第11話「俺の味方は貴方だけ」
Sm視点
暖かな言葉をかけて微笑むきりやんを前に、俺は1歩後ずさる。
分かっている、彼が俺に気を遣ってくれていることくらい。分かっている、分かっているけど!…頼る訳にはいかない。
だって俺はトップアイドル。誰もが期待して、誰もが夢見るアイドルの象徴。
本当はそんなことない、なんて言葉で簡単に逃げ出せる程、俺はお気楽な椅子に座っていない。
努力してやっと手に入れたもの、死に物狂いで勝ち取った王座なのだ…そんな簡単に隙を与えちゃいけない。
😊
「体調管理ができていなかったのは俺の失態だ。わざわざきりやんが口出すような事じゃない。 」
👓
「は?いや、でもあんな姿見て…!」
😊
「練習に参加するのも、仕事との兼ね合いを見て決めたことだ。俺なら出来るはずだから決めたスケジュールなんだよ、それすら出来ないのはただの失態だ。 」
そう、全て俺のせい。
寝不足で倒れそうになったのも。
睡眠薬に頼らないと眠れなくなったのも。
睡眠に害をなすストレスを抱えてしまったのも。
メンバーに、仲間に嫌われてしまったのも。
全部、全部俺が悪い。
😊
「きりやん、しばらく個人練習には付き合えそうにないんだ。仕事が立て込んでてな… 」
👓
「いやそれどころじゃ!」
😊
「現状の忙しさも踏まえ、これ以降の個人練習は控えた上で全体練習のみ参加する方つもりだ。 」
👓
「おいっ!1人で話進めんな!」
😊
「有意義な練習ができた。今のところ懸念点も特にないし、本番までは全体の仕上がりを優先するべきだろう、ちょうどいいじゃないか。 」
👓
「俺は──!!」
😊
「ありがとう、じゃあまた次の練習で。 きりやんも休めよ。 」
俺はきりやんの言葉に聞く耳も持たず、さっさと荷物をまとめてレッスン室を後にする。
何か言いたげなのは分かっているが、きりやんの事だ、絶対俺の行動に文句をつけるに決まっている。
心配なんて要らないのに。
そんな同情めいた顔をされても、俺の決意は揺らがない。
端的に言って分かっていない。
俺の事も、周りの事も、なにもかも。
😊
「分からねぇだろ、俺の事なんて。」
そう誰もいない廊下で独りごちる。
分からないなら、そのまま分からなくていい。
分からないことを悟らせる気も、曝け出す気も、俺には到底持ち合わせていないのだから。
きりやんは俺の理解者じゃなかった、ただそれだけの事。
俺は大きくため息をついて、再び緩まった背筋をしゃんと伸ばす。
言い聞かせろ、俺は誰もが憧れるトップアイドルなのだと。
🎤
「──ちょっと顔怖いんじゃない?」
😊
「…!?き、きんとき??」
突然声をかけられ顔を上げると、そこには最近仕事に出ずっぱりで顔を合わせていなかったきんときがいた。
深海の瞳が柔らかく細められ、爽やかな笑みを作る。その表情にどこか安心感を覚えた。
🎤
「何かあった?」
😊
「いや、特にない…ただ不安が過ぎっただけで、」
🎤
「それならちょっと移動しよっか、ここじゃ話しにくいだろうし。」
😊
「えっ、でもきんとき疲れてるだろ?」
🎤
「大丈夫だよ、そんなに疲れてないから。それにスマイルの話ならいつでも聞くって言ったでしょ? 」
おいで、と手を差し伸べられる。
それが当たり前かのように、ごく自然に。
きんときなら──
そんな思考がよぎり、俺の手は流れに身を任せるかのようにきんときの手を取っていた。
🎤
「ふふっ、いい子だね。」
😊
「こ、子供扱いすんな!」
🎤
「はいはい笑」
俺はきんときに誘われるがまま足を運ぶ。
──やっぱり、俺の味方はきんときだけなのかもしれない。
漠然ととそう思った。
👓
「….なんでだよッ….」
To be continued.
コメント
12件
いやいや大丈夫だよやんさん!別に理解出来ないことは悪いことでも当たり前なことでもないからぁ!んんんでも理解してほしいよね~?それもわかる、段々とknsmしてない?やっばいよぉ?!いややばくは無いでもやんさんの気持ちがーーーーア゙ア゙なんで恋愛って性別問わず虚しいの?!ま、それが味よね
別に!別にknさんが悪いわけじゃないんだけど憎く見えてしまう…2人とも純粋に恋愛をしてるだけなのに!…smさんが人たらしすぎるのが悪い()
うぁ、ッ、……良き……🙆♀️ krsmもいい!!!!でも、knsmもいいんですよね、(>ᾥ<) 2人のsmさんへの愛が、これからの物語を動かすのいいです( ˙-˙ )