※誤字脱字・nmmn・一部年齢操作・中華パロディ
慣れてゆく 伊波ライ
星導(そう言えと言われた)に引き取ってもらい数日が経とうとしている。
俺はカゲツのように戦闘技術に関しては疎いと言う話をしたら星導に「では店番をお願いしたいです」と言われ店のカウンターに立ち、一日に一回、あるかないかの接客をこなしている。
中華風の店には骨董品や宝石、意味深な形をした何に使うか分からない道具など不思議なものが沢山揃っている。
「はぁ~…」
正直言ってとても暇だ。以前みたいに勝手な事情で変な所を転々とする生活よりかは全然平和だが…。
「あ、ライ丁度いい所に」
星導が店裏の扉からひょこっと顔を出して俺に向かって「こっちに来てください」と手招きをする。
「どうしたの?」
「もう店仕舞いなので…これを、好きなのを取っていいですよ。」
星導の後に続いて店裏兼家となっている部屋へ入ると円卓に沢山のガラク…タ…?が並んでいた。
「何これ…」
「拾ってきたんです。何かに使えたらいいなと思って。」
上着を脱ぎ、ハンガーに掛け再びテーブルの近くに戻ってくる。こんな量…どこから拾ってきたのだろうか…
「うわ…んだこの量…」
チリン…とドアが開き、そこに目を向けると仕事から帰ってきた小柳(星導にそう言えと言われた)と後ろに隠れているカゲツがテーブルの上にあるガラクタを凝視していた。
「何って…商品ですよ、大切な商品です。」星導が小柳をむっと睨みながら
「…商品って…今回もどっからか拾っ…」
「わー!!小柳くん何言ってるんですかぁ~!?ひっ、拾ってくるなんてそんな…そんなことしませんよ~…」
明らかに星導の目が泳いでいる。確かに助けてもらった時も死体から何か漁ってたな…、というかさっき俺に拾ってきたって言ってたような…。
「んなガラクタをライに押し付けるな。危険なモノ混ざってたらどうすんだよ。」
「…えぇ~……はぁ~い…」
小柳が机の上を片付けろと言わんばかりの素振りをすると星導はしぶしぶ商品…?を大きな袋の中に入れ始める。
それを確認した小柳は仕事の汚れを落とすためにカゲツと一緒に風呂場に向かった。
「ぁ…」
星導の片づけを手伝っていると視界に入ってきたのは小さなドローン型の機械だ。
「…?どうしたんですか?」
「あっ…えっと…」
俺の小さな声を聞き取った星導は片付ける手を止め顔を上げた。この小型ドローンきっと俺が昔に作ったものだろう…モーターと配線の組み方が完全に一致している…これは昔闇市の人に回収されたドローンと言っていいだろう…ドローンを手に取り、くるくる回す。
「…それライが作ったものですか…?」
俺の心を見透かすように星導が問いかけてきた。
「ぇっと…」
さっき小柳に注意されたばかりだ…改造されているかもしれないし、その場合どう改造されているか俺の力ではきっと調べることはできない…だけど自分が作ったドローンかもしれないと思ってしまうと心残りが…。
「そうなんだけど…さっき小柳がそーゆーのは危ないって言ってたし…」
「じゃあ小柳くんに確認してもらいますか…?」
「えっ、いいの?」
「まぁ…きっと大丈夫でしょう」
小柳 side
「…ってことでお願いしたくて…」
「……」
カゲツと一緒に風呂を済ませ、仕事の整理や今後の計画など…やらなければならないことが山積みになっていて自室に籠っていた時だった。
ライが俺の部屋に来るなんて珍しいと思い話を聞くとこのドローン…?とやらを解析して欲しいとのことだ。
星導め…変なこと言いやがって…。まぁライのためだ、ドローンを受け取りざっと周りを見る。変な部分は無さそうだが…
「これね、センサーを搭載してるから人体バイタルを登録すると人体状況を確認できたり、居場所も特定できるんだ~」
ライが嬉しそうに微笑みながら体を左右に揺らす。こんな東用語がよくまぁ小さな体からつらつらと出るもんだ…。
「まぁ…改造されてる形跡はないけど…あのな、俺は魔術が専門なんだよ…正直言ってそんな機械に詳しくないし…」
怪しいかもしれんと付け加えようとしたが目の前で嬉しそうに目を輝かしているライにやられ、一応結界を張りライに渡す。
「ありがとっ!!」
…俺は案外ちょろいのかもしれない…。ライが機械を手に笑顔で部屋を出ていくのを見送りながらふとそう思った。
「ライそれ…どこで見つけたん?」
首を傾げながらカゲツは言った。
「ふふ~ん!いいでしょ!!今日星導が集めてきたガラクタの中にあったの!」
「へぇ…誰かいじってたりしてないん…?」
「もぉ~…過保護だな~カゲツは…」
「…そう…ならええけど…」
星導に小柳の確認結果を報告し、「なら大丈夫でしょう」と言われ久しぶりの機械に興奮しながら俺とカゲツの部屋兼寝室へ向かい今の状況だ。
「それ見たの久しぶりやな。」
「まぁ…結構前に取られちゃったからね…」
「ふ~ん…」
「でも修理、改良できるような道具は持ってないから無理だけどね…」
ベッドテーブルに機械を置き、ベットに寝っ転がる。
「…ライ…」
横のベッドからカゲツが声をかけてくる。
「ん?何?」
「…いや…なんでもない…」
「なんだよもぉ~……」
カゲツの言いたいことは分からないまま夜はまた更けていく…この日常も、ゆっくり慣れて行こう…。







