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・登場人物は全てオリジナルのキャラクターです(一次創作)
・BL要素を含みますが、やらしい描写は無いです(多分)
・設定などがぶっ飛んでいることがあると思いますが、お見逃しください()
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目が覚めたら現実世界にいた。子どもがはしゃぐ声や、草の匂いでパラレルワールドじゃないとすぐに分かった。重い瞼をゆっくり開けて、体を起こす。周りを見ると、そこは自分が住んでいる街にある広い公園だった。なるほど…、パラレルワールドでいうオオヒの家は、現実世界の位置的にはこの公園になるわけか。まあ体感的な距離も同じだし、パラレルワールドと現実世界の位置関係はリンクしてるっていう俺の推理は当たってる可能性が高いな。まあ、それが何だって話だけど。
歩いて15分で自宅にたどり着いた。また勝手にいなくなって怒られるかなと思い、チャイムを鳴らすことを躊躇した。だが俺が鳴らす前に、いきなり戸が開いた。「うわっ、びっくりした」「なっ」反射的に一歩後ろに下がりながら顔を上げると、ポカンとした顔で俺を見るダクラと目が合った。「ただいま~!パラレルワールドから無事帰還しt」「またお前は…っ、突然消えて突然現れるんだなっ」「えぇ、なに突然声荒げちゃって」「ふざけるな…、一週間も姿を消しておいて、よくそんなのうのうと帰ってこれるな!?」…待って。こいつ今、何て言った?…一週間、帰ってない…?「…ダクラ?俺…、パラレルワールドにいたの、一日だけなんだけど」「は…?そんなの知るか、とにかく中に入ってこい」「ええ…」
例のごとくみんなから一発ずつ拳骨を食らった後、俺はリビングの真ん中で正座させられていた。徐々に視線を上げると、自分を見下ろす怖い顔が複数あった。「一週間帰ってこなかった挙句、ヘラヘラしながら帰ってきた大斐くん」腕組しながらヴォルテが言った。「ハイ…」「何か言うことは?」「ご、ごめんなさい…ご心配をおかけしました…」「それで?」うう、圧がすげえ…。「ええと…先ほど申し上げた通り、パラレルワールドに行ってました…色々収穫ありました…共有させていただきたいです…」「…」「あと…一週間俺が消えてたのは身に覚えのない話で…一日しか向こうにいなかったのですが…」「…」「…俺はなぜ敬語で話しているのでしょう…」「まあとにかく、お前の言うパラレルワールドに行っていたのは間違いないんだな」「間違いないよ兄貴!」「それにしてもさあ、不定期かつ無期限にパラレルワールドに行っちゃうのなんとかならないの?こっちは突然お前が消えるのに慣れないんだけど」「そんなこと言われても、自分でコントロールできるならやってるよ…」不機嫌にこちらを見るダクラと目が合い、ゆっくりと視線をそらした。怖すぎだろ、目で人を殺せそうじゃん。「大斐が望んで行ってるわけじゃない以上、俺たちがこいつを咎めるのはお門違いだろう。とりあえず、向こうで何があったのか聞かないか?」「お~さすが兄貴!やっぱそうだよn「俺は納得いかないぞ」「え」「なぜ大斐だけそんな能力を持っているのか、何か理由があるはずだろ。因果関係がないわけがない。大斐、お前はそれを知ってるだろ」「(ず、図星なんですけど…)」「隠してるのか俺たちに話す必要性がないと感じてるのかは知らないが、俺はそれが癪なんだ。お前が悪くないと言うなら、きちんと俺らに相談しろ。経験したことも新しく知った知識も、ちゃんと全部伝えろ」「そうは言ってもさあ、俺たちは大斐みたいにパラレルワールドに行けないじゃん?何も為すすべがないっていうか…」「あ、ヴォルテ、それに関して話したいことがあるんよ」「お前ら一旦待て」「あ、兄貴?」「話がそれてる。とりあえず大斐に一通り話させよう。話を遮らずに最後まで聞くんだ」「はぁい」「…」「えっと…じゃあとりあえず、今回あった出来事時系列順に話すね…」
「…それで、もう一人の自分にここに戻してもらった…って感じかな」「…なぁんか今回も色々あるねぇ」「つまり、向こうの世界の俺たち全員反逆グループに所属していて、もう一人のお前は世界のトップ、と…」「録音で聞いた俺たちの声がまんま俺たちでびっくりしたんだけど!めちゃくちゃきもい!」「自分と同じ声で自分が知らないことをぺらぺら喋ってると気持ち悪いな…」「しかも斐甍元トップだったのおもろすぎだろ」「すぐに引きずり降ろされてるのもある意味解釈一致だが…」「まあこういうことでして…俺はまたパラレルワールドに呼び戻されるんですよぉ…」「はぁ…まったく、向こうの世界のお前も勝手なことを…」「あ、それでね?俺向こうの自分の話聞いて思ったんよ、ロボット使えばこっちのお前らもパラレルワールドに呼べるんじゃないかって」「え」「兄貴たちにも革命手伝えてもらえたら心強いな~なんて」「俺がなにか役に立てるとは思わないんだが…」「でも正直興味はあるけどね、行ける方法あるなら行ってみたい」「…」消極的な兄貴に、好奇心旺盛なヴォルテに、無言を貫くダクラ…。想像通りの反応でなんか面白い。「でもさ…たらればの話しても仕方なくない?」「それがそうでもないんよ、協力してくれる意志があればパラレルワールドに来て手伝ってほしいのが本音」「協力と言っても、どうすればいいんだ…。まさか武器を持てなどと言うんじゃないだろうな」「まさかぁ!大丈夫、ロボットたちと交渉してなんだかんだするだけだから。もし協力してくれるなら、本部に一緒に突入してほしいんよ」「一番危ない役で笑う」「ドア蹴破って先陣切るのは向こうの世界の兄貴たちだから危なくはないよ、どっちかというと交渉人になってほしいっていうか」「いやそれこそ俺たちにできることじゃないだろう」「そんなことないって!第三者としての意見がないと、ロボットも聞いてくれないと思うからさ」
おぉ~と目を輝かせるヴォルテと、う~んとうなる兄貴の対称的な顔。その横で意思表明をしていなかったダクラが、口を開いた。「俺は行く」「!」「お前がそこまでして救いたい世界を一目見ておかないと、気が済まない」「俺も行く!パラレルワールド行きたい!」ヴォルテが同意するのは分かってたけど、ダクラは五分五分だった。でも、来るって言ってくれて嬉しかった。「兄貴は?」「…この流れで拒否できないだろう…」「やったー!一緒に世界救ってやろーぜー!」「あ、でもちょっと待って。もう一人この話をしないといけない人がいるんよね」「…あー…。アルテ?」「そう。お前のいとこだから俺から呼び出すのは変かなって」「任せてよ、今度俺が説得するから!」「よかった~助かる!」
ということで、作戦を詳しく話した。おおまかに言うと、街の中心にあるあのクソでかタワーに突入してオオヒを拘束、それと同時に洗脳施設も制圧する。そして黒幕のロボットに人間を解放するよう交渉するって感じ。交渉が上手くいけばロボットと共生する未来も見えるけど。…交渉が決裂したときは、武力を駆使するしかない。できればそんなことになってほしくないけど、オオヒが言うには交渉がダメになる可能性も充分あるって。世界の秘密と引き換えにしても、エラーを起こした人間の処理を禁止することしかできなかったって、どこか悲しそうに言ってた。俺からすれば社会のルールを一人で変えた時点ですごいんだけど、オオヒはやっぱり社会のルールを根本から直したかったんだって。本当にオオヒが最高指導者になってくれて良かった。
現実世界に帰ってきて3日が経った。翌日にはヴォルテがアルテに事情を説明して、俺の画像と動画を使って信じてもらえた。というか、アルテ自身そういう超常現象とか好きらしくて逆にグイグイ来られたらしい。いつ俺がパラレルワールドに呼ばれるか分からないからって、ダクラはずっと俺に付いて回る。それが本当に愛おしくて、もーずっとにまにましてた。鬱陶しくないのかと兄貴に聞かれたけど、今まで俺が近づこうとしても逃げられてた相手が今度は自分から付いてくるって状況、嬉しい以外感情ないよ。
ダクラとの距離がグンと近くなったこの数週間で、俺はちょっと思った。これ…ワンチャンあるんじゃね?って。だってこんなに俺に執着してくれるなんて、友情じゃ説明難しくない?ずっと友情を壊すのが怖くて一歩踏み出せてないんだけど、今の状況なら…とか考えちゃうのも無理ないと思わない?まぁ今は告白しないよ、死亡フラグになるし。でも可能性あるかもとか考えてるだけでわくわくするから、ちょっと浮かれてるかも。
「3日経ったが何もないな」「うーん…。パラレルワールドにいたのが一日だったのにこっちでは一週間経ってたのも関係ありそうだよね」「時空の歪みとかいうやつじゃね?」「まぁでも今回はいなくなることが既に告知されてるから多少は心の準備もできるでしょ?」「そうは言っても…」一人用のソファに座ってるのにぎゅうぎゅうになりながら隣に座ってるダクラを横目で見ながら、ふぅと息を吐く。「ねぇダクラ…そんなに心配しなくても大丈夫だよ」「誰もお前の心配なんかしてない」「行動と言動が矛盾してるんだって…」「それにしてもお前、ずっと大斐が撮ってきた動画見てるね。そんなに行きたいの?」「…いや。ただ、写真に写ってる俺が、本当に無表情だなと、思っただけだ」「こっちのダクラもそこまで表情豊かってわけじゃないけどね」「…」「でもそれに映ってる人たちの無表情さを見てるとなんか不安になってくる」「ね、定期的に公園ではしゃいでる子どもの声聞くと安心するもん」「重症だねぇ」「実際行ってみろって!もっと異質で怖いんだよ!ほら、最初に撮ったこと写真とかさ…」
そう言ってダクラが持ってたスマホを手に取った、その瞬間。
「あ」「え」
目の前に砂嵐が流れた。そして次に目を開けると。
パラレルワールドの兄貴たちに、囲まれていた。