《外出時》直の不眠は日常的なものになっていた。ベッドに入っても眠れず、浅い眠りについてもすぐに目が覚めてしまう。疲労が限界を超えたとき、彼の体はまるで電源が落ちたかのように突如として眠りに落ちる。
「直ちゃん、何食う?」
神々廻がメニューを眺めながら尋ねたが、直はそれに答えず、カウンターに突っ伏していた。
「寝てるん?」
神々廻が肩を軽く叩くと、直の体がわずかに揺れたが、反応はない。
「マジで寝てる〜」
南雲は隣で苦笑しながら、直の髪をくしゃりと撫でた。
「まあ、いっつも寝不足だからなぁ。限界だったんじゃない?」
「だからってこんな場所で寝るか普通」
「直は結構どこでも寝るよ?トイレでも風呂でも」
南雲の軽い調子の言葉とは裏腹に、その目はどこか不安げだった。
《トイレの中》
「直ー?大丈夫?まだ出てこないの?」
南雲がドアをノックするが、中からは何の返事もない。
「もしかして寝てる?」
「さすがにそれはないやろ」
神々廻が呆れたように言ったが、南雲は不安そうに眉をひそめた。
「前もあったんだよねぇ。入ったまま動かなくなっててさ」
南雲は小さなため息をつくと、鍵を開けて中を覗いた。
「やっぱり寝てるし」
便座に座ったまま、体を丸めるようにして眠る直。
「これはこれでヤバいやろ」
神々廻も思わずため息をつく。
《湯船の中》
「直ー?生きてる?」
南雲は風呂場の扉を軽くノックした。しかし、いつもなら「入ってこないで!」と怒鳴る直の声がしない。
「……マジで寝てないよね?」
さすがに不安になり、南雲は扉を開けた。
「うわ、ガチで寝てるじゃん」
湯船に浸かりながら、首がぐったりと傾いている直。その表情は苦しげで、今にも溺れそうだった。
「直〜起きて」
肩を揺さぶると、直の瞼がゆっくりと開いた。
「……ん、あれ……?」
「気絶しないでよ」
南雲はホッとしたように息をついたが、心の底では焦りを隠せなかった。
「直ちゃん。このままじゃ、そのうちどっかで倒れるで」
神々廻が苦々しく呟いた。南雲も腕を組みながらため息をつく。
「僕もちゃんと寝かせたいんだけどさぁ、なかなか難しいんだよねぇ」
「それ、お前のせいちゃう?」
「うーん、まあ、否定はしないけど」
南雲はヘラヘラ笑いながらも、どこか真剣な目で直を見つめていた。
「でも、直が倒れるのは困るからなぁ。なんとかしないと」
「だったらお前が監視や束縛やめてやればいい話ちゃう?」
「それは無理♡」
「はぁ……」
神々廻は呆れながらも、直が本当に限界を迎えないかどうか、静かに見守るしかなかった。
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