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ええまって好きすぎた。 大好きすぎる小説ですありがとうございました😭😭😭😭💗💗
ー花言葉ー 1話 エリカ 孤独 2話 白いエゾギク 信じてください 3話 オダマキ 猫かぶり 4話 アヤメ 希望 5話 イヌホオズキ 真実・嘘 6話 パンジー 一人にしないで 7話 スイセン うぬぼれ 8話 カモミール ごめんなさい 9話 ニリンソウ ずっと離れない
一番目のご主人様は
嫌われ者の魔女だった。
人々の間違った正義が
ご主人様を苦しめ命を奪った。
僕は人間が許せなかった。
ご主人様と初めて出会ったとき
黒猫だった僕はこんなにも
愛してもらえるなんて思わなかった。
また白い目で見られて
呼吸をするのも
嫌になるものだと思ってた。
モノクロだった僕の世界が
カラフルに変わった。
なのに人間達は病の原因を
ご主人様だと言い綺麗事を吐きながら
人々の前で命を奪った。
それで満足するのだろうか。
病の原因がご主人様という証拠もなく
ご主人様の゙命を奪うことにより
病が収まることもなかった。
ご主人様の命は
そんな安いものではない。
僕は現実から目を背けた。
2番目のご主人様は
全盲の老婆だった。
白猫に生まれ変わった僕は
神の使いとして
とある神社で暮らしていた。
ご主人様は後天性の瞳の病で
全く目が見えなかった。
なのに僕に気づき
声をかけ近づいてくれた。
僕は前の記憶から
人間のことを全く信じようとしなかった。
大切な人の命を奪う人間達を
信じることが出来なかった。
だからひたすら話しかけてくる
ご主人様はのことを無視していた。
正直辛かったし苦しかった。
ご主人様が僕に
話しかけててくれたのはただのお節介
ではなく僕が一人に
ならないようにするため。
ご主人様は僕の味方そう言ってくれた。
僕は人間のことを
少しだけ信じたいと思った。
3番目のご主人様は
笑えないピエロだった。
ご主人様の笑顔は
偽りで作られた笑顔の仮面だった。
笑っているように見えても
心からは笑っていない。
冷たく泣きそうな笑い方だった。
見てるこっちが辛くなるような
そんな笑い方だった。
それでもご主人様は
滑稽な言葉や動作で
観客を次々と笑わせる。
人々を笑顔にすることが出来る。
それはとても素敵なことだ。
僕はご主人様のようになりたい。
ご主人様の役に立ちたい。
僕も人間のことを笑顔したい。
4番目のご主人様は
車椅子の子供だった。
生まれつき体が弱く
車椅子を使っていた。
それでも外に出たいと希望を持ち続けた。
ある日僕がその男の子のもとに行くと
浮かない顔して窓辺に座っていた。
話をきけば男の子は
泣きながら教えてくれた。
手術をしなきゃいけないらしい。
もう目を覚まさないかもしれないと
不安で辛いらしい。
いつかは猫の僕も人間の男の子も
この世からさよならをする。
僕は大きな間違いをした。
5番目のご主人様は
嘘つきの医者だった。
たくさんの人から信頼されていた
ご主人様は嘘をつき続けた。
僕にはどうして嘘をつくのか
分からなかった。
ずっとずっと分からなかった。
ご主人様が消えるその日まで。
ご主人様は何も言わず
この世から居なくなってしまった。
最後の最後まで
僕にすら嘘をついた。
だけどご主人様がついていた嘘は
誰かを不安にさせたり
傷つけるようなものではなかった。
ご主人様のついていた嘘は
魔法の言葉だったのだ。
僕は魔法を知った。
6番目のご主人様は
優しい殺人鬼だった。
一人ぼっち野良猫だった
僕の目の前に現れたのは
街で騒がれている殺人鬼だった。
その殺人鬼は人々から死神と呼ばれ
恐れられてきた。
夜に現れ残虐な方法で命を奪う。
そんな殺人鬼のご主人様は
僕にとても優しくしてくれた。
だから僕は信じられなかった。
命を奪うことは悪いこと。
分かっていても分かりたくなかった。
僕は信じたくなかった。
7番目のご主人様は
人嫌いの道徳家だった。
ご主人様は人間のことを嫌い
一人ぼっち部屋にこもり
本に釘付けだった。
人間はこうでなきゃいけないとか
ああではいけないとか
僕には理解できないことを呟く。
みんな違ってみんないい。
そんな言葉があるから
同じでなきゃいけない理由はない。
僕はそう思った。
だけどもご主人様は
自分とは反対の考え方を
一切認めなかった。
別にご主人様のことを
否定するわけではない。
僕はただただ不思議だった。
8番目のご主人様は
訳ありのアルビノだった。
体が弱くよく体調を崩す
ご主人様のことがずっと心配だった。
別れは
僕が想像していたよりも早かった。
ごめんねと一言
ご主人様は僕に言い
二度と目の前に現れなかった。
帰ってくるって言ったのに。
待ってても待ってても
ご主人様は帰ってこなかった。
だけどしょうがなかったのだ。
ご主人様は病が悪化してしまい
帰ってこれなくなってしまったらしい。
ごめんねご主人様。
謝るのは僕の方だったよ。
僕は後悔した。
僕は自分を守るために
人間のことを嫌い
現実から目を背けた。
ただ優しさを知り信じたいと思い
人間のことを笑わせたいと思った。
だが僕は壁にぶつかり
大きな間違いをしたがそれとともに
言葉は魔法になると知った。
僕はまた自分のために
人間を信じることを辞めた。
人間は不思議な生き物だった。
そして僕は後悔を経験した。
自分が許せなかった。
僕はニリンソウが
綺麗に咲き誇る日に生まれ変わった。
9回目のご主人様は
大好きで大切な人だった。
僕の味方だって言ってくれるし
ちゃんと目を覚ましてくれた。
僕のことを一人にしないし
ずっと優しくしてくれた。
これからもこの先も
ご主人様と一緒に居たい。
僕は今幸せだ。
ご主人様あのときはごめんね。
またご主人様にあえて
本当によかったよ。
ようやく幸せを知って
もう一人ぼっちになんてなりたくない。
絶対になりたくない。
ご主人様大好きだよ。
ご主人様に向かって大きな声で鳴く。
すると大きな声で
「あ!!
そう言えば君に名前つけてなかったね。」
と言い悩むご主人様。
名前なんて今まで
つけてもらったことなかった。
なんでもいいと思ってたし
たとえあったとしても
呼んでもらえないそう思っていた。
「これからもよろしくね。
“ソウ”」