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修真界に於いて、修行は大切である。何しろ、修真界とは仙人を目指すものの集いなのであるから、修行せずに仙人になれるはずもない。
修真界には、様々な流派がある。そして、流派によって、それぞれの修行の仕方がある。修行の仕方が違えば、規則も違う。中には、童子(童貞か、若い子どものことを指す)を保つこと、禁欲すること、酒を断つこと、怒らないこと、などが規則に含まれた流派も存在した。このルールを持つ流派の中で、当時いちばん名を馳せていたのが新古(しんこ)派である。
実力において勝るものはないとすら言われた新古派に、いちばん実力のあると言われている、若い一番弟子が居た。彼は名を項氷(シァンビン)と言い、年は16の、幼い少年であった。彼の評判はとても最高で、たとえば「仙人のように雲に乗って空を飛んでいるのを見た」とか、「鶴に化けて村人を魔族から助けに来てくれた」だとか、明らかに偽りなものさえもあった。実際、彼は雲に乗って空を飛ぶことなど到底できないし、鶴に化けるなどもってのほかで、ましてや魔族とは遭ったことすらもなかった。
けれども彼は、確かに仙術を得意としていて、その知識や技術も、新古派の弟子の中ではいちばんであった。
しかし、そんな彼が、今、目の前の魔族の血の入った男と、口づけを交わそうとしている。その男は、項氷と同じ新古派の同期であり、仙術に対しては、項氷と同じか、それ以上の実力を持っている。けれども、生まれが魔族と関わる故に、項氷以外の誰からも疎まれ、修行の機会も阻まれてきた。そんな不憫な男である。
不憫な男――李札(リチャ)は、誰からも疎まれてきた故に、生まれてからずっと友達がいなかった。そんな彼に手を差し伸べたのは、他でもない、項氷だけである。項氷は美しく、若く、真面目で、その上確かな実力がある。李札からすれば、そんな項氷はとても魅力的に映った。
李札は、項氷を愛している。項氷も、李札を愛していた。彼らは恋人であった。けれども新古派の規則のせいで、手をつなぐことはおろか、口づけさえも憚られてきたのである。
けれども特に李札は、項氷とシたかった。口づけだけでなく、口づけのその先までをも望んでいた。それも言えずに居たことであるが。
李札は、始めて項氷の白い指先をしっかりと握ると、項氷の顎を引き寄せ、その小さな色素の薄い口先にそっと唇を重ねる。一時ののち、パッと唇を離せば、項氷の真っ白な顔がまるで焼いた魚のように赤く染まっていた。
李札はそんな項氷が愛おしく、いじらしい。腹の底からふつふつと湧き上がってくる衝動は、最近成長してはじめてこの感覚を覚えたばかりの李札にとって、止めようがなかった。李札は項氷の顎をもう一度引き寄せて、先ほど口づけたばかりの唇にまた唇を重ね、またその間にそっと舌を挿れる。李札の長い舌は項氷の口の中を蹂躙し、二人の口からは細い途切れ途切れの息と、乱れた水音が、ふっ、と漏れてゆく。項氷は禁じられた欲が腹の中に渦巻くのを感じていたが、李札が強く頭を抱き寄せるので、深い、この淫らな口づけをやめられない。
項氷は焦り、李札を突き飛ばそうとも考えたが、なんと、彼の物はもう立派に成長してしまい、手に負えなくなっていた。それに、口内をひたすら駆け回る李札の舌は心地よく、その心地よさからはもう逃げられそうにない。項氷は諦めて、李札に身体を委ねることにした。
李札はそんな項氷を抱き寄せる。項氷は李札の膝の上に乗っていた。その上強く抱き寄せたことにより、それぞれ立派に育ったお互いの物が衣越しに触れる。途端、項氷は恥ずかしそうに耳を真っ赤に染めた。李札は項氷のその物に、空いている左の手で衣越しに触れる。そして握ったかと思えば、上下に激しく扱きはじめた。項氷は、始めて感じた刺激にんっ、と甘い声を上げる。彼は後ろに身体をのけぞらせて、あっあっ、と連続して高い声を漏らした。醜態を晒せば晒すほど、李札の手の速度はどんどん早くなり、だんだん何も考えられなくなっていく。その手の動きに合わせて腰を動かせば、再び気持ちよさは倍増し、やがて無意識下に「いくっ…」と一言呟くと、衣を着たまま、白い絶頂を噴き出した。
2話へ続く