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るあ
32
*ご本人様には一切関係ございません
今回の雑誌の撮影は、俺と太智の2人、舜太と柔太朗、勇斗の3人に分けて撮ることになった。
先に3人が撮られる所を、俺と太智の2人でスタジオの隅から見ていた。
カシャカシャとシャッター音が響く、その賑やかな静寂の中で、
太智「佐野さんにちゃんと言ったやんな?」
カメラの前の3人から視線を外さないまま、すっとトーンを落とした低い声で俺の耳元へと問いかけてきた。
仁「ちゃんと言ってきたよ、今日勇斗の家で話すことになった。」
太智が俺の言葉を聞くと、スタジオ中に響き渡るような特大サイレンのような笑い声をあげて、俺の両肩をがしっと掴んで揺さぶった。
仁「ちょっ、お前うるさ」
撮影の邪魔になってはいけないので、両手で太智の口をばっとふさいだ。
太智「むぐ、んー!んー!」
口を両手で完全に塞がれ、目を丸くして身悶えしている太智。
__こいつほんと極端だよな。普段なら全然興味ないくせして。
少しして、太智の暴れる勢いが落ち着いたのを見計らって、俺はあいつの口に当てていた手をゆっくりと下ろした。
仁「はー、お前は自分の声がバカでかい事もっと自覚しろ」
太智「ぷはっ! ……ひどいわ吉田さん、マジで窒息死するかと思ったわ!」
手を離された太智は、大袈裟に深呼吸をしながら、それでもニヤニヤとした楽しそうな笑顔を崩さずに文句を言ってきた。
太智「まあまあ、振られたらちゃんと慰めたるから」
太智はニヤニヤとしながら、ぽんぽんと俺の肩を軽く叩いてきた。
仁「お前は俺の味方か、敵かどっちなんだよ」
俺が呆れたようにその手を払いのけると、太智は「俺は吉田さんの味方やって(笑)」と、またいつもの甲高い笑い声を漏らして楽しそうに肩をすくめた。
柔「おーい、2人とも交代だって」
ホリゾントの前から、ふんわりとした優しい声を響かせて柔太朗がこちらを振り返り、大きく手を振った。
太智「はーい、お疲れさん!」
太智がいつもの明るい声で応じ、俺たちの撮影のためにホリゾントの前へと足を運んだ。
集中していればいるほど、時計の針は容赦なく進んでいく。
雑誌のペア撮影、全員での集合カット、そしてインタビュー。
怒涛のスケジュールをすべて完璧にやり遂げ、「お疲れ様でしたー!」とスタジオのスタッフ全員に頭を下げた頃には、窓の外の夜の街は、すっかり深い群青色へと染まり上がっていた。
メンバーたちが次々と私服に着替えて解散していく楽屋の隅。
次のドラマ撮影のロケ車へと大急ぎで向かう勇斗を目で追いかけていた。
バタバタと慌ただしく荷物をカバンに詰め込み、スタッフに「行ってきます!」と声を張り上げながら楽屋の扉へと向かう勇斗の後ろ姿。
__そんな姿でもかっこいいと思ってしまうなんて、重症だな。
俺はカバンを抱え直しながら、心の中で小さく自嘲気味に呟いた。
格好つけてポーズを決めているわけでもない、ただ必死にバタバタと走っているだけのあいつの後ろ姿。なのに、そんな泥臭い姿さえもどうしようもなく愛おしくて、胸が苦しくなるほど格好よく見えてしまう。
俺は鞄に勇斗の家の鍵が入っていることを確認し、歩き出した。
勇斗の家に着く頃には外は暗くなっていた。
昼間の喧騒が嘘のように静まり返った夜の空気の中、俺はあいつの住むマンションの前に立ち、冷たい風を思いきり吸い込んだ。
仁「ふぅー、よし」
俺はもらった鍵を使って、静まり返った勇斗の部屋のドアを静かに開けた。
仁「おじゃまします…」
誰もいないはずの、だけど確かにあいつの生活の気配と、どこか甘くて落ち着くウッド系の柔軟剤の匂いがふわりと漂う暗い玄関に向かって、俺は小さく声を漏らした。
壁のスイッチを押して明かりを灯すと、見慣れた勇斗の部屋のリビングが目の前に広がった。
__ やっぱり部屋は片付いてねぇな。
脱ぎっぱなしの上着がソファの背もたれに引っかかっていたり、机の上に台本や小物が少し雑然と置かれていたりする光景を見て、俺は思わず「はぁー」と小さく苦笑いを漏らした。
ひとを自分の部屋に招待しておいてこれかよ、と心の中で小気味いいツッコミを入れながら、俺はカバンを床に置いた。
仁「ご飯作るか」
朝からずっと仕事をしていたから、もうお腹はペコペコで、食べてていいって言われたし、適当にあるもの使って勇斗の分も用意するか。
俺は上着を脱いで壁のフックにかけると、慣れた手つきで勇斗の家の冷蔵庫を開けた。
__相変わらず、大したものは入ってねぇな
だけど、そんな愚痴さえもどこか愛おしくて、俺は喉の奥を鳴らしながら、包丁を取り出した。
ぱっぱとご飯を作り、勇斗の分はラップをかけて置いておく。
湯気がふわりと立ち上るお皿に透明なラップをきれいにかけながら、俺は静まり返ったキッチンで小さく息を吐き出した。
__よし、これでいつあいつが帰ってきても大丈夫だな。
ペコペコだった自分のお腹を先に少しだけ満たすと、バタバタだった一日の疲れと二日酔いの名残が、温かい料理と一緒にじんわりと解けていくのが分かった。
さて、と。
俺はキッチンを簡単に片付けると、お風呂の準備を始めた。
湯船にお湯が溜まっていく静かな音を背景に、俺はリビングの奥にある勇斗のクローゼットの扉をそっと開けた。
仁「どれを借りよう」
ずらりと並んだ私服を見上げながら、俺はぽつりと呟いた。
だけど、ハンガーに掛かったTシャツやスウェットをいくつか手に取ってみて、俺の動きがピタリと止まる。
俺と勇斗じゃ、体格に差があり過ぎて、どれも合わない。
普段メンバーとして並んでいる時もあいつの身体の大きさは分かっていたつもりだったけれど、いざこうしてプライベートな服を重ねてみると、男としての骨格の違いを容赦なく突きつけられて、カッと顔が一気に熱くなっていく。
__俺も平均的に見ればいい方なんだけど…
一般的な男の平均身長や体格からすれば、俺だって別段華奢すぎるわけじゃない。リーダーとして、それなりのプライドだってある。
__悩んでも変わんねえか
これ以上クローゼットの前でウジウジ考えていても仕方ないと、俺は小さく息を吐き出して、勇斗の匂いがふわりと漂う大きめのスウェットをそっとハンガーから外した。
俺はお風呂を借りて、湯上がりの躰に勇斗の私服を身に纏った。
思っていた通り、いや、思っていたよりも大きくて、肩のラインは完全に落ちて、長すぎる袖口からは指先が微かに覗く程度。
仁「…あいつこんなデカかったっけ?」
鏡の前にぽつんと立った俺は、余りすぎている袖の生地をじっと見つめながら、掠れた声で小さく呟いた。
俺は手のひらで余った袖口をぎゅっと握りしめながら、静かなリビングのソファに腰を下ろし、勇斗の帰りを待った。
カチ、カチ、と規則正しい時計の秒針の音だけが、静まり返った部屋の中にやけに大きく響き渡っている。
時計の針が、11時を指そうとしている。
朝からの二日酔いの気だるさは、お風呂を借りて温かいご飯を食べたおかげですっかり消え去っていたけれど、代わりに、頭の芯を支配しているのは極限の緊張感だった。
そうやって、余ったスウェットの袖口をぎゅっと握りしめてパニックになっていた、まさにその時だった。
ガチャと玄関の方から音が鳴った。
静まり返っていた暗い廊下に、バタバタと慌ただしく靴を脱ぎ捨てるような、息の上がった足音が響いてくる。
勇「ハアハア、ごめん遅くなった…!」
リビングのドアがバッと勢いよく開き、そこに姿を現した勇斗は、髪を少し乱して、肩を激しく上下させながら掠れた声を絞り出した。
仁「いやいや、全然待ってねえから、 とりあえずご飯作ってあるし食べて」
俺は余ったスウェットの袖口をバタバタと振り回すようにして、声を張り上げた。
勇「え?!作っといてくれたの?ありがとう!うわー、仁人の手料理とかいつぶりだろ」
次の瞬間、勇斗は床にカバンを放り出すと、パッとこれ以上ないくらいに顔を輝かせて、子供みたいに嬉しそうな声を上げた。
慌てて洗面所で手を洗ってきたあいつは、椅子を引いて食卓につくと、丁寧にラップを外して、嬉しそうに手のひらを合わせた。
勇「いただきます」
弾んだ声が、静かなリビングの空間にぽつんと、だけど最高に温かく響き渡る。
勇「うわっ、 うま!ほんと仁ちゃん天才!」
一口目を口に放り込んだ瞬間、勇斗は大きく目を丸くして、もぐもぐと口を動かしながらこれ以上ないほどの歓声を上げた。
勇斗は、口いっぱいにご飯を頬張ったまま、ソファの前に立ち尽くしている俺の方を振り返ると、自分の隣の椅子をポンポンと優しく叩いて見せた。
勇「仁人そこに突っ立ってないでここ座りな?」
俺はそう促されると、ゆっくりと勇斗の隣に腰掛けた。
勇斗は「ん」とお箸を持ったまま、ふにゃりと愛おしそうに目を細めて俺の姿をじっと見つめてきた。
勇「仁ちゃんその服着たんだ、それ俺でも少しデカいのに笑」
__だからか…!
その言葉に俺は、ハッとした、着た瞬間おかしいと思ってたんだよ、普通こんなにデカいわけねぇもんな。
勇「かわいいねぇ」
至近距離から、あいつのあの低くて、だけど心底愛おしそうな甘い声が、鼓膜を真っ直ぐに震わせた。
仁「…なっ、だから冗談やめろって……!」
勇斗はふっとお箸を置くと、俺の不意を突いて、グイッと俺の躰を自分の方へと引き寄せて抱きしめてきた。
仁「っわ…!?は、はやと……?」
次の瞬間、視界が激しく揺れて、俺の躰はあいつの男らしい、がっしりとした大きな胸の中へとすっぽりと埋もれていた。
勇「冗談じゃないよ、ねえ仁ちゃん今日話したいことがあったんでしょ?」
自分のぶかぶかな私服の生地越しに、勇斗のドクドクと激しく脈打つ心臓の音が、俺の暴れる心臓へとダイレクトに伝わってくる。
仁「…あっえと、その……」
あいつの躰の熱さと、耳元に吹きかかる吐息のせいで脳内が完全にショートしてしまい、俺は余ったスウェットの袖口で勇斗の背中をぎゅっと掴んだまま、消え入りそうな声で言葉を詰まらせた。
__だめだ 、何言えばいいか、全部ぶっ飛んだ……っ。
すぐ隣から響く勇斗の力強い鼓動があまりにも大きくて、俺の理性をめちゃくちゃにかき乱していく。
勇「……ん?」
腕の中の俺がフニャフニャになって困惑しているのを肌で感じて、勇斗は俺を抱きしめる腕の力をさらに少しだけ強くした。
勇「…まあ、なんとなく言いたいことはわかってるけど、できたら仁人の口から聞きたなー」
__バレてた……
俺は、勇斗の広い胸に真っ赤になった顔を押し付けたまま、余ったスウェットの袖口で、あいつの背中の服をさらにぎゅっと強く掴み直した。
仁「え、ええっと、勇斗。俺はその、お前のことが好きです//」
自分の顔が一気にカッと熱くなっていくのを感じながら、俺は消えそうな声で勇斗に言った。
勇「……///」
少し経っても何も言わない勇斗を不思議に思いチラッと目線を上にすると。
視線の先、俺を上から見下ろしている勇斗の顔は、耳の付け根どころか、顔中がこれ以上ないくらい真っ赤に茹れ上がっていた。
仁「お、お前が言わせたんだろ///何か言えよ……」
なんて、俺がまた可愛くないことを言うと、勇斗はハッと我に返った。
勇「ごめん///いや、ほんと嬉しくてなんて言ったらいいかわかんなくなっちゃって…」
あいつは顔をさらに真っ赤に染め上げながら、大慌てで言い訳をするように、掠れた声を絞り出した。
勇斗はコホンと少し咳払いをすると、それまでのドギマギしていた空気を一瞬で男らしく引き締め、まっすぐ俺の方を見て放った。
勇「俺も仁人のことが好きだよ、よかったら俺と付き合ってください」
仁「……よろこんで。」
俺がうるんだ目を細めて、真っ赤になった顔のまま消え入りそうな声でそう返すと、勇斗は「あはは、やった……っ!(笑)」と、今度こそ心底幸せそうな、最高の笑顔を咲かせた。
これにて、「俺が好きなのはお前だ!」を完結させていただきます。最後の方、駆け足になりましたがお付き合い頂きありがとうございました🙇♀️
これからも気が向いたら投稿するのでよければ見ていってください。
コメント
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みぅです🤍 完結お疲れ様でした!! もう…ふたりが両想いになる瞬間、ずっと待ってたよ…🥺 勇斗の部屋で仁ちゃんがスウェット着て「かわいいねぇ」って言われるシーン、私の心臓もドキドキした…。最後の真っ赤になりながらの告白、何度も読み返したくなります。いちゃいちゃしてるふたり、もっと見たい気持ちと、ここで終わるからこそ美しいんだって思う気持ちと…。本当に素敵な物語をありがとうございました🌙 これからも楽しみにしてます!