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GIFT(真実篇)【完結済】

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GIFT(真実篇)【完結済】

51 - 第5章 新たな生活

2022年03月23日

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「嘘だっ! あれは現実なんかじゃない」

「嘘じゃないよ。昨日私はあの場所で消えてなくなったの。もう、この世界の何処にも私はいないの」

「そんなの信じられる訳ないだろっ!」

「信じたくないのはわかるけど…どうしようもないんだよ」

こうして話している現実が余りにリアル過ぎて、まるでテレビの中の葵と会話をしているような錯覚に陥った。

まだ、この世界の何処かにいるような気がした。

「葵、今何処にいるんだよ?」

「瑛太のいる世界に私はいない。今瑛太と話している私は、2年前の私…。ちょっとだけ若いでしょ?」

確かに昨日まで一緒にいた葵よりも、幼さが残っていた。

待てよ…‥

2年前の葵という事は、まだ間に合うかもしれない。

「葵…お願いがあるんだ」

「やだっ!」

「まだ何も言ってないんだけど…」

「瑛太の言いたい事ぐらいわかるよ…」

「だったら…」

「私は、未来を変えるつもりはないから」

「お願いだよ。僕の言う事を聞いてくれって。僕と結婚しなっ‥」

「私は瑛太と結婚して、娘の遥香を産んで…僅かな時間だけど家族3人で幸せに暮らすの。そして、瑛太と遥香の1才の誕生日の10月13日に私は消えてなくなる。この未来を変えるつもりは絶対ないから」

「葵っ…」

「瑛太…ありがとう。その気持ちだけで十分だよ」

「わかった…」

「よしよしっ。偉いぞ瑛太っ!」

「葵…もう、会えないの?」

「会えるよ。また、こうして…」

「よかった…」

「じゃあね、バイバイ」

「うん…」

そこで映像は終了した。

僕はテーブルの上にある布巾を目に押しあて、涙を拭いさった。

それから僕は直ぐに玄関で靴に履き替えて、家の外に出た。

しばらくの間、アパートの回りを探していたが遠藤さんの姿は見当たらなかった。

この辺りで行きそうな所といえば…富士見公園…。

富士見公園は、滑り台とベンチしかない小さな公園だ。

とりあえず富士見公園に行ってみる事にした。

すると公園には、遥香をあやしながら歌を歌っている遠藤さんの姿があった。

決して上手いとは言えないけど、何処か懐かしさを感じる歌声だった。

「遠藤さん…」

「あれっ? 紺野くん、どうしたの?」

「さっきは、すいませんでした。せっかく頑張って作ってくれた料理を食べたくないだなんて…」

「別に気にしなくていいよ。何とも思ってないから」

遠藤さんは、さっきの事など無かったかのように笑顔で答えてくれた。

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