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永遠の夜明け前
「………」
“ラーンラーンラ~ン”
「あーあーあー………」
“ザザザザザーッ”
「るんるんル~ん?」
“ピピッピッッ”
「……ラララ…」
ラーンラーンラーン…
少年は歌う
あーあーあー
声を出してみる。
ザザザザザーッ
海?川?
水?の音が鳴る。
るんるんル~ん?
ピピッピッッ
機械音…機械音……
……ラララ…
少年の声…声……
真っ赤な少年は歌う。
ラーンラーンラーン
あーあーあー
自分を確認するように声を発する。
ザザザザザーッ
赤い赤い…緑と青のグラデーションの波が足まで届く。
るんるんル~ん?
歌の途中で止まる。
ピピッピッッ
耳に付いているピアスのような物から機械音が鳴る。
……ラララ…
最後は悲しそうな途切れ途切れの小さい声。
◇◇◇◇◆◇◆
赤黒く…──に濡れた少年は月明かりに照らされキラリと光る。
まだ余り濡れていない髪は緑に透ける。
軽い足取りでユラユラとオドル。
歌が止まると少年は声をただただ発する。
まるで自分を確認…探すように。
迷子のように、頼りない声を…
少年の足に水が届く。
弱々しい波の色は白く泡立っている。
………それは本当だろうか
届く水は真っ赤な塩水。
まるで追い返すような歓迎するような。
追い出しては引きずり込む。
奥はエメラルドグリーン…スカイブルー。
キラキラと月に照らされ光るこの海はなんて綺麗だろう。
───1つ瞬きをする。
そこに映るのは真っ赤な真っ赤なキレイな海。
キラキラと月に照らされ光るこの海はなんてキレイだろう。
自分と同じ…真っ赤なルビー。
砂浜には大きな大きなルビー…ルビー……
歩くごとに真っ赤なルビーが星のように空に散りばめられ…浮かぶ。
その景色に何個もの歌が奏でられる。
でも足を止めると真っ赤な星と歌は消え、一人っきりの歌になってしまう。
悲しいなぁ悲しいなぁ…
そこに小さな機械音が追加される
あぁ、またこれか…
◆◇◆◇◆◇◆◆◆◆◆◆◆◆◆
静かな静かな海。
もう声はしない。
海は濁り僕を睨む。
マッカマッカ……赤黒いアカ。
もう月なんか映さない。
緑…ミドリ………真っ黒のミドリ……
月は何所?ヒカリはドコ?
あぁ……全てが真っ赤で真っ黒……
月や星達は意地悪で隠れてるから…
僕は待つんだ…
海は意地悪だから光が映るまで……
僕は待つんだ…
真っ黒な海は僕を睨む。
待つよ…待つよ……
隠れんぼが終わるまで……
苦しい苦しい暗闇の中でも……
いつか光が出てきてくれるまで
タイヨウ……タイヨウってナンダッケ?
とてもとても懐かしい…
確か…タシカ……アッタカイ。
タイヨウ……タイヨウって
ドコにいるのかなぁ…
タイヨウも意地悪だから隠れてるから
僕は待つんだ……
いつかスクッてくれるそのトキまで……
自分を睨むこの海も…
昔は自分と同じ…エメラルドグリーンの海だったのに…………
この海が…自分が……自分を取り戻す…
そのときまで…僕らはずっと
永遠の夜明け前だ……………
永遠の夜明け前
end