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甲斐田「はぁっ、はぁっ、はぁっ…!」
息が荒い。本能のままに飛び出したは良いものの、研究室に篭りっぱなしだったのがいけなかったのかただの走りだけで三十路を過ぎた体には堪える。
近くの扉を開けて閉めてから座り込む。言われた言葉が反響していた。
甲斐田「一人じゃないって……」
一人になることができないと言ってるようなものだ。よくギャルゲーで言われると嬉しいセリフが、こんなにも怖くなるとは誰が想像できるだろうか。
ようやく息が落ち着いてきてゆっくり立ち上がる。まだ若干息は切れてるが、先ほどと比べればかなりマシな方だ。
甲斐田「…で、どうしよ」
このままここにいたとて正直どうにかなる訳ではない。何か探して少しでも情報を仕入れないとマズイ。
甲斐田「やっぱ一気に探すしかなさそう…」
正直めちゃくちゃめんどくさいが、やるに越したことはない。覚悟を決めて扉を開けて廊下に出る。
相変わらず果てしなくて恐怖を感じる。出口などないようで、でも確実に存在しているはずだから余計にタチが悪い。
でも覚悟を決めたからにはやらなければならない。漢たるもの、とはまたちょっと違うかもだが、やり切らないとムズムズする。
甲斐田「いっちょやりますか〜!」
気合を入れる。こんな絶望下でも、やるべきことはあるのだ。
それから数十分後。特に目ぼしいものはなかった。
というより扉のその先がワンルームだけというパターンがかなり多く、正直辟易してる。
甲斐田神様。別に、すごいものじゃなくていいんだよ。ただ……ちょっともう、同じ部屋は見飽きたんだよね」
そう言いながら扉を回すと、そこには白い壁とさらに奥につながる扉があった。
今までは木目が使われた温かいけど、言っちゃ悪いがどこにでもあるような部屋ばかりだったがここは清潔感が段違い。
もしかしたら出られるかも!と淡い期待を持ってドアノブを回したが、残念ながら出口ではなかった。
代わりに広がっていたのは、まるでレストランのような大きいキッチンだった。どうりで清潔感が他の部屋よりも凄かったんだと納得しつつ、当たりの部屋を引けて嬉しくなる。
冷蔵庫を発見して辺りをキョロキョロと見回した後に開くと、そこには大量の食材があった。
全くもってお腹は減ってないがここにいつまで閉じ込められるかもわからないし、水分くらいは確保して良いだろう。
甲斐田「あぁ良かった…とりあえず餓死しなさそうで安心した……」
ほっと一息つきながら厨房を覗き込んで水筒代わりになりそうなものを探していると、不意にガチャンと音がした。
音のする方向を見ると図書室のような部屋で見た、あのブラウン髪の人形が立っていた。
そして何故かその手には僕の嫌いなトマトがあって、思わず拒否反応を出していると
?「おや。初めまして、ですね。こうして直接お会いするのは」
背後から、低く余裕のある声が聞こえてきた。
振り向くと、そこに立っていたのはミルクベージュの髪色をした自分よりも2センチほど高い、神父服を着た天使のような輪っかと翼が生えた男性が立っていた。
思わず離れる。警戒心を剥き出しにしながらジリジリと引き下がる。何か知ってるような雰囲気を出してるが、正直一切知らないため怖すぎる。
甲斐田「えっと…すみません。誰、ですか?」
?「……ああ、すみません。また知っているようなことを言ってしまいましたね。ワタクシは加賀美ハヤト。ハヤトでも呼んでください」
穏やかに言ってるが彼の目から感情が読めない。悟らせないようにしてるかのようだ。
お互い無言のまま気まずい時間が流れてると、カチカチと音がした。
振り返ると、人形が口を開けていた。
コメント
2件

めっちゃ期間が空いた割には文字数少ないですよね…ほんっとうにすみません
うわ、第2話もすごく引き込まれました…!「一人じゃない」って言葉が逆に怖くなるって、ほんとにそういう感覚わかります。甲斐田さんが必死に走って逃げたのに、結局また探索するしかないっていう絶望感と使命感のバランスがリアルで…。最後に現れた神父服の天使みたいな男性、めっちゃ気になります。続きが待ちきれないです!