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10 - 最終回

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2025年03月11日

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「カズく〜ん!」

ジャンクタウンに活気が戻る。元気に健気に働く皆、熱が入る!

「救世主!次こっち頼むよ」

「カズくん♡最高だね。お仕事って気持ち良い〜!もっと働きたいな」

「HOLYのアイツの言う通りだ。これが新世界……か、悪かねェな!後で美味いメシ食おうぜ!」

「うん!」

ロストグラウンドは救われた。快晴の青空の下で太陽は何時でも男達に微笑む、平和な日常が帰って来た。本土は医療班の水守を中心に傷跡の蘇生と令和の次の年号を期待してはハッピーエンドを夢見た。愛、瞬き。バトル・ファイト戦いは終わらない。

「シェリス。話って何だ?」

支部の廊下で書類を一瞥した劉鳳が彼女の心情を察する。シェリスは優しく笑顔で振り返る。

「あの頃の約束忘れたの?」

「忘れるものか。君の事は大切に想っている、これからも……」

「それは、そういう系?」

桐生さんは?薄紅色の口元が微かに動く。

「劉鳳」

「水守。いいのか?また上司にぼやかれるぞ」

「今度の飲み会のパーティーの打ち上げなんだけど……候補が幾つか見つかったの」

「任せといて☆ネ? 」

シェリスは強引に腕を組む。隣の劉鳳の絶影がたじろぐ。

「何よ。100%両思い」

「あーっ!!シェリスさんズルい!!」

HOLYは忙しい。今日も明日もずっと……劉鳳は切に願う、総ての幸せを。

「早くしろカズマ。スーツなんて馬子にも衣装だ」

「かなみ!こんなに食えねェよ……君島、お前もカラオケ歌え!」

宴会場は喜びの声で満ちていた。こんな愛しい日々が永遠に続けばいい……誰もがそう望んでいた。パーティーの帰り道、二人になった劉鳳はカズマの横に立つ。

「あの借りをまだ返していない」

「偶には良いな。こういうのも」

「涙の意味を言え」

「何だよ!女々しくて暗ェ奴だな。でも」

「でも?」

「いいぜ。白黒ハッキリ着けてェ。今やるか?」

「俺なりのけじめだ。そう思わせてくれ」

「このグローブだけは譲れねェんだ。アルター使いの哀しみだな!劉張さんよ」

「お前は今泣いていい。ハンカチも買えないのか?あの子の為を想ってみろ」

「アァ!?誰のせいでネイティブの俺達ロストグラウンドはボコられたと思ってんだ!」

「絶影」

一陣の旋毛風。人気の無い街角で二人は対峙する。夜長の罪滅ぼしが武者震いとなりマグマの激情を再燃させる!

「シェルブリットバースト!!」

「真・絶影!!」

最後の戦い。男の宿命、交錯する感情!安寧とした大地に狂犬と忠犬の矜持プライド叫び声がこだまする!!

「劉鳳!刻んでやる!!」

「カズマ!泣きたい時には泣け!!」

「男の子には引けに引けねェ時があるんだよ!!今だ!!」

交わる拳!!ド派手な雷音に怒涛の進撃が攻めぎ合う時間が世界バトル・ファイトの終焉を示唆していた。決着は付かなかった。僅かなゲートの開閉が向こう側の力の鼓動を待ち焦がれている。カズマの拳がひび割れし現実の壁をブチ壊し劉鳳が跪く!

「さすがだな。俺の負けだ。殴れ」

「これは仲間の分だ」

鈍い衝撃。ラスト・メッセージ……天空から光が射し込んだロストグラウンドの夜明けが夢の扉を叩いた。

「この痛み……二度と忘れまい」

「スクライド。進化の言葉、無常の遺志だ。かなみのアルターが発眼した」

ヒエラティック・テキストの文章が光歴史の叙事詩を新たに紡ぐ。永久に続く物語の始まりのチャイム鐘の音色が高鳴った。

「立てよ。絶影使いの新郎さん」

「言うな。女の色事を持ち込みたくない……俺は」

「新時代だ。香典返せよ。何人子供産むんだ?」

「……」

「次はお前が泣く番じゃねェのか?心の汗を流せ」

「ドラえもんのジャイアンが言っていた。映画の方が性格が良いってな」

「……さて」

固い握手の絆が明日の未来を切り拓く。語る言葉など必要無い、男達は夢想の旅人。続きは……

「そう思うだろ?あんたも!!」

劉鳳の瞳に光るものがあった。水守、シェリス……戦い総てが終わったら待っていてくれ。

「遅い」

「悪ィ、帰り道混んでてよ!ホラ!」

「すご〜い!新しいスマホ!」

「初月給祝いだ!欲しかったんだろ?君島は?」

「今向かってるって」

「よ〜し!今日の仕事も元気に働くぜ!!な、相棒?」

「嫁」

「カズマく〜ん!!」

車が到着した。かなみのキスがカズマのほっぺにLINEスタンプの様に押された。ありがとう。本土もロストグラウンドもあるものか。人は幸せになれる。希望。かなみの文章アルターが何時までも見守っていた。fin

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