テラーノベル
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「……よかったなぁ、影山」
菅原のその言葉が落ちた瞬間だった。
――カチ。
小さな音。
「……?」
影山が眉を寄せる。
次の瞬間。
左側。
折れたはずの角、その根元に浮かぶ輪が、淡く発光した。
「飛雄?」
及川が目を瞬く。
光はどんどん強くなる。
青白い。
澄んだ光。
「な、何すかこれ」
五色の耳がぴんと立った。
すると。
パキ、……パキパキ。
何かが“生える”音がした。
「――は?」
日向が固まる。
影山の左角。
折れていたはずの断面から、黒い角がゆっくり伸び始めていた。
「え」
影山本人が一番呆然としている。
再生。
有り得ない。
角は、滅多に折れない。
そして。
一度折れた角は、基本戻らない。
「……あ」
研磨が小さく呟いた。
全員が見る。
研磨は静かに目を細める。
「……昔、本で読んだことある」
その声は、いつもより少しだけ柔らかかった。
「角とか羽って……稀に、“想い”の力で治ることがあるんだって」
静寂。
影山の角は、ゆっくりと形を取り戻していく。
「羽は落ちること結構あるけど」
研磨は影山を見る。
「……角って、滅多に折れない」
ましてや。
影山飛雄みたいな化け物クラスなら尚更。
「だから」
#などなど
유리
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金色の瞳が細まる。
「影山、これ折れた時」
少しだけ間が空いた。
「……すごい、寂しかったのかもね」
空気が止まった。
影山の目が揺れる。
六百年前。
あの戦い。
角が折れた瞬間。
及川が血塗れで、自分の前に立った。
『飛雄』
笑っていた。
なのに。
今にも消えそうだった。
あの時。
初めて。
怖かった。
一人になるのが。
「……っ」
影山の喉が震える。
その時だった。
ぶわっ――……!
風。
凄まじい風が、食堂を包み込む。
「うわっ!?」
日向が目を見開く。
研磨の周囲。
いつも蔓のように絡まっている角。
そこを渦巻いていた風が、ぴたりと止まっていた。
「……研磨?」
菅原が目を瞬く。
すると。
蔓みたいな角が、ゆっくり伸び始めた。
生き物みたいに。
柔らかく。
静かに。
及川と影山の周囲へ絡みついていく。
「え、なにこれ」
「……精霊ノ祝福」
研磨がぼそっと呟く。
蔓が二人を囲む。
その表面から。
ぽつり。
小さな花が咲いた。
白。
青。
淡い桃色。
次々と花開いていく。
「……綺麗」
五色が思わず零した。
その瞬間。
ふわり。
暖かなピンク色の光が溢れ出す。
優しい光。
春みたいな匂い。
あまりにも穏やかな魔力。
研磨は静かに笑った。
「……及川さん、影山」
金色の瞳が細められる。
「おめでとう」
その声は、とても優しかった。
「怖がらないで、ただの精霊からの恵みだよ」
瞬間。
光が弾けた。
視界が真っ白になる。
「うわぁ!?!?」
「眩しっ」
日向と五色が騒ぐ。
及川は反射で影山を抱き寄せた。
そして。
ゆっくり。
光が引いていく。
静寂。
誰も喋らない。
最初に気づいたのは菅原だった。
「……え」
及川と影山。
二人の左手。
薬指。
そこに。
お揃いの指輪が嵌っていた。
「…………」
完全沈黙。
「……は?」
影山が固まる。
及川も固まる。
日向が口をぱかっと開けた。
「え、待っ」
「指輪!?」
「結婚指輪!?」
五色が叫ぶ。
及川が数秒停止して。
その後。
「……………………」
顔を覆った。
「無理」
「及川さん!?」
「え、無理、幸せすぎて無理」
「情緒どうなってんだよ」
影山が真っ赤な顔で言う。
でも。
自分も指輪から目が離せない。
左角は、もう綺麗に戻っていた。
及川が震える声で言った。
「飛雄」
「……ん」
「結婚した」
「してねぇだろ!!」
「したよ!!!」
「してねぇ!!!」
顔を真っ赤にして叫ぶ影山。
でも。
指輪は外さない。
及川がそれを見て、完全に限界を迎えた。
「飛雄可愛すぎる……」
「うるせぇ……」
すると。
研磨が小さく笑う。
「ふふ」
珍しい。
少し悪戯っぽい笑顔。
「……ちょっと、やりすぎた?」
「やりすぎだよ!!」
日向が即ツッコミした。
でも。
誰も嫌そうじゃなかった。
暖かな花の香りの中。
及川はそっと、影山の左手へ触れる。
大事そうに。
壊れ物みたいに。
「……飛雄」
「……なに」
「ずっと一緒ね」
影山は少しだけ黙って。
それから。
本当に小さく。
「……ん」
と頷いた。
その瞬間。
及川がまた死にそうな顔をした。
及影くっつきましたね。
まぁなんかこれからも多分BLです。
期待してた物語と違ってすみません。
日向も大分原作と性格が違いますからね。
さて、今後の展開ですが、
①研磨ともう1人の魔王補佐編
②五色と主人、その2人の育ての親編
③大菅編
どれがいいですかね?
もしよろしければコメントでのリクエストお待ちしております。
コメント
5件
リオンです。読了しました。 角の再生、めちゃくちゃ感動しました……! 「すごい寂しかったのかもね」って研磨に言われるシーン、ぐっときましたね。そこから精霊の祝福で指輪が現れる流れ、鮮やかすぎて声出ました。及川さんが「結婚した」って言い張るところとか、ツンデレ全開の影山の反応とか、温かくて思わず笑顔になりました。研磨が「やりすぎた?」って悪戯っぽく笑うところも可愛かったです。 続き、どれも気になりますが、個人的には①研磨編が一番読みたいです!