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僕の名前は岩月太一高校一年生だ。
今僕が住む日向村は、神薙様という神様を祀っている。
神薙様とは、昔の日向村に謎の病気があり、人が何の前触れもなく死亡するという病気だ、その病気を解決したのが、神薙様らしい。
らしいというのは、言い伝えだから本当かどうか解らないからだ。
まあ人が何の前触れもなく死亡するのは怖い。
神薙様は本当に居るのか?この村で育ったぼくでも解らない。
老人は神薙様信仰心が強く、神薙様を崇めている。
祟とかそういう話は聞いたことがないし、そんな危なっかしい神様ではない。
まあ僕は神様とかは信じないし、居ないと思っている。
そんな僕は今春休みで暇だ。学校が無いのは良いが暇なのは嫌だ。
なんという二律背反だろうか?
そもそも学校は楽しいから休みたくないし、病気の時以外は休んだ事がない。
えっさっき学校が無いのが良いって言ってたって、だから二律背反なんだよ。
僕はいつでも前向きに生きている。
☆
僕は今図書館に秋石平継と来ている、平継は僕の親友で家族みたいな存在だ。
僕は両親を雨の日に亡くしていて、今は平継の家で生活している。
まあ平継とは最初の頃はよく喧嘩をした。だけど今では喧嘩をしてはいない。
それだけ仲良しな証拠だ。
僕たちは図書館の読書コーナーで、各々の好きな小説を読んでいる。
冷房がひんやり冷たい風を出していて、気持ちがいい。
本を一ページ一ページ、ゆっくりと捲りながら読んでいる。
平継も静かに読んでいる。平継と隣で向き合いながらも、本を読むペースは変わらない。
「なあ、太一。今度の春祭り楽しみだな」
日向村には春祭り、夏祭り、秋祭り、冬祭りと春夏秋冬の祭りがあり、皆で楽しむ。
「確かにな」
「お前露店で友奈に誂われるんじゃないか?」
「友奈か…そう言えば友奈東京に旅行に行ってるんだろ、春祭り迄に帰ってくるかな?」
「お前、友奈の話を聞いてなかったのか?春祭りの前日に帰って来るんだよ。」
「そうだっけか…まあ遥と里見と三栗は今夏祭りの準備で忙しいだろうからな…」
「とにかく、春祭り楽しみだよな」
「ああ」
話で出てきた、友奈は笠本友奈。高校一年生で村長の娘だ。
友奈はとにかく男勝りな体力と性格をしていて、本当に女の子かと思う程だ。
ゲームにも詳しく、テレビゲームや麻雀とか色々なゲームを知っている
だけど女の子らしい一面もある。料理が得意だったり、裁縫が上手だったり。編み物も編める。
次は遥は春風遥で、わらわという変な一人称で自分を呼んでいる。
遥はダンスや歌が上手く、とにかく一日中ダンスの練習をしている。
料理が下手でブラックマター作りのプロだ。そんなプロ要らないが。
小説を書くのが趣味で、いつかは小説家になるんだと張り切っている。
次は里見。原田里見は似非関西弁を喋る変わった女の子。射撃の達人だ。
三栗は安城三栗で、ボクっ娘だ。
図書館で読書が終わると、外で食べる為に出かける事にした。
外は図書館より暑く(当たり前だが)とても耐えきれない。
猛暑が続きとても快適には過ごせない。まあ冬は冬で寒い寒いと言うのだが…人間って自分勝手だよな。
まあ人間は自分勝手な生き物だからな、それよりも平継は辺りを見廻している。
「どうしたんだよ平継」
僕は怪訝そうに平継に訊いた。
「いや、何か視線を感じて、太一は感じなかったか?」
「全然、誰か付けてきているのか?」
「わからん、だけど……気の所為かな?気の所為だな行こうぜ」
「お前がいいならいいけど…」
「いいんだって」
「ああ」
外食するために、サイゼリヤに向かう事にした。
サイゼリヤは日向村の隣町の風見町にある。風見町は昔から日向村との交流がある町だ。
よく日向村の人達は風見町に通い詰めている。ゲームとか漫画を買いに行く人もいれば、安さ目当てにスーパーに寄る人も居る。
風見町では日向村の人を良くしてくれている。風見の人達も春祭りに来る。
春祭りは毎年恒例のオークションがあり、夏祭りはビンゴ大会、秋祭りは大食い大会、冬祭りはマラソン大会がある。
僕は目当てのサイゼリヤを探しながら、気配も探している。
平継が感じた気配が気になってしまっていた。
サイゼリヤは大通りの一角にあり、いつも大盛況だ。
平継はスマホをながら歩きをしていた。
まあ僕もするので、人の事は言えないから、黙っている。
それにしても、そろそろ着くはずなんだけどな?
あっ、あった。
「平継ここだぞ」
「そうか…」
俺たちはサイゼリヤに入店すると席に座った、店員さんが挨拶をして、水を置いて行った。
「平継、何食べる?」
僕はもう決めてある、なんたってここに来るのを楽しみにしていて、前来た時に食べれなかった物を頼もうと、決めていたからだ。
平継はスマホから目を離さない一体何を見てるんだ?
「平継何を見てるんだ?」
「いや…遥が投稿している小説を見てるんだ」
「面白いのか?」
「いや、面白くはないが、指摘してやろうと思ってな」
「そうか…それより注文は決まっているか?」
「リブステーキでいい、あとドリンクバー」
「そうか…注文するか」
呼び出しボタンを押した、しばらくして店員さんが近くまできた
「リブステーキ一つ、ハンバーグ一つ、ライス一つ、ドリンクバー二つ」
「かしこまりました」
店員さんはキッチンへ入って行った。食事が来るまで待つことにした。沈黙が続いた
俺は沈黙に耐えきれず話題を探した
「平継はステーキ好きだったか?」
「いや、ただ肉ってだけで選んだ」
「そうか」
間が保たない、いつもはお喋りなのに、こういう時は無言なんだよな
…
「ドリンクバーでミックスジュースやるか?」
「そんな子供じみた事はしない」
……
「僕さあ、エスカルゴ食べたことあったけど、熱すぎて冷ましてから食べたけど、美味しかったよ」
「ふーん」
………
やはりとっつきにくいな
「お待たせしました、リブステーキとライスです」
ライスが先に来たか…まあいいか。
話を止め食べる事に
ご飯を食べ終わり、一息吐くと
「なあ、明日俺名古屋に行くんだけど付いて来るか?」
平継は明日名古屋に向かうつもりらしい。
僕は平継と出かけるなら何処でもいいからな。
「探偵部メンバーで行こうと思うんだが」
探偵部メンバーか…遥は絶対興奮するな…絶対ゲーセンに寄るだろうな…
三栗はまあぼや~としそうだな…
里見は遥と一緒だな…
帰宅部メンバー全員ではない、友奈が居ないからだ…
春祭りはゴールデンウィークにあり、今は4月20日でもうすぐ友奈は帰ってくる。
まあ探偵部メンバーなら楽しくやれるだろうからな。
探偵部というのは、この村の事件を解決する部活だ。
前に猫探しや、忘れ物探し、浮気調査(ただし学生しか依頼していない)を解決した。友奈が部長だ。
しかし探偵部は最近依頼がなく、暇をしている。
「じゃあ準備しないとな」
「俺はみんなにもう一度連絡するわ」
ふぅーと溜め息を吐くと
「じゃあ、俺今から別行動とるから、また家でな」
「そうだな」
僕はとりあえず、風見町を探索する事にした。
風見町を歩いていると、同じ高校一年生の夕凪時生がいた。
学校でもあんまし時生のいい話は聞かないし、素行も悪い。
時生はジャイアンみたいな身体をしていて、いつも威張っている。
時生は本屋に入店した…
あいつ漫画でも買うのか?まあどうでもいいけど…
春祭りで問題起こさなければいいんだけど。
「よっす」
後ろから前田圭人が話しかけてきた
「圭人かどうして此処に?」
「いやぁ、日向村図書館でお前ら見つけたんっすよ、そしてっすね後を付けてたんっすよ」
平継が感じた視線は圭人だったみたいだ。
まあ圭人でよかったな。
「圭人は何で付けてたんだ?」
「別に…ただ…まあな、お前らが楽しそうだったからすよ」
「そうか、ならそう言えばいいのにな」
「なんでおいらから言わないといけないんすか?」
「じゃあ、今から遊ぶか?」
「今日はこの後用事があるんすよ、だからここでお別れすよ」
と言い去って行った。
仕方ない一人で風見町を探索するか…
一人で探索していると遥がゲーセンの前でウロウロしていた。
多分ゲーセンに入店すると、歯止めが効かなくなるからだろう。
あいつクレーンゲームの景品全部取って、クレーンゲーム禁止になっている。
クレーンゲームの景品全部って凄いな…
「おい遥、何してんだ?」
「なんじゃ、太一ではないか…お主わらわと一緒に…その…里見の誕生日プレゼントを買うのに、付いてくれぬか?」
「あれ…里見の誕生日って11月のはずなんだが?」
「っあ……」
急にもじもじし始めて
「一緒に散歩してくれぬか?」
「なんだ、別にいいけど」
「じゃあ映画館に行くとしよう?映画嫌いか?」
「別に嫌いではないが」
「じゃあ付いて来てくれ」
遥は恋愛映画を観たいと思ったが、一人で映画館に行くのは躊躇いがあったらしい。
それでゲーセンの仲間を誘おうとするも、勇気はだせないし、気苦労すると思い断念しようと思った時に僕がきた、らしい。
映画タイトルは『恋愛物語』というらしい…
いやまあ、なんていうかその、確かに躊躇うなと思った。
映画館に向かう最中、色々な話をし始めた。
「お主は神薙祭にはでるのか?」
神薙祭は春祭りの後にあり、皆で民謡を流し躍るという祭りだ。
神薙祭は自由参加だから、参加しなくてもいい。
それでも、参加する人数は多くて、いつも大盛況だ。
「僕は遠慮しとくよ」
「なんじゃ詰まらぬのう」
「遥はでるのか?」
「わらわはでるぞ、なあお主、わらわと一緒に踊ってほしいのじゃが」
「遥が言うなら一緒に踊るとしよう」
「そうか」
遥は嬉しそうな顔をした。春風がまだ冷たいこの頃、僕は暖かく感じた。
「なら映画館に急ぐのじゃ」
「おいおい、映画館まで急がなくても、スマホで上映時間調べたけど、まだまだ時間あるぞ」
「そうなのか?ならいいのじゃが」
映画の時間を気にして急ぐなんてな。可愛い所もあるなあ。
上機嫌で歩く遥を見ていると、多分映画館は付け足したんだな、と思った。
春風が吹いていい気分になり歩調を強めた。
映画はそこまで長くはなく面白くもなかった、まあ恋愛映画は興味ないからな。
遥は途中で泣いていた、感情移入が凄いようだ。
まあ感動したならそれでいい。
「泣けたのうあの映画は、また一緒に観てくれぬか?」
「別にいいけど…」
「なら決まりじゃ」
「なにが決まりなんだ」
「今度の名探偵ポソンの映画を観ることじゃ」
「そうか…確か夏休みだったな」
「はやく夏休みになればいいんじゃが」
「気が早いよ」
それでも遥は嬉しそうにはしゃいでいる。
「あっ」
俺は唖然とした、こちらに刑事が向かっているからだ。
たったの数ページでこんな展開に…でもまだ序章にしか過ぎない。
あの刑事は戸田和則だ、昔厄介になった事がある。
なんであの刑事が…
「おやぁ、これは太一君じゃあないかね。太一君少し話が聞きたいんですがね…まあそんな構えなくても」
「なんの用ですか和則刑事」
「今は警部ですよ、まあ古い事は置いておきましょうよ、お互いの為に…ね」
「遥、ごめんだけど、少し行ってくるから」
「ああ」
和則警部は近くのファミレスに入店した
このファミレスは美味しいと、評判のファミレスだ。
こんな警部と一緒に入店する事になるとはな。
それにしてもなんの用だ?
「太一さんは、神薙様は知っていますよね」
「それくらいは知っています」
「そうでしょうねぇ」
嫌味ったらしくそう言い、辺りを見廻している。この刑事なんの用だ?
なんで僕を付け回すんだ?
「そう言えば、おなたは小学3年生から中学3年生までは名古屋に居ましたよねぇ」
「ええそうですが」
なんでそんな事を今更持ち出すんだ…?
「貴方が名古屋にいる間少し殺人事件がありましてね…それで少し伺いたいんですが、あなたはこちらに来ていませんよね」
「何を当たり前なことを言ってるんです?」
「まあ来ていないならいいんです、何から話せばいいかなぁ少し昔の話になります」
☆
その前に僕の回想から
僕が小学3年生の頃両親の都合で、名古屋の守山区に住んでいた。
まあ転勤が決まった時は引っ越したくないと、反対をした。
しかしそれは無駄で、すぐに名古屋に引っ越しをした。
名古屋の学校では上手く溶け込んでいた。
仲良しの友だちも出来た。坂本悠里という男子の友だちでよく遊んでいた。その時の話だ。その名古屋で和則警部と出会った。
いつもいつも、この坂道を悠里と歩いていた。
坂道を登るのは苦しかった。しかし何故か悠里と登ると苦しくならなかった。
「待ってよ、悠里君」
当時友だちだった悠里は、とにかく運動神経抜群で、元気だった。
悠里がこっちを見て
「なあ、俺たちずっと一緒だよな」
「ああ」
親友の悠里は友情に厚く、友だちを見捨てる事が出来ない、男の子だった。
そんな悠里と遊ぶのは楽しくて楽しくて仕方無かった。
「太一、早く来いよ」
「待ってよ」
だけど事件は起きた、悠里が自殺したんだ。
そんな事を信用したくなかったが、現実だったから仕方無かった。
悠里が自殺と解ってはいた。解ってはいたが悲しかった。そんな時に和則警部に会った
「ふぅー、太一君。君は本当に悠里君と会ってないんですね」
「何回もそう言ってます」
和則警部は自殺じゃなく、僕を犯人と決めつけてきた。
僕は事件の事も知らないのに。
学校の屋上から落ちたらしい、その時間僕は寝ていた、のにも関わらず犯人だと決めつけてきた。
そんな出会いだった
☆
「それより、あの事件結局どうなったんです?」
僕は和則警部に事件の事を訊いた
「結局自殺で片付きましたよ」
「そりゃそうですよね、自殺なんですから」
僕は皮肉を込めて言った。親友を殺した犯人にされたんだ、それくらいは当然だろ…
「それより、警部はこちらに移動になったんですか?」
「はい…守山警察署から、日向警察署に移動しましてね。そんな事よりもまずはこの村で起きた事件から」
「そうでしたね」
「まずは、笠本真司元村長を知っていますか?」
笠本真司…たしか今の村長の双子の兄だったな…なんで元村長が関係…元…確か辞めたんだっけか…
「そりゃ、そうなりますよね。辞めたんじゃなく、殺されたんですよ」
僕は唖然とした、殺された……まさか……そんな
「残念な事に、犯人は未だ捕まっていません」
あの優しかった村長が……なんで
「まあ、お気持ちは解りますとも。元村長は人格者でしたからね」
「それで終わりですか…」
「いえ、まずは村長が殺されたのは、五年前の12月24日クリスマスイブです」
クリスマスイブか…
「そして、その日を血のクリスマス、ブラッドクリスマスと村人は呼び始めました」
ブラッドクリスマスか…そんな事件なんでニュースにならなかったんだ…
「警察が報道規制をかけて隠しました、ただでさえ過疎な村ですからね、余計人が寄り付きませんから…」
そこまで聞いて僕はもう何が何だか解らなくなった。
報道規制、ブラッドクリスマス、色々な単語が出てきた、でもそれだけで終わりか。
「それで終わりですか?」
「いえ、まだ続きます。その前に元村長がどう殺されたか、ですが」
和則警部は一息吐くと
「まず深夜の2時近くに警察署に通報がありました。」
深夜の2時丑三つ時か、幽霊とか定番のシチュエーションだか。
「なんでも、争う音が聴こえるというのです」
争う音か…
「それを聞いて駆けつけた警官が見たのは。顔が解らなくなるまで殴られて、変わり果てた村長でした」
その光景をみた警官は、トラウマになっただろうな
「しかしおかしな事に、抵抗した形跡が無かったんですよ」
えっ抵抗した形跡が無い…
「だから、わたしは顔見知りの犯行だと思いました」
「まあ妥当ですね、僕もそう推理しますよ」
「そうですか…わたしはこの殺人事件なんか裏があると思うんですよ、さらにその翌年」
その時インカムから話し声が聞こえてきた
「わかりましたよ、いま向かいますんで」
そう言い終わると
「じゃあまた話しましょう、続きはその時に」
といい去って行った。
☆
それにしても、まさか真司村長が殺されたなんて…
真司村長は僕が日向村に居た時に、優しくしてもらった覚えがある。
小説でこんな展開が早い小説初めてだな(多分)
はあ疲れたな、あの刑事とまた会うなんて、思いもしなかった。
なんであの刑事が居るんだ?
日向村に戻り帰り道
「おいあんちゃん、大丈夫か、あんちゃんどうしたあんちゃん」
その声の主は、寝転がる男に話し掛けているみたいだが、どうやら様子がおかしいらしい。
「あんちゃん、救急車を呼んでくれ」
僕は急いで救急車を呼んだ。どうやら大変な状況らしい。
助かるといいんだが
「あの、何があったか詳しく聞いてもいいですか…」
「あんた、探偵部か…」
探偵部を知っているって、有名になったもんだな。
「そうです、まず貴方と被害者の関係から」
「ああ、俺は通りすがりだよ、この道を1時間前に来た時、このあんちゃんが酒をここで飲んでいるのを見かけたんだ、その後10分したくらいに、隣町のスーパーに行く用があったから、向かっていたんだ、その帰り道来たらこの状況になったってわけさ」
事件がおきた道は、今では使われていない、山道で隣町のスーパーを通る時に道が二手に分かれていて
上が今の道でスーパーに行く道は下の道だ
「それを証明するのはあるの?」
隣を見ると三栗と里見が居た
「それはこのレシートだよ」
「やけど、レシートは関係ないで。ここからスーパーまではな約5分や、スーパーから上の道へは5分でやく10分着くんやだから証明にならへん、でてから」
「でも」
「里見、この人は犯人じゃありませんわ」
「なんでや」
「第一に訊く限りですけど、この人と害者は初対面ですし、もし犯人なら起こそうとしませんわ、普通その場から離れますわ」
三栗が淡々と説明した。
「まあ、ええわ。それよりもやな、害者の身分が解るものは」
「ないですわ、またですか…」
「また…?」
俺が理由が解らずにいると。
「去年もこの道で…事件があったんですわ」
「事件が…この道で…」
あの後どう帰ったかは覚えていない、しかしあの後に警察の事情聴取もあったな。
僕は起きるともう夜の8時だった。降りると平継が帰って来ていた。
平継は僕を見ると
「おう太一、遅かったなにがあった」
「変死事件だよ、薬物反応なしだ。注射跡があったが糖尿病らしい」
「そうか、お前はどう睨んでいるんだ?」
「まあ一つだけ可能性がある」
「なんだ」
「でもなあ、やはり気の所為だ忘れてくれ」
「なんだよじれったいな」
「まあ、確信が持てたら言うよ」
「そうか…」
平継は残念そうに言った。
「警察は殺人にしたいらしい」
「なんで?」
平継は怪訝そうに訊いて来た。
「祟だとか、天罰とか、村人が色々と言ってるんだよ」
「それで、病死だと祟りのせいになるから、殺人にしたいのか」
「まあ、そんな所だね。僕も病死だと思うけど祟りとかはあり得ないから、殺人にしたいという気持ちは解るよ」
僕は呆れたように言った。
「俺も同感だ。しかし解らないのは、どう殺したかだ。」
平継は溜め息を吐くと
「それは…解らないよな、病死だし」
とお手上げポーズをとった。
「まあそうだな」
「さて明日に備えて、今日は寝るか…」