コメント
1件
思いつきというか衝動書きなので文がおかしかったり辻褄が合わないところがあるかもしれませんが見逃していただけると……!! ※鋭敏な2人を使った場面は省いております、ご了承ください
注意事項(必ずお読みください)
・このノベルは めめ村めめぜんグドモ 及び、クトゥルフ神話TRPGのシナリオ “Good morning ALL” のネタバレを含みます。
・このノベルは二次創作です。
以上の事項を踏まえた上でご覧下さい。
これらの事項が苦手な方は回れ右をお願いします。
わんく
詳しくは数えてないけど、数十億年程前。私が地球を創り直し始めた日、私が私の本当の正体を知った日、ウッチャンと名付けられた子と別れた日、自分を”めめんともり”と名乗った日、善くんと初めて出会った日。今でも1字1句繰り返せるくらいには、鮮明に覚えている。何度も忘れかける事はあったが、何度も記憶を思い出した。
思い返す度、今までの退屈な日々と打って変わった素敵に彩られ満ち溢れた光景になるとは夢にも思わなかった。何度も夜を超えて、何度も大陸を跨いで、何度も今日が最高の日になればいいと望んでいた。
不老不死はとても辛いものだ。何も無い空っぽな日を過ごして死にに行っても死ぬ事は出来ないし、誰が何をしても何が起きても殺されても直ぐに傷が再生して死ぬ事は許されない。
心が、空っぽなんだ。ずっと。
水をいくら注いでもコップの底が割れていたら水が溜まらないように、雨水を掻き集めて水を集めようにも大量には集まらないように。…私の心は、満たされないままだった。
そんな中、コップの底の割れた部分を不器用にも埋めてくれて、隣で僅かに微笑みながら一緒に雨水を集めてくれたのは、紛れもなく”熊白善”だった。善くんに出会った日から、私の心は確実に満たされていた。
一緒にウッチャンに乗りハイパーボリア大陸に行ったり、一緒にムー大陸に飛ばされたり、一緒に帰ったり。全ての思い出が、スポンジに染み込む洗剤のように心に滲んでいく。
そんな気持ちを抑え込みたくて、私は善くんがいる洞窟へ急かされてもいないのに走っていった。
「……善くん。」
暗く湿った洞窟に眠る彼の身体に、手を置く。その姿は数十億年前と殆ど変わっておらず、頭から出るか出ないか位の長さの白いショートカットの髪に……今は見れないが、くすんだような深い青色だが確かに光が宿っている瞳。綺麗だ。
このような寂しく虚しい気持ちになるのなら、いっその事善くんが私の眷属になってくれれば良かったのに。そんな自分勝手な想いが頭を過ぎる度、そんな最低な自分を憎んでしまう。善くんが自分の気持ちを尊重して私も善くんも良く終わるようにもしたいし、その過程の静けさを埋める為善くんが死ぬ迄寄り添いたい気持ちもある。独りきりで夜空を眺める度に、寂しさが私の心の幸せを奪って、何もかも空っぽになってしまうから。
私が全て終わらせるまで、彼は目を覚ますことは無い。それは考えれば当たり前のことで、彼は私がこの地球を創り直せると信じて託してくれたからのことなんだ。全て完了させるまで、起きない。否、起こせない。言葉に表す度、空が私を蝕んでいくから、私ではどうにも出来なくなるから、それ以上深く迄潜るのは辞めた。
「もう直ぐで終わるよ。」
これがあと数年で終わるという意味だと知ったら、善くんはそれは全然もう直ぐじゃないですよと驚くのかな。でもこれは実際に事実で、もう直ぐというのは本当のこと。終わらせる、それ迄待ってて欲しいから、わざわざ洞窟から出る時にこんな事言うんだ。
そろそろ作業に戻らないと。彼と居たい気持ちを洞窟内に置き去って、向かわなきゃいけない。
既に周辺は元の山に近くなって、洞窟の入口から出ると美味しい空気がお出迎えしてくれて、更に緑も歓迎してくれるという位には復興が完了している。
私は、お気に入りの場所に足を運んだ。此処に訪れるのは、洞窟に帰ってきた時以来だ。まだ私が何も無かった頃はこの場所から月を眺めてたなぁ、なんて思い出に浸ってみる。私が知っていて覚えている場所となるとそれは数少ないけど、他の場所には色々な所が沢山あるんだっけ。日本とか、アメリカとか。善くんが目覚めた時用に、紹介したい場所を決めておかなくては。
小鳥が囀り、車や電車が走る音が鳴り、土や草を踏む音が鳴り、人々の話し声が聞こえ、木々の葉が擦れる音が鳴る。地球が完全に復興してから、耳は退屈しないようだ。
青く広がる空が見え、それぞれの企業が建てた店が立ち並び、人々が生活しているのが見える。地球が完全に復興してから、目は退屈しないようだ。
46億年程の時間が経ち、その間で大きな戦争が二回あったが、それでも人々は絶えず生活を続けている。
私は、ゴーツウッドの巨木の直ぐ下に眠っている彼を見て直ぐさま傍に駆け寄る。
ぺしぺし、と軽く顔を叩きながら彼の名前を呼ぶ。何度も言おうと思って考えに考えた言葉を詰まりながら投げかける。
ゆっくりとその重い瞼を開けながら身体を起こす彼の見て、確信する。
今日は、最高の日になる。
“Good morning ALL”