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僕は屋上から出て、春風さんを探した。
第七話 不屈の挑戦者
成海「春風さーん」
春風「あれ?成海さん」
春風「成海さん鬼ですか?」
成海「いや。違うよ」
春風さんは本気で鬼ごっこを楽しんでいる。いくら大人びているとは言え、まだ15歳だ。心はまだ子供なのだろう。
成海「春風さん、水越さんと松平くんが逃げました。」
春風「え…?」
もちろん嘘だ。だが、もうこの手しかないんだ。なんとしてでも成功させないと、これまでの努力が全て水の泡になる。
成海「どうします、僕達。」
僕が問いかけても、春風さんは無言のままだ。
成海「もう2人で死にましょうよ。」
春風「…わかりました。」
成海「練炭自殺のやり方とかよく分からないので…在り来りですが、飛び降りとかどうでしょう…」
春風「なんでもいいですよ。」
春風さんの声は震えていた。怖いのだろうか。だが、理由はなんとなく分かる。僕が今、決行しようとしている計画は無理やり感が半端じゃない。
成海「では早く屋上へ行きましょう 」
素早く移動をしないと、途中で水越さんと松平くんに出会ってしまうかもしれない。そうなれば嘘がバレてしまう。
ーーー
春風「成海さん、あの1ついいですかね…?」
成海「はい、なんですか?」
春風「成海さんって嘘下手くそですね…」
成海「え…」
やっぱりか。バレていた。僕は口を両手で覆って、指の隙間から「バレてたのか…」と息を漏らす。
春風「あの2人の事…苦手ですか?」
成海「違う。そうじゃない」
春風「理由があるんでしょう…?」
春風「もう少し一緒に考えませんか…?」
春風さんが僕を包むような声で問いかけてくる。虫唾が走る。
成海「知った気にならないで。」
ドンッと僕は春風さんを押した。春風さんは屋上から地面目掛けて落ちていった。やっぱり苦しそうだった。痛そうだった。飛び降りは見る度に思う。飛び降りはやめておこう。