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みぞれ玉
いつものようにらっだぁと屋上へと続く階段で放課後を過ごしていた、
「さっき怒られてたあれ、なんだったの?」
恐らく授業中に大きめの飴を舐めていて教頭に叱られたことのことだろう、適当に答えておく。
そうすると、俺も欲しいとねだるような目でこちらを見つめてくる、仕方がなくポケットを見てみるとあれだけあった飴がもう残り1つになっていた、
その飴はらっだぁと同じように浅瀬のような青色が内側にいくにつれ夜空のように深くなり、そのまわりを白いキラキラとしたものが土星のようになっている。
屋上への扉から差し込む夕暮れの陽に透かしてみる。青と赤色が混じりあって星空みたいだ。
しょうがねぇな、と零しらっだぁに飴をやる。
わーい、と子犬のように喜んだ後、カララ、とその口に放り込んだ。
らっだぁにしても飴は大きいらしく、彼の頬が歪な形になっている。少し笑える
「俺も食べたかったなー、どんな味した?」
「食べてみる?」
どういうこと、と言う前に遮られるように塞がれた。
驚いたが、不思議なことにそこまで不快感は無かった。きっと夏の夕暮れのへばりつくような暑さと鬱陶しい程のセミの声で頭がおかしくなってしまっていたんだ。
彼の舌が口の中に入ると同時に、彼が舐めている碧い飴の味もしてくる。夏を代表するような、爽やかなラムネの味。
目を開けると彼の火照った顔が目に入る、 汗ばんで、こんな暑い中で男二人、何してんだか、けどこんな一瞬がずっと続いて欲しかった。
ぷは、とらっだぁが離れていく、恐らく自分も酸欠で顔が真っ赤だろう。夕暮れの赤色の陽の所為にしておく。
二人の間を銀色の糸が名残り惜しいように光る。
「……急に何すんだよ」
「…ん、味、わかった?」
まァな。と言うのと同時に眩い光の中で
らっだぁが立ち上がった、
「帰ろっか」