コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「あたしもこういうの欲しいな」
双眼鏡で靄の立ち込める
木立を見つめながら麻美が言った
「こんなにワクワクするの
久しぶり!
ユカちゃんがいる屋敷の中の人間を
もう3人も見つけたわ!
まぁ!なんてこと!ベッドで3Pしてる!!」
「そりゃよかったな」
ジョージがトランシーバーを3つ
皮の袋から取り出して言った
「で? どうするつもりだ?」
猛がその一つを手に持ち訪ねた
「まっすぐ玄関まで行って呼び鈴を
ならすつもりじゃないだろう? 」
「敷地の状況を偵察して
ユカがいそうな所に忍び込む!
事前に調べられなかったのが残念だ」
ジョージが麻美にも
トランシーバーを渡し
周波数を整えながら言った
「あたしが行ってくるよ!
あたし人の家忍び込むの得意なんだ!」
「あそこに大きなダクトがあるから
あそこはきっと厨房だ
厨房には食糧を運ぶ
勝手口があるはずだ 」
猛が考え込む
ジョージはカバンの中から
ジャックナイフとナイロンの紐を
取り出しながら言った
「お前ら本気か?
ミスヨーコを敵に回すのは
相当ヤバい事になる
捕まったら何をされるかわからねーぞ 」
「ユカちゃんはあたし達にとっても
大切な友達だったのよ 」
麻美が得意顔で言う
「いくら金をつまれても
このパーティから降りる気はねぇな」
猛もナイロンの紐を
手に巻き付けながら言った
迷彩柄のズボンが闇と森に
上手く紛れている
「勝手にしろ」
ジョージはため息をつきながら言った
顏が少しニヤけていた
おかしな奴らだ
ユカはどうやら良い友達を
持っているかもしれない
猛においては・・・・
まぁとにかく今はユカを
救出するためには誰でも使おう
それからのことは後で考えればいい
「それじゃ
まずはあたしが行ってくるね! 」
「見つけたら
トランシーバで知らせろよ」
猛がにやりとして言った
「お前に何かあったら俺が助ける!」
「お前ら正気じゃねぇな!」
呆れてジョージが言った
「気をつけろよ 」
麻美はあたりを見回していたが
葉擦れの音がする木立の他には
人影が見当たらなかった
もうすぐ夜になる
薄暗い木の幹に隠れ
屋敷の中を見つめる
屋敷は煌々と明かりが灯っていた
どこからかディナーの良い香りがする
猛が言っていたように
厨房の勝手口ならそこから
屋敷の中に忍び込めるかもしれない
小さな砂利音も神経質に聞こえる
麻美はなるべく物音を立てないように
薄暗い裏口を探してまわった
あった!
勝手口に沢山の瓶ビールを詰めた
プラスティックのケースが
積み込まれている
その奥に勝手口が人一人
入れるぐらい開いていた
麻美はすかさず
その隙間に体を滑り込ませ
屋敷内に忍び込んだ
屋敷の中はとてもゴージャスだった
どこからか生花の良い匂いが漂っている
赤い絨毯に大広間に続く階段
その真ん中で小さな噴水が
水音を立てている
「すごい 何?ここ 」
まるで映画の撮影セットのように
煌びやかだった
館内にはピアノのBGMが流れて
ここはまるで別世界のようだった
フト甘い匂いが漂ってきた
嗅いだことのある
この匂いにつられて
廊下の横道をよぎった時に
誰かに後ろ髪をつかまれた
「猫が迷いこんでるな?」
甘い香りはその男の口から漂っていた
男は咥えてたマ〇ファナを
ペッと吐きだし
にやりと笑った
麻美は自分を馬鹿だと
思いたくはなかった
脅えたくもない
男が麻美の両手を背中に回して
ひねりあげた
神経を焦がすような激痛が走り
悲鳴をあげた
一瞬気を失いかけたが
背中を前に押され
目の前のヴィクトリア調の大きな
扉を体で押され中に身体ごと倒れた
赤い絨毯が敷き詰められた床に
しこたま顏を強打したが
目を開けてあたりを見回した
すると天蓋付きのベットの上に
人影がむくりと起き上がった
「そこの勝手口で
ウロウロしていたんだ」
後ろの肉付きの良い男が
麻美の脚の間に仁王立ちに
なって見下ろしている
ドアをバタンと絞められた
人影がこちらを見て言った
「あら・・・・誰かと思ったら」
麻美はその姿をじっと見つめて
あっと口を大きく開いた
そして聞こえたような小さな声で
つぶやいた
「ユウ…コ 」
ユウコはけだるく髪を整えて
猫のように立ち上がり
音も立てずに麻美に近寄った
「おはよう
たしかユカの友達だったわよね・・・
なぁにそのダサいカッコ 」
口元にうすら笑いを浮かべ
麻美の全身に視線を走らせた
とたんに自分がキャンプへ行くような
服装をしているのを思い出して
場違いな気がして恥ずかしくなった
それぐらいユウコは
ゼビアスで会った時より
髪は手入れされてとても美しかった
そして薄い衣のガウンの下は
彼女の裸体が透けて見えていた
「このガキの知り合いか? 」
後ろの男がユウコに問いかけた
良く見ると
コックのような白衣を着ている
男にゆっくりひざまずかされて
足が痛んだ
「そうね・・・・知り合いと言えば
知り合いだけど・・・
あなた忍び込んできたのね 」
「ユカちゃんはどこ?」
麻美はユウコを睨んで言った
ユウコはきどった笑みを浮かべながら
麻美を立たせた
「美しき友情と言った所かしらね
ユカなら他の部屋で
抜かずの何発とやらをヤってる所よ 」
「好きでやってるわけじゃないでしょうよ」
麻美が挑むように言った
ユウコはマリファナに火をつけた
甘いかおりが部屋に広がる
「そうかしら?
十分楽しんでいるように
思えるけど? 」
ユウコが冷たい声で繰り返した
「ユカちゃんに会わせて!」
余裕な態度のユウコがむかついた
そもそもなぜここに
この女がいるのだろう?
そして
この女はたしかユカちゃんと
ジョージを取り合っていたはず
ジョージがここにいると
知ったらこの女はどうするのだろう
ユウコはマリファナをゆっくり吸って
男に渡した
男はうっとりとそれを吸いこんで
吐きだした
「で?どうすんだ?この女
ミス・ヨーコにあけ渡すか? 」
男は猫なで声で言った
麻美はこの男とユウコの関係を
一瞬で見抜いた
相変わらず嫌な女だけど
麻美は必死に食い下がった
「お願い!ユカちゃんに会わせて
話したい事がるの!! 」
「何だ?これ?」
コック姿の男が
麻美のジーンズの後ろポケットから
トランシーバーを取り上げた
「返して!!」
麻美が身をよじった途端に
男はユウコにトランシーバーを
ほおり投げた
ユウコはそれを受けとり
思案気に麻美を見つめた
「誰かと一緒に来てるのね?」
ユウコは麻美から目をそらさない
暫くして麻美に言った
意地の悪い顏が歪んだ
「いい事思いついた」
口はガムテープのようなもので
塞がれていた
男にそう指示したユウコに腹がたって
しかたがない
さらに目隠しもされて
ずいぶん長い間歩かされた気がした
そして登山ブーツから伝わってくる
感覚ではここは屋敷の柔らかな
赤い絨毯を歩かされているのではなく
硬くて薄暗い廊下を
歩かされていると感じていた
縛られている
手がズキズキ痛む
後ろで男とユウコがクスクス笑っている
ジョージの言っていた
あの恐ろしいここのオーナーに
引き渡されるんだろうか・・・・
そしてあたしは
あの慎二のような男に
犯されるんだろうか・・・
くそユウコ
そう思うと目に涙が滲んできた
もっとも目隠しされて
にじんでも分からないけど・・・・
暫くして
ガチャガチャと鍵を
開けているような音がした
そしてまたしても
麻美は乱暴に部屋に突き飛ばされて
床に体を強打した
ユウコが言った
「オーナーが新人を調教してほしいですって!」
ガチャンっと鍵がしまった
音がした
二人が歩き去る音
そして静寂・・・・・
暗闇・・・・・
麻美の心臓がドキドキ音を鳴らす
目隠しされている恐怖で
冷や汗が出る
するりと目隠しを取られたとたん
目の前の信じられない光景に
身の毛もよだつ恐怖が体を走った
薄暗い牢屋のような部屋
松明の明かり
目の前には数々の拷問道具・・・
そして天井から縛られている
男性が数人みんな
目隠しにボールのような
ものを咥えさせられてうなだれている
「新人?聞いていないわね」
麻美はハスキーな低い声の方に
振り返った
ラバースーツに身を包んだ
絶世の美女が佇んでいた
高く結い上げた長い髪
わずかに切れ上がった金色の瞳
決して温かみがあるとは
言えない目つきで
おもむろに全身眺められている
ラバースーツの女は麻美のシャツに
手を伸ばし一気に引きちぎった
麻美の悲鳴がガムテープの中で
くぐもった
さらにブラジャーも
すごい力で引きちぎり
乳首をマジマジと観察している
「・・・・・垢抜けないけど
体つきは良いかもね・・・ 」
一瞬麻美は氷ついた
まばたきをする
ラバースーツの女と
しばらく見つめ合った
女は目を照からせポっと顏を赤く染めた
「あなた・・・・
良い表情をするわね・・・・
気に入ったわ 」
麻美の産毛が恐怖で逆立った
必死に顔を左右に振る
セリナはうすら笑いを浮かべ
囁くように言った
「可愛がってあげる」
それからは部屋にセリナの
鞭の音と麻美の悲鳴が鳴り響いた
がらんとした廊下はいつまでも続き
ジョージの足音が響くばかりだった
もっともここの廊下は絨毯敷きのため
普通の廊下よりは
響く音は静かだったが
それでも誰にも
見つからずにユカだけを
こっそり救出したい心づもりが
ある者には十分すぎるほどの
大きな足音に聞こえた
1階の厨房から侵入した麻美と
違ってジョージは庭を旋回し
大きな樫の木を登って
4階のバルコニーに降り立った
大きな柱に掛っている
カーテンから中を覗いてみた
中は暗い
よかったここの部屋は
使われていない今はまだ
ガラスを蹴り破って
余計な音は立てたくなった
でも必要とあらばやるしかない
それでもジョージはバルコニーの
ドアノブをそっと捻ってみた
カチャリッ
開いた。
ついてる
暗い部屋からピアノBGMが流れる
四つ目の部屋で
人の気配がした
男と女の喘ぎ声
まさにお取込み中だ虫唾が走る
もしユカが客をとっている
最中に出くわしたら・・・
最悪の場面を想像しないように
首を横に振った
ジョージは全神経を集中して
踊り場に身を乗り出し
耳をそばだてて
人の声が漂ってくるのを聞いた
誰かがドアを開け
そこから数人のしゃべり声が漏れて
またすぐドアを閉じたといった雰囲気だ
ジョージはそこの部屋も
調べてみたかったが
危険は最小限で良いと判断し
足音を忍ばせ一階下におりて
様子を伺った
警備員もましてや
銃を持った人間もいない
邪魔は何もなさそうだ
ジョージは廊下に駆け出し
ひとつずつドアをそっと
開け調べていった
どこの部屋もからっぽ
物音も人の気配もない
営業にはまだ早い時間だろう
ジョージはゼビアスの開店前の
静けさを思い出していた
次の階に降りたとき
くぐもった女の話し声がきこえた
ジョージは壁に張り付いて
その声の方へ進んだ
すると背後のドアが開き
女と客であろう男が出てきた
まずいっ!
ジョージはとっさに目の前にある
アコーディオンカーテン式の
ドアを開きその部屋に飛び込んだ
そこは大がかりの厨房だった
ジョージはポケットから
ナイフを取り出し
壁伝いに部屋を横切った
幸い厨房の角のむこうを除いたが
誰もいなかった
厨房の横切った先に
また奥の廊下へ続く道があった
ジョージは先へ進もうとした
その時視界の端でゆらりと影が揺れた
「ジョージ!!」
おもわず全身飛び上がった!
自分の名前を呼んだのは誰か
確認しようとして振り向いた
厨房のピカピカのテーブルを
はさんでユウコがこちらを見ていた
咄嗟にうけた印象は
ユウコは自分の知っている
ユウコではなかった
そっと近づいて小声で言った
「ここで何をやっている?」
「ああ!驚かさないで!
ああ!もう死ぬかと思った」
ユウコは自分の手を喉に当てて
そこにいた
顏は蒼白で目は大きく
見開いて輝いている
ハラハラとユウコの目から涙が溢れ
ユウコはジョージにしがみついた
「ああ!ジョージ!ジョージ!」
「その・・・ユウコ・・
俺は・・・ 」
引きはがそうとしても
ユウコはすごい力で
ジョージの首に巻きついている
ジョージは訳がわからないパニックに
陥りそうになりながらも
必死で自分を立て直した
「慎二よ!
慎二にやられたの!!
あたし連れ去られたのよ!!
借金のかたにここで何人もの男の
相手をさせられたの!
あたし嫌だって言ったのよ!
嫌だって言ったのに 」
「なんだと? 」
ユウコはすっかり取り乱し
ユカのことはおろかまともな話も
出来ない状態だった
何分もわめいて
ジョージにすがりつき泣きながら
自分は被害者だと訴えた
ユウコの吐く息は
アルコールとマリファナの
匂いがした
慎二の名前を聞いて
ジョージは新たな怒りの発作に
見舞われた
慎二はユウコは飛んだと言って
ジョージをさんざん痛めつけた挙句
ユウコの借金まで背負わせようとした
ユカだけでは飽き足らず
ユウコまで・・・・・
ユウコは芝居かかった調子で
ここに連れてこられて自分が
どんなにひどい思いをしたか
悲劇の主人公さながら
さめざめ泣いてジョージに訴えた
実際にユウコはひどかった
着ているものこそ高価そうなガウンだが
髪はボロボロで
目は落ちくぼみ
おそらく麻薬のせいだろう
歯もマリファナのせいで黄ばんでいた
かつて魅力的で
ゼビアスのスポットライトを
浴びてさっそうとVIP席に
向かうユウコの面影はなくなっていた
ジョージは思った・・・・
もしユカも同じ目に
合わされていたら・・・・
ひょっとしたら薬づけに
されているのだろうか・・・
それでも聞かなければいけない
ジョージはしがみついてくる
ユウコをなんとか引きはがし
ユウコの顔を見つめた
「ユウコ・・・・ 」
「ああ!!ジョージ助けに
来てくれて 嬉しい!!! 」
また大声でしがみつき
泣きわめかれた
ジョージはユウコが落ち着きを
取り戻すまでまともな話は
出来ないと判断し
暫くユウコの好きに抱き着かせて
やろうかと思った
「うそよ!!」
背後に声が聞こえた
うそだろ?
あまりのショックに
ジョージは一瞬我を忘れた
大量のアドレナリンが体中をめぐり
握りしめた拳のように心臓を収縮させた
ゆっくり
後ろを振り向くと
厨房の入り口にユカが立っていた
「落ち着いた?」
バルコニーの風を受けて少し寒気を感じた
あたしはベッドから起き出して
ドアを閉めに行った
雨は小雨から本格的な
どしゃぶりに変わっていた
ベッドの横には信一郎が
ぐったりと横たわっていた
聞いても答えない
この人の急な来客のせいで
せっかくの貴重な休日がつぶれてしまった
今日は何もしたくなかったのに
何もしないというのは
いつものように客を迎え入れる前の
髪を手入れしたり
体を塩で磨き
良い香りのボディイローションをつけ
避妊ジェルを体の奥に
擦り付けることなど・・・
一日中ベッドの中で
惰眠をむさぼりたかった
ユカは信一郎を見下ろした
めずらしい・・・・
いつもは宿泊を予約するのは
2週間前と決まっているのに・・・
当日予約は普通の
3割増しの値段なのに・・・・
泊まっていくのだろうか?
あたしは頭の中で次の予約の
ことを考えながら
信一郎の横にそっと体を横たえた
「何かあったの?」
あたしの腕の中で一瞬彼は
体をこわばらせたが
すぐに抱きかえしてくれた
「何も・・・
いとこの結婚式に出たら
君に逢いたくなった 」
「あまり心配させないで」
叱るように言って
あたしも抱き返した
「どうして・・・・
俺のプロポーズを断ったんだ?」
ぎくりとした
「それは・・・・
あの・・・ 」
彼はとても不安定で傷つきやすい
突然あたしは孤独感を感じた
二人の中に今までにない雰囲気が
漂った・・・・
信一郎は期待をこめた
眼つきであたしを見て
自分のモノをゆっくりとしごき始めた
何をぐずぐずしているんだというように
あごをしゃくる
偉そうなそぶりだ
そこまで甘やかしてしまったの?
腹が立ったけど
早くイッてくれたら
それだけ早く帰ってくれるかもしれない
あたしはひざまづき
股間のものを口にふくみ
舌技を披露した
信一郎は身をこわばらせ
あたしの髪を痛いほど強く握っている
荒い息遣いが聞こえた
これまで何度かこうしたとき
信一郎はいつでもとろけるように
あたしにすがりつき
弱さをさらけだしていた
でも今回は違う
天井に顔を向け目を閉じて
今や頭皮はジンジン
するほど強く掴まれている
どうしゃぶってほしいのか
教えようとしている
どれくらい奥まで飲み込み
どれぐらいの速さで引出すのか
息をするのも
太くて長いもので喉を
つまらせないようにするのも
今回はずっと難しかった
信一郎は声も上げず
こちらを見ようともしない
いったいどうしたの?
あたしは押さえつけられている
顏をふりほどき
警戒心と怒りを掻きたてられて
よろよろと立ちあがった
「信一郎様・・・・
あたしは・・・ 」
「しー・・・・ 」
ものすごい力で
うつ撫せででベッドに押し倒された
「足を開け」
そう一言だけ言われて
あたしの口を手で覆うことまでやってのけた
ベッドを揺らし
のしかかるような体の重みを背に受けて
男の象徴で深く体を貫かれた
まだ十分に濡れていなかった
膣の中が激しい抜き差しに痛みが走る
「やめて!離して!」
「俺のモノで君をイかせたい」
一突きごとに痛みは増していく
あたしは泣きついた
「お願い・・・せめて前を向かせて」
「ダメだ!イくんだ!」
こんな傲慢でイけるわけがない
こんなSEXはあれ以来だ
途端にあたしは慎二達に犯された
時を思い出した
あの時と同じように
またあたしを物のように扱うの?
やっと立ち直ってきたのに?
枕に涙が滲んできた
次に何がおこるか分かっていた
途端にフラッシュバックが襲い掛かってきた
いつも夜中に襲い掛かってくる深い闇
それは深く眠りについた時に突然現れる
大勢の男の手
殴られた痛み
激しく揺さぶられている視界・・・・
あたしはぎゅっと目を閉じた
こんな時に発作が起こるなんて初めてだ
こんな恐怖は
耐えられない
大きな悲鳴と共にあたしは
信一郎を蹴とばしてしまった
信一郎は裸のままベッドから
転げ落ちた
どくどくした恐怖が体中で
渦巻いている何も考えられない
たった一人で暗闇の中を
まっさかさまに落ちていった
耳をつんざくような悲鳴
男達のあざ笑う声・・・・・・・
「何をするんだ!! 」
はっと目を覚まし
視界がチカチカしぼんやりと
自分のいる場所がハッキリしてきた
怒気を荒げて信一郎が
ベッドに這い上がってきた
「ごっ!ごめんなさい!」
咄嗟にあやまった
腕を掴まれて顏をあげられた
「もうすぐ俺達は会えなくなる」
信一郎がささやいた
「金が無いんだ
もうここへは来れない 」
何をいってるのかわからない
震える唇と
カチカチいう歯の間から
声を絞りだした
「あ・・・あの・・・
あたし・・・・ 」
ものすごい力であたしの腰をつかみ
またひきあげる
「俺はまだ終わっていない」
無言のままどこよりも敏感な所にペニスを
突きつけられて
あたしは体をよじった
入れさせない!!
もう いやだ!!!
そうだ!あの時も全力で
抵抗していればよかった
あの時殴られて
気力をいっぺんにしぼませられた
あたしの中の鬱々した
怒りと不安と悲しみがいっぺんに
噴出した
もう!好きにはさせない!!
あたしは人形じゃない!
あたしは自分自身を超えた!
意識にあるのは
こうだと思っていた自分
あるいは信じ込んでいた自分を超えていた
頭のスイッチが被害者意識心理から
あたしをもてあそぶ男達に対する
大きな台風並みの怒りにかわった
「いいかげんにしてっ!!!」
あたしは信一郎に平手をかました
麻美ちゃんがよくケンカの
話をするときに
右フックを振りかざしていた時のように
平手は信一郎の右頬にヒットした
信一郎は叩かれた右頬を信じられない
という顔で手の甲でなで
するどい視線をあたしに突き刺した
「俺に金がないと分かればこの態度か? 」
「違うわっ!
でももう嫌なの! 」
信一郎の見つめる目に
苦しみが生まれた
「やっぱりみんなが言う通りなのか?」
「誰に何て言われようと
あたしはもう誰とも寝ない!」
あたしは叫んだ
「君は俺と結婚するんだ!」
彼にこんな一面があったなんて!
信じられない
「お前にどれだけ金を
使ったと思っているんだ!
もう 後戻りできない!」
「何を言ってるか
わからないわっ! 」
信一郎が勢い余って
傍のテーブルを蹴りつけた
テーブルには酒のつまみが乗っていた
クリスタルの皿が割れ
食べ物が飛び散った
怒声を上げ彼が腕を出し
あたしを捕まえようとした
咄嗟にあたしはベッドの反対側に回り込み
近くにあった花瓶を投げつけた
花瓶は信一郎の腕に当たった!
「こっちへこい!今日は君を
迎えに来たんだぞ! 」
「いやよ!」
あたしは信一郎を睨んだ
彼の目が怒りの炎を燃やしている
「会社の金を使い果たして
しまったことがバレたら俺はおしまいた
でも安心しろ 俺は良い案を考えたんだ」
その言葉にとっても驚いた
信一郎の目はもはや
あたしを見ていなかった
「・・・そんなことをしてただじゃ
済まないわ・・・ 」
「おや?済むにきまっているんだ
君を嫁として家に連れて帰ったら
きっとみんな認めてくれるよ 」
楽しげな笑い声は異様に聞こえた
「そんなこと・・・・
ミスヨーコが許すわけないわ 」
異様な笑い声はクスクス笑いに
変わっていた
「許すも許さないも君は俺の者なんだ
二人で一生懸命働いて返そう
君のための借金だ
最初は大島家の嫁として大変だろうけど
安心しろ俺が教えてやる手取り足取り 」
柔和な顔になって彼があたしの
体を眺める
恐怖が体を走った
「これからは夜は俺の為だけに
体を開けばいい・・・ 」
彼の目に浮かぶ飢えを見て
思わず身を引いた
気が付いたら後ろのドアに背中を預けていた
あたしはドアを捻り
廊下に飛び出した
「ユカ!もどってこい!」
あたしは必至で廊下を駆け出した
「ユカッッ!」
背後で信一郎が追いかけてくる!
いったいどうしたの?
でも あれが彼の本性なの?
あたしは何がなにか
訳がわからなくなってしまった
とにかくあんな彼は嫌だ!
さっきの信一郎とのことがきっかけになった
行動を起こそうと決めた
もう誰にも自分の好きになさせない!
ここを出て行こう
あたしはずいぶん前から
脱走計画を考えていた
そうだ!逃げるのだ!
まずは自分の宿舎へ帰って
服を着てこっそり逃げ出す
そして大通りに出てヒッチハイクをしよう!
大阪まで帰るのだ!
ここへきてさんざん贅沢をしたけど
現金は持たせてもらえなかった
お金はないけどきっと何とかなるはず!
今は玄関ホールは来客で
にぎわっている頃かもしれない
一階の厨房を横切って
自分の宿舎へ帰ったら誰にも見つからずに
済むかもしれない
ホールを曲がって裏手の厨房を通りぬけて
勝手口から庭へ出ようと思った
厨房が近づくにつけて匂いに気が付いた
鼻を刺す強烈な匂い
涙がにじむ
灯油?ガソリン?
厨房の前の廊下が一番匂いがキツイ
誰かがこぼしたのだろうか
「誰かいるの? 」
答えはなかった
震える足でよろけながら
暗いキッチンをのぞいた
すると
天井で踊る影が見えた
信じられない
抱き合う二人の顔がはっきり見えた
恐怖の波が体全身を貫き
混乱にからめとられて
その場から動けなくなった
こんなの
うそよ!
厨房の真ん中で
ユウコとジョージが二人抱き合っていた
最初の印象は・・・・・
ユウコが誰か客と
会っているのかと思った
でも楊貴館の厨房でって
考えたらおかしすぎる・・・・
艶やかな金パツ
整った輪郭のはっきりした口元
見覚えがありすぎる
夢にまで見て恋こがれた
アノ目は他の誰でもなかった・・・
ジョージ・・・・・
あまりのショックに
すべてがバカバカしく思えた
体が固まり
動こうと意識が体全体に
命令している時
ユウコの声が聞こえた
「慎二よ!慎二にやられたの!
あたし嫌だって言ったのに!」
どうしてユウコはウソをつくの?
ああ!そんな事わかりきってる
ユウコはそういう女じゃない!
そしてジョージは?
どうしてこんな所にいるの?
畳みかけるように
ユウコの声が飛び込んできた
「迎えに来てくれて嬉しい・・・」
それを聞いた途端
あたしの心臓が一気にはじけた
大量のアドレナリンが放出し握りしめた
心臓のように脈打ち始めた
「うそよっっ!」
思わず叫んでしまった
二人が一緒に振り向いた
廊下に目をやってあたしの姿を捕えると
ジョージは驚愕のあまり顔色を失った
ユウコも驚きに目を丸くしている
彼はユウコをひきはがし
まるで電流に打たれたかのように
彼の全身を駆け巡るショックを
あたしは冷静に見つめた
そして彼の目線はあたしの
顔から全身に走った
ユウコを引きはがした
手は力が抜け
だらりと脇にたれた
そこでハッと自分の姿を意識した
乱れた髪・・・・
下着のようなワンピース・・・
腕には掴まれた跡が残り
ついさっきまで
他の男とSEXしてましたと
言わんばかりのカッコ・・・
あたしの姿に彼が何を見たのか
わかっていたけど
やはり耐えられなかった
あたしは踵を返し
その場から逃げ出した
「ユカっっ!」
ジョージが叫んだ
心臓がドンドンと激しく脈打つのは
不快だけれども当然の反応だ
ジョージの顔を見た途端
噴出したもろもろの感情
その中で一番飛び出てきたのがこれだ
「どんな顔をすればいいの?」
あんなに会いたかったのに
彼を思って何人の男に体を開いたか・・・・
彼を思えば想うほど
こんな自分は彼には見せれないと絶望した
そして恋焦がれた彼とやっと会えたかと思うと
違う女を抱いていた
頭の中が真っ白になった
空笑いまで出た
涙がとめどなく溢れる
廊下を深い沈黙が支配した
窓を打つ激しい雨もそれに
加わった
あたしはひたすら
走った どこに向かっているかのか
もう分からなかった
あたしは走った
走って
走って
階段をかけあがり
踊り場へ飛び降り
そしてまた廊下を走った
致命的
何も考えられず
目が開いてるのか閉じているのかも
わからない
すべてが闇の中で旋回している
手探りで壁つたいに
それでも走った
ここではない
どこかへ行きたかった
上体を屈めて最後の角を曲がった途端
向こうからやってきた男に頭から
つっこんだ
男のみぞうちに頭突きを食らわす
格好になったものだから
男は
「ウウッ」
と驚きの声を漏らし
倒れまいとあたしの両腕を
つかんだので一緒になってよろけた
「ご・・・・ごめんなさい」
あたしは息を切らしながら
言った
「まさかっ!!」
男は驚きつかんだ
両腕に力を込められた
「痛いっ!ちょっと!
離して・・・・
ああ?? 」
男の顔を見た途端
凍りついた
いったい目がどうかして
しまったのだろうか?
あたしの声はショックで霞んだ
「毅・・・? 」
心臓がせりあがって
のどがつかえる
廊下の入り口を塞ぐように立つ男は
猛だった・・・・
信じられない今日は何て日なの?
信一郎、ジョージ、猛と次々に
顏が脳裏によぎる
猛は
面白みのかけらもない笑顔をうかべた
動揺しているとも彼はそれを見せなかった
でも呼吸が早く逞しい胸は
大きく上下していた
額にしっとり汗をかいている
口元と目の線は
あたしの記憶より
深く刻まれていた
そして髪が短いけど
釣りあがった射すくめるような
目は相変わらず怪しく輝き
びっくりするぐらい凝視している
あたしは喘いだ
肺の許容量が超えているような気がする
何とか鼻で息をするように努力した
猛も同じように
あたしを上から下までじろじろ見た
あたしの立場を外見から
判断しようとしているのだ
「大丈夫か?・・・・その・・」
彼が訪ねた
そしてあたしも尋ねた
「どうして?ここにいるの? 」
客なのだろうか?
一瞬そのことを脳裏がかすった
その時掴まれていた両手が離された
「お前を・・・・」
あたしの頭の上で発せられた
言葉は静かだった
「助けに来たんだ・・」
あたしは信じられない思いで言った
彼を目にしたショックは
引いていったが心臓は
まだどきどきいっていた
「あたしを?ユウコじゃなくて?」
皮肉のような声で言った
思わず笑いが込み上げる
あたしを助けに来てくれたのが
ジョージじゃなくて
猛なんて!!
「ユウコって誰や?
俺はお前がここでつかまってると
聞いて大阪からやってきた! 」
彼が不意に荒々しく腕を掴んで言った
そうだこれは間違いなく猛だ
「どうして?
あたしがここにいることを?
いったい誰に聞いたの? 」
猛がかたわらにあたしを引き寄せ
周りを見渡した
「しーっ!
こっそりここから出るんや!
ジョージと麻美に聞いた
そして二人もここに来ている!
お前を探して屋敷に潜入したんや!!」
「なんですって? 」
その声はショックで枯れた!
猛はあたしを見つめて言った
「俺らはお前を
助けに来たんや
そんで麻美を見なかったか?」
:*゚..:。:.
.:*゚:.。
「ユカっ!! 」
ジョージはユウコを
引きはがし咄嗟に駆けだした!
するとユウコにまたもや
つかまった!
ユウコは必至で
ジョージの腰にしがみついた
その力は女とは思えないほどの強さだった
「いやよ!いかないで!!
ジョージ!!
あたしと一緒にいて!! 」
「離せ!ユウコ!」
ジョージは一瞬の吐き気と戦っていた
くそっ!
ユカは行ってしまった
とんでもない誤解と共に
どこから捜せばいいのか見当もつかない
とこへ向かえばいいのか場所もわからない
ジョージは振り向き
ユウコをゆさぶった
「たのむ!お前には酷なことかも
しれないが!
ユカがどこへ行ったか教えてくれ!
俺はユカを連れに来たんだ! 」
ユウコは頭をふった
「そんなの嘘よ!
あたし達あんなに愛し合ったじゃない!
ねっ?嘘だと言って 」
ああっ!くそっ!
この女は麻薬でいかれてるのか?
まともな話も出来やしない!
イライラしてジョージは叫んだ
「俺はお前を愛していない!
頼むから行かせてくれっっ!」
その時
物音はしなかったが背後の空気が揺れ
何かの気配を感じて
振り返った瞬間
鉄パイプで前頭部を殴られた
赤と白のまぶしい光が弾けて
ジョージは激痛の下り坂を延々と転がり
やがてねっとりとした闇に落ちて行った
転がったジョージを神谷が蹴とばした
うでには血で染まった
鉄パイプをブラブラさせていた
「このガキ・・・どうします?」
神谷の後ろにミス・ヨーコが
目の前で腕を組んで見下ろしていた
「待っていたわジョージ」
彼女の赤い唇がにやりと広がった
ミス・ヨーコの隣で
ユウコが涙を拭きながら
唾を吐いて言った
「あたしのものにならないなら
死ねばいいのよ・・・・」