「全く、あの唐変木はっ…俺の手帳には夕方、行方不明な同僚を探しにいくとは書いていない!!」
「まあまあ、国木田くん。治は本能に従ったんだよ。最早あれは血に刻み込まれている。」
日の落ちかけている夕方、国木田くんと共に治を探す。
全く、昔から変わらない自殺癖はいつ治るのだろうか。
まあ治そうとしたところで無駄だろうが。
「!!太宰!!こんなところにいたのか!!」
国木田くんの声が聞こえ、其方をみると治と小汚い服を着た月色の髪の少年がいた。
「おさむ〜探したんですけど?」
「嗚呼、すまないね、お詫びと言ってはなんだが共に心中をしないかい?」
「ご遠慮します。」
「ちぇっ」
矢張り直した方がいいのだろうか。この自殺癖。
時は変わってとある食事処。
月色の髪の少年は中島敦というらしく、茶漬けをありえないほど(国木田くんの奢りで)頼み、口にいっぱいに頬張っていた。
「ねえねえ国木田くん、私の善哉も奢ってはくれないのかーい?ここの善哉は絶品なのだよ。前乱歩さんと行った時も絶賛していてねえ、兎に角最高なんだ!」
あの人餅だけ残すから私が全部食べたんだっけ。乱歩さんも癖の強い人だよなあ…
「美味しいという理由だけで奢りになるはずがないだろう!!……というより羅紫、お前、乱歩さんと2人で行ったのか…?」
「うん、そうだよ。餅だけ残すから私が頑張って食べたのさ。だから小豆と餅のある状態の善哉はさらに格別っっ!!」
「ふーーん?」
「なにさ治、若しかして一緒に行きたかったの
〜?」
一寸揶揄ってみよう!何時も自殺癖に悩まされているし、仕返しだ!
「うん。羅紫と一緒に行きたかった。2人で。」
「うそん…」
そんな正直に答えるんだ…逆に恥ずかしい…
「あっ、国木田くん、私乱歩さんに善哉買って帰るからそれも奢ってー!」
「だから奢らないと言っているだろう!!」
もー頭が硬いな国木田くんは。
「分かったよ、経費で落とす。乱歩さん名義で落として貰えばいける。」
「なんだと!?おい羅紫、、、羅紫!!!!!」
逃げるが勝ちだ!敦少年が終始スペキャ顔をしていたのは触れないでおこう。
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