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kaede🍁
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篝火

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その日、渡辺は朝からぼんやりしていた。
「翔太?」
キッチンで朝食を作っていた宮舘が振り返る。
ソファに座る渡辺は、どこか元気がない。
「なんか寒い……。」
「寒い?」
宮舘はすぐに渡辺の額へ手を当てた。
「……熱い。」
急いで体温計を持ってくる。
ピピッ。
38.4℃。
「今日はゆっくり休もう。」
宮舘がそう言うと、渡辺は素直に頷いた。
「……うん。」
その返事に、宮舘は少し驚く。
普段なら「これくらい平気」と無理をする渡辺が、今日は全く抵抗しなかった。
___________
病院を受診し、風邪と診断されて二人はそのまま帰宅した。
宮舘はお粥を作る。
「はい。」
「少しだけ食べよう。」
渡辺はベッドの上で身体を起こす。
「……涼太。」
「ん?」
「食べさせて。」
宮舘は思わず目を丸くした。
熱のせいか、渡辺の目はとろんとしている。
宮舘は優しく笑った。
「珍しいね。」
「今日は甘えん坊だ。」
渡辺は照れたように目を逸らす。
「熱ある日は……いいの。」
宮舘は笑いながらスプーンでお粥をすくう。
「はい、あーん。」
「……あーん。」
渡辺は素直に口を開けた。
「おいしい?」
「うん……。」
「涼太のご飯だから。」
宮舘はその一言だけで嬉しそうに微笑んだ。
___________
薬を飲み終えると、渡辺はベッドへ横になる。
宮舘が部屋を出ようとした時だった。
「……涼太。」
服の裾を小さく掴まれる。
「どうした?」
「行かないで。」
宮舘は少し笑う。
「洗い物だけ。」
「すぐ戻るよ。」
「……やだ。」
渡辺は少しだけ眉を下げる。
「一人、嫌。」
宮舘は優しく頭を撫でた。
「分かった。」
「じゃあ洗い物は後で。」
そのままベッドの横へ椅子を持ってきて座る。
渡辺は安心したように目を閉じた。
___________
一時間ほど眠ると、渡辺はまた目を覚ました。
「起きた?」
「……涼太。」
「いるよ。」
宮舘は本を読んでいた手を止める。
渡辺は眠そうなまま両手を広げた。
「ぎゅって。」
宮舘は少し笑う。
「はいはい。」
ベッドへ腰掛け、渡辺をそっと抱き寄せる。
「これでいい?」
「……うん。」
渡辺は宮舘の胸へ頬を寄せた。
「落ち着く。」
「熱があると。」
「涼太不足になる。」
その言葉に宮舘は思わず吹き出した。
「そんな言葉あるの?」
「今できた。」
渡辺は真剣な顔で答える。
宮舘は笑いながら渡辺の髪を撫で続けた。
___________
夕方になる頃には熱も少し下がってきた。
「37.4℃。」
宮舘が体温計を確認する。
「少し下がったね。」
渡辺は小さく笑う。
「……よかった。」
「でも。」
「今日はまだ甘えていい?」
宮舘は優しく頷いた。
「もちろん。」
「翔太が元気になるまで、今日は何でも聞くよ。」
その言葉を聞いた渡辺は、少し照れながら口を開いた。
「じゃあ。」
「今日だけ。」
「手、繋いで寝て。」
宮舘は微笑み、そっと右手を差し出した。
「今日だけじゃなくてもいいよ。」
渡辺はその手をぎゅっと握る。
「……毎日だと。」
「俺がダメになりそう。」
宮舘は優しく笑った。
「たまにはダメになってもいいよ。」
「そういう日は、僕が支えるから。」
渡辺は安心したように目を閉じる。
「……おやすみ、涼太。」
「おやすみ、翔太。」
二人は手を繋いだまま眠りについた。
翌朝、熱はすっかり下がっていた。
目を覚ました渡辺は昨夜の自分を思い出し、顔を真っ赤にする。
「……俺、昨日何言ってた?」
宮舘は朝食を並べながらくすりと笑う。
「秘密。」
「忘れて。」
「忘れない。」
照れ隠しにクッションを投げる渡辺と、それを笑って受け止める宮舘。
風邪は大変だったはずなのに、二人にとっては少しだけ特別で、温かな一日になった。
コメント
3件

感情を表に出すのやが苦手な💙 とことん甘えて 次の日には照れてるのが可愛い😍💕
第34話、読み終えました。思わず頬が緩んでしまう、あたたかいお話でしたね。 「涼太不足になる」って、なんて可愛い表現なんだろう……。普段は強がる翔太が、熱のせいで素直に甘えられるのが、逆に新鮮で。それを「今日だけじゃなくてもいいよ」とさらりと言える涼太の余裕、かっこいいなあ。 翌朝の照れ隠しのクッション投げも、二人の関係性がよく見えて、すごく好きなシーンです。風邪がむしろ特別な一日をくれる、そんな優しい気持ちになりました。