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「そういえば今日、皆既月食らしいよ」
深夜12時半の撮影終わり。誰かが何気なく呟いたそれは、四人興味を引くのに充分だった。
「あ、俺それニュースで見たわ」
「あーずかいもニュースとか見るんだ」
「おっPも見るタイプじゃないでしょ、なんだっけ、月が赤くなるやつ――」
だらだらと流れていくあーずかいとおっPの会話を小耳に挟みながら、窓の方に目を向ける。
カーテンの隙間から見えた月は、まだ黄金色だ。
ふと時計を見て、なんとなく口を開く。
「あーずかい、それって何時から?」
「あー、うーん…いつからだったかな」
「ニュースはどうしたんだよ」
おっPとあーずかいは、オフで会うようになってからだいぶ距離が縮まったように見える。特にあーずかいは最初、1番しおらしかったというのに、ずいぶんと心を開いてくれたものだと思う。
「ねえキムテス、皆既月食3時くらいがいいってさ」
思考にふけっていた頭が、毒ヶ衣に名前を呼ばれた事によって引き戻される。
「…あ、そんな遅いの?」
「えー、俺明日1限だから無理だ」
「俺も今日眠いからいいや、キムテスとちなみ先生、見るなら写真撮って送っといてよ」
「いいよ、どうせ今日は起きてるから」
「私もどうせだから見よっかな。3年ぶりの皆既月食らしいし」
あーずかいとおっPが通話から抜け、静かになる。
―――2人きりの空間は久しぶりだった。