テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
この作品はフィクションです。
実在する人物・団体とは一切の関係はございません。
こちらはnmmn、二次創作です。nmmn、kgm受け、他にもmbkg、rfkgなどのタグの意味がわからない方は閲覧をお控えください。
また、作品閲覧する際は公共の場を避けてください。拡散、保存するような行為もご遠慮ください。
全ての配信や動画、ボイスを終えているわけではありませんので、口調や性格の解釈違い等が多く発生する可能性がございます。
・mbkg
・己の癖に従ったド捏造・とんでもストーリー
・kgmが可哀想
・kgm洗脳
・めちゃくちゃ展開
これでもOK!という方だけどうぞ!
「ROF-MAO」の収録を終え、いつものよう に穏やかな笑みを浮かべてメンバーに別れを告げた加賀美ハヤトは、一人で帰路についていた。
甲斐田晴が「また明日ですね」と手を振り、不破湊が「お疲れさんでーす」と軽い調子で労い、剣持刀也が「夜道、気をつけてくださいよ」と少し生意気そうに、けれど気遣わしげに言葉をかけてくれた、その数十分後のことだ。
加賀美インダストリアルの代表取締役として、そして一人のライバーとして、彼の日常は充実という言葉そのものだった。
しかし、その輝かしい日常の裏で、どす黒い執着の目が自分を捉えていたことには、流石の彼も気づいていなかった。
自宅へと続く、少し人気の途絶えた夜道。
背後から近づく足音に気づき、加賀美が、 「おや?」と振り返ろうとした、その瞬間。
背後から伸びてきた影が、彼の身体を容赦なく組み伏せた。
「――っ!?」
声を上げようとした口元に、鼻を突く不快な化学薬品の臭いが染み込んだ布が、強く押し当てられる。
必死に抵抗しようと加賀美の身体が強張るが、背後から彼を拘束する肉体は、おぞましいほどの力でそれを許さない。視界がぐにゃりと歪み、街灯の光が引き延ばされていく。
暗がりのなかで辛うじて見えたのは、自分を抑えつけている男の姿だった。
綺麗に整えられた加賀美の衣服とは対照的な、薄汚れた衣服。脂ぎった肌と、手入れのされていない無精髭。お世辞にも清潔とは言えない、中年の、薄汚い男。
だが、その男の瞳に宿る狂気だけは、恐ろしいほどに純粋だった。加賀美のことが好きで、好きで、好きで仕方がなくて、ついに一線を越えてしまった男の、歪んだ愛。
「ぁ、……は……」
加賀美の喉から、掠れた声が漏れる。
いつもなら、どんな窮地でも「私としたことが」と苦笑混じりに切り抜ける聡明な頭脳が、急速にシャットダウンしていく。指先の感覚が消え、立っていられなくなり、膝から崩れ落ちる。
「……やっと、手に入った。俺の、可愛い、可愛い……」
耳元で、男のねっとりとした、歓喜に震える声が聞こえたような気がした。
代表取締役としての責任も、ROF-MAOの仲間たちの顔も、自分が築き上げてきた「加賀美ハヤト」という存在のすべてが、深い深い闇の底へと急速に沈んでいく。
それが、彼の世界が完全に作り変えられる、終わりの始まりだった。
天井には細かな彫刻が施され、窓は厚手の豪奢なカーテンで完全に閉ざされている。
部屋を照らすのは、柔らかで温かみのある間接照明の光だけ。
床には毛足の長い最高級の絨毯が敷き詰められ、彼が横たわっているベッドは、まるで雲の上にいるかのように柔らかい。
しかし、その部屋に横たわる加賀美――いや、この世界における彼の名は「はやと」だった。
「はやと」の頭の中には、かつて「加賀美ハヤト」として生きていた記憶の破片すら、ひとかけらも残っていない。
にじさんじも、加賀美インダストリアルも、彼を「社長」と呼んで慕った者たちの存在も、完全に消去されていた。
眠らされている間に、男によって施された、執拗で、完璧な洗脳。
今の彼にとって、これが世界のすべて 。
そして、これが「普通」だった。
はやとは、ベッドの上でゆっくりと身を起こそうとした。だが、その身体には驚くほど力が入らない。
彼は生まれつき、身体がとても弱いのだ。
一人で歩くことなど到底できず、寝返りを打つことすら一苦労するほどに、その四肢は細く、脆い。
「……ぅ、……ん」
寝返りを打った拍子に、シーツから覗いた彼の足が露わになる。
彼が身にまとっているのは、下着すらつけていない、素肌の上の真っ白なシャツ一枚だけだった。
仕立ての良い、極上の手触りのシルクシャツ。
それは「はやと」の身体に対してあまりにもオーバーサイズで、だらしなく肩がはだけ、裾は彼の白い太ももを辛うじて隠すほどの長さしかなかった。
けれど、彼はその格好に何の疑問も抱かない。
下着をつけないことも、このシャツ一枚でいることも、彼にとっては「昔からずっとそうだった」からだ。
ガチャリ、と重厚な扉が開く音がした。
「おや、目が覚めたかい。俺の可愛いはやと」
部屋に入ってきたのは、あの薄汚い中年男だった。
豪華な部屋にはまるで見合わない、薄汚れた外見。だが、はやとがその男を見る目は、純粋な、盲信的な愛に満ちていた。
「おに、いさま……」
弱々しく、けれど嬉しそうに、はやとの唇がその名を紡ぐ。
この男こそが、はやとの「お兄様」。
世界でたった一人の、自分を守ってくれる絶対的な存在。
はやとは、お兄様の言うことを何でも聞く。
お兄様が大好きで、お兄様がいないと生きていけない。
「体調はどうだい? 今日も一段と身体が重そうだね。可哀想に、生まれつきこんなに弱いなんて。でも大丈夫だよ、お兄様が全部やってあげるからね」
男がベッドの脇に腰掛け、はやとの乱れた髪を、脂ぎった手で愛おしそうに撫でる。
はやとはその手のひらに、心地よさそうに目を細めて頬を寄せた。
「さあ、ご飯にしようね」
男が用意したのは、丁寧にすり潰された流動食のようなものだった。
はやとは身体が弱いため、食事もうまくとれない。
スプーンを握る力すらおぼつかないのだ。
男はスプーンでそれを掬うと、はやとの小さな口元へと運ぶ。
「ほら、あーんして」
「ん、……ふ、ぐ……」
口に含んだものを、ゆっくりと、お兄様の顔を見つめながら飲み込む。
うまく飲み込めずに、白いシャツの襟元に少しだけこぼれてしまった。
男はそれを嫌がる風でもなく、むしろ嬉しそうに、指先で優しく拭い取る。
「お兄様の言うことをよく聞く、良い子だ。はやとは、お兄様だけを見ていればいいんだよ」
「はい、おにいさま……。はやとは、おにいさまの、いうことを……ききます……」
はやとの瞳には、一片の曇りもなかった。
外の世界という概念そのものが、彼の頭の中には存在しない。
窓の向こうに何があるのか、この部屋の外に誰がいるのか、そんなことを考えたことすら一度もない。
はやとの世界は、この豪華な部屋と、目の前にいるお兄様と、お兄様から与えられるもの、それだけで完結していた。
かつて、多くの人々に愛され、誰よりも気高く、理知的だった男は、もうどこにもいない。
ここにいるのは、お兄様の手のひらの上でしか生きられない、美しく、無垢で、哀れな、一枚の白いシャツに包まれた「はやと」という人形だけだった。