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後宮の裏の雑木林の中には、一人の下女が人知れず使っている建物がある。

その下女は、下女として働くにはもったいないほどの博識を持っている。


なぜ、そのような博識を持ちながら下女として働いてるのか、その理由を知る者は片手で数えられるほどしかいない。


だが、ある時別の下女がひとつの噂を流した。



“彼女は本当に下女なのか” と。



だけどその噂は事実無根とされ、意外にもすぐに収まった。


それから三ヶ月後のある夜。

後宮裏の雑木林に向かう宦官が一人いた。

その宦官は建物のそばに行くと、静かにドアをノックした。



「どうぞ」



ドアの向こう側から聞こえてきたその声は、優しくしっかりしていて、だけど心地よく耳に残る少女の声だった。


その少女は例の博識を持つ下女で、建物内に入った宦官は彼女を “紅蘭(こうらん)様”と

呼んだ。



「新しい宦官?」

「はい。烙碧(らくあ)からの情報ですので 間違いないかと」

「そう。ありがとう」



紅蘭は訪ねてきた宦官を “蛍惺(けいせい)“と

呼んだ。


蛍惺は紅蘭に仕えている宦官であり、烙碧という人物からの情報や後宮内や外の情報を伝える伝達係だ。


そして、人間に興味と関心がない紅蘭が心を許し信頼している人物である。

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