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推し活とは何かあなた達は分かりますか?
急にこんなことを言われても意味が分からないだろう。
だが、推し活というものに振り回された人生だった私の話を少し聞いて頂きたい。
この話は私が高校1年生の頃に話を巻き戻す。
俺は平凡な高校生だった。
入学してから勉強はそこそこ、友達も少なくはなかった。
そんな俺にある日気になる子ができた。
短髪で大人しそうな見た目の子だった。
学校には女の子が少なく、女友達と呼べるような人もいなかったため接点は全くなかった。
ある日その子と部活が同じということを知った。
俺は放課後にバイトをしていたのでほとんど幽霊部員のようなものだった。
そのため、全く部活に顔を出していなかったのだ。
同じ部活と知った時に連絡先を聞いてみた。
案外普通に教えてくれた。
気になっていたこともあり毎日その子のプロフィールを眺めていた。
だが、ステータスメッセージに「♡総悟♡」と書いていることに気がついた。
彼氏持ちかと落ち込んでいたが、ある日その子から「誕生日おめでとう、今日で合ってたよね?」とメッセージが来た。
合ってはいるが、なぜ知っているのかと疑問に思い聞いてみたところ
「誕生日が私の誕生日の1ヶ月違いだったから何となく覚えてたんだ」と言われた。
彼女は4月俺は5月だった。
そんな些細なことをきっかけによくLINEをするようになった。
何日かやり取りが続いていた頃に、「そういえば、彼氏いるのに男とずっと話してていいの?」と思い切って聞いてみた。
「なんの事?」
彼女がとぼけてきた。
「ステメに♡総悟♡って書いてるじゃん」
そう俺が問いかけると彼女は
「あー、それ銀魂の沖田総悟のことだよw」
「銀魂ってあの漫画の銀魂?」
「うんw」
とてつもない勘違いをしていたことに気づいた俺は恥ずかしくなった。
「ずっと沖田総悟好きなんだ」
そういう彼女には彼氏などいなかったのだ。
その事実に安心している自分がいた。
自分でも気づかないうちに俺は彼女のことが好きになっていた。
俺は勇気を出し告白をした
が、振られてしまった。
(まぁ知り合って間もないし、そんな気にしなくてもいいか)と楽観的に考えていた。
その日から毎週のように告白をした。
いつしか告白はネタになりかけていたが、そんなことは気にせず俺は毎週告白をし続けた。
夏になり彼女とその女友達とも仲良くなっていった。
女の子同士で推しの話をしているところに鉢合わせた。
彼女達はクラスで誰だったら推せるかと討論していたのだ。
正直、アニメや漫画は詳しくはなくオタクの文化というのが分からなかったため推しという言葉が分からなかった。
「推しって何?」と彼女達に聞くと
「推しは恋愛的な好きではないけど、この人を見てたいなとかそんな感じに思える人とかキャラクターのことかな」
そう説明してくれた。
(恋愛的な好きではないけどってどういうことだ?)とは思いつつも話を聞いていると正直彼女達が言っている推しという言葉にとても引っかかった。
俺が彼女を思っている気持ちとほとんど変わらなかったのだ。
その日の放課後、帰り道が彼女と同じだったため一緒に帰ることが多々あった。
今日も一緒に帰ろうと言うことになった。
その帰り道で「ほんとにそのクラスのやつは推しなの?好きではないの?」と問い詰めていたら、「正直分からない」と言われた。
俺は推しという言葉に逃げているだけだと少し苛立ってしまった。
家に着くと彼女といつものようにメッセージでやり取りをしていた。
「やっぱり好きなのかも」
そう言った彼女は俺に「気づかせてくれてありがとう」と感謝を告げた。
俺は複雑な気持ちを抑えながら
「どういたしまして」とメッセージを送りその日は眠りについた。
その日から俺は彼女の幸せが俺の幸せと思い、彼女の恋を応援した。
彼女の好きな人に俺は近づき仲良くなってどんなやつなのかと探っていった。
正直悪いやつではなかったので、また複雑な気持ちになった。
また月日は流れていき秋になった。
彼女の好きな人と順調に仲良くなっていき家に招き入れることにした。
そこで男通しの話をしようと持ちかけた。
彼は「実は好きな人がいてさ」そう俺に呟いた。
**「〇〇なんだよね」**彼女の名前が出た。
両思いだったのだ。
話を聞いていくと、俺と彼女が付き合っていると思っていて手が出せなかったのだと言う。
周りの人から見ると仲が良すぎたので付き合ってると勘違いされてもおかしくはなかったが、俺のせいで付き合えなかったのかと思うと俺は少し嬉しい気持ちもありながら罪悪感が湧いてきた。
「彼女と俺は付き合ってないよ」
そう言った俺に彼は安心したような顔を見せた。
「彼女とお前、お似合いだよ。告白しちゃいな」
心を無にして俺は彼に言った。
そして一緒に告白の言葉を考え、直接は恥ずかしくて言えないという彼に「メッセージでもいいから」とアドバイスをした。
その日解散する直前に彼のスマホに彼女からメッセージが来た。
「嬉しい、私もずっと好きだった」
その瞬間に俺の半年の恋が終わりを告げた。
もちろん彼には俺が彼女のこと好きだなんて言っていなかったので「ありがとう!」と嬉しそうな顔で彼は帰って行った。
その日の夜1人で泣いた。
彼女の影響か、俺はアニメが好きになっていた。
俺もオタクの1人になっていたのか頭の中に1つの言葉が浮かんだ。
負けヒロイン
俺の恋は負けヒロインのような悲しい幕引きとなった。
推しという言葉はほんとに便利で楽な言葉ですね。
あなた達にも推しはいますか?
いたとしても手の届く人には使わない方がいいですよ。
もしその人から「好きです」と言われたらあなた達は付き合いますか?十中八九付き合うでしょう。
推しという言葉に逃げずに、好きということを自覚しましょう。
私の話はこれまで。
病んでしまってネット恋愛をしたのはまた別の機会にでもしましょうか。