感覚を感じることが精一杯で、
「……、」
下が空気に晒される。そんな、広げなくても、
?何もされない
自分に覆い被さる、大人の男の人の
「……ん、は」
声が聞こえた。
「っひ、」
思わず悲鳴じみた声がでた。目に入ってしまった
まさかさっき広げられていたのは、いや、いや、そんなわけ、……
足を思わず自らの方へとずらした
「あの、お兄さん、」
視線が交わる
目が合ったのは、上気した顔に似合わない、あの、いつも何かを諦めたような表情をしているお兄さんの顔で
でも、今はこちらを真っ直ぐに射止めていて、別の誰かみたいで、
思わず、目を逸らした。
どちらにせよ、なんにせよ、直視していられるものじゃなかった
お互いの荒い息が聞こえる。
焦りによるもの、興奮によるもの。それぞれ抱いている感情は真逆に近いのに
拒みきれない、とおもいながら 身体は後ずさる。上体を半分ほど起こした状態で、後ろに手をついて、防衛本能から、足を閉じて引き寄せる
正面にいるお兄さんの、から目が離せない
見れば見るほど、この先が怖い
お兄さんが距離を詰めてくる
逃げ場は無い
「☻ちゃん」
何も言えない
……お兄さんも何も言わない
なんで、と思ったがすぐ思い当たる
臆病なのだ。お兄さんは。
だから何も言えない。口から何も出てこない。口に出したあとが怖くて何も言えないんだ
行動でここまで示しておいて何を言っているんだという話だけど。
「ちょ、!? 〜!!」
急に折りたたんだ足を捕まれ、開かれる。
恥ずかしくて、でも何も言えない
そのまま先端があてがわれた
「っ」
思わず息を飲む。もう、だめだと 思った
あてられたところから目が離せなくて、怖くて、心拍数がとてつもなく高くなっていて、心臓の音が頭の中に響く
「好きだよ」
まるで、責任はとるから というように聞こえた。謝罪の意かもしれない
私の同意なんて待ったなしに、
宛てがわれたところから、中に入っていく。
押し入られていく。
「ぅ、あ、あぁ…んく、 う、」
思いのほかゆっくり、でも止まる気配はなくて、……お兄さんのかろうじての理性かもしれない
「んひ、あ、んん、い”っ」
馴染むその前に、動かされた
先程とは比べ物にならない、感覚に、快楽
お兄さんの身体が近い。熱を、息遣いを感じる
押し込まれるのに合わせて、声が飛び出る。
声になったり、ならなかったり
麻痺した脳が危険信号をあげる
何かを考える余裕なんてない
体が、翻弄されて、意識も全部、ぜんぶ
このまま一緒に終わりたいなんて
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