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『 本で繋がる 』
ウチは元々本を読むのが好きだった。
そのせいでもあり、小学、中学は本を読んでばかりで陰キャだなんていじられて、いじめに発展するほどに言われてきたりした。
そんな生活は学校も本を読むのも楽しくなくなってしまう、なんて両親に相談してみたら「高校では読むの抑えてみたら?」なんて言われた。
確かに、いじめられることがなくなるのであれば本を読むなんてしなくてもいいのではないか。
なんて考えてからしばらく経ち、高校生活9ヶ月目。
好きだったはずの本もしばらく読まなくなると「本を読みましょう」だなんて言われると少しだけ面倒くさいだなんて感情が湧いてしまう。
水♀「えー、本かー…」
赤♀「読書感想文とか無理すぎる……」
白♀「まぁまぁ…笑」
それでも「嫌い」とか「嫌だ」とか本を否定するような事は言いたくなくていつもまぁまぁ、だなんて言ってばかり。
それはそれで嫌われてしまいそうで怖い。なんて考えも思い浮かぶがすぐにそんな考えは捨て去る。
ただ黙って課題図書の本を読みそれの感想をつらつらと書き写す。
ノートにメモをして「こういうことを書きたい!」をまとめる。
白♀「うわ、なんか楽しくなってきた…」
水♀「え、まじ?すごすぎ…w」
赤♀「りうらは一生無理かもなー」
白♀「案外楽しいし、読書も楽しいんやけどな?」
そういうとすごーい!だなんてキラキラした目でこっちに教えてって訴えてくるのが妹できたみたいでちょっぴり嬉しくなってる自分も居た。
きっとそれだけじゃない、本を読んで楽しいっていうことに否定されなかったのも嬉しくてつい笑みがこぼれる。
白♀「ほら、ウチが何でも教えてやるから頑張ろうや♪」
赤♀/水♀「おー!!!♪♪」
高校生活でできた、いむちゃんりうちゃんは本当に根っからのいい子でウチが好きなものを否定することなんてなかった。
2人の前では普通に読書したりすることもできた。
でもある日を境に2人共との距離感がぐっと開いてしまった気がした。
白♀「え、2人共彼氏できたん?」
赤♀「じ、実はね…w」
水♀「言ってなくてごめんね…💦」
彼氏ができたという2人。
それからずっと3人で帰ってたはずの放課後もそれぞれ彼氏と帰るっていう話に。
ずっとずっと1人で帰る時間が苦しくて虚しくて寂しくてしょうがなかった。
白♀「……はぁ」
最近では帰るのも放課後一人で歩いている時間も嫌いになってしまい、帰る時間も遅くなりがちになってしまっている。
今日はいつもよりも帰る気力が起きずうだうだして19時半。
急いで帰らないと、なんて考えながら重くなった足を運ぶ。
誰もいなくて静かな廊下は心做しか普通の19時半の廊下よりも暗く感じる。
まだ教師が残っているのだろう、新校舎にある職員室の窓が光っているのを捉える。
本当に静かで1人なんだなって強く思わされる。
…はずなのに、なぜかこちらに向かってくる足音が聞こえる。
「…あれ、初兎?」
白♀「…? 誰…?」
「あぁ、悠佑。」
黒「獅子尾悠佑やで♪」
白♀「2組の…?」
というと、そうそう!って目を輝かせて大きく頷く。
犬耳がついてそうな表情に思わずくすっと笑うとまたキラキラと目を輝かせる。
そんな彼の表情に釘付けになってしまった。
黒「あ、引き止めてごめんな…💦」
白♀「ぁ…いえ…!!」
そう言って彼は立ち去っていってしまった。
久しぶりに放課後に家族以外と会話を交わしたからこそ心がほかほか温まっていくのが感じ取れた。
あれから1週間後。
彼はウチと話をしてくれるようになった。
男っていうのもあって、あまり本の話とかはできないがタメだったりあだ名を付けたり、たまに放課後は一緒に帰ったり。
なんて充実した日々を過ごせていた。
黒「………」
白♀「…??」
でも彼は時々なにか苦しそうな辛そうな表情をする。
その表情を見る度にウチの胸はキューって締め付けられるように痛む。
ウチがなにかしたんじゃないかってトラウマが蘇り、苦しくなるときもある。
白♀「…あ、悠くん…?」
黒「ん?なんや?」
白♀「…なんか、苦しそう…やで?」
そういうとハッとしたような表情になり、こちらをバッ!と勢いよくこちらを振り向く。
それに少しだけびっくりしていると、悠くんは言葉を続ける。
黒「…初兎は本好きな男子は嫌いか?」
白♀「…ん?え?…なにが?」
黒「せやから、本が好きな男子は嫌いかって…!」
そんな彼に言えることは唯一つ。
1歩彼に駆け寄り笑顔で声を掛けた。
end
コメント
4件
なんですかこれ、、、尊すぎるじゃないですか!!1、2番さんが優しいからこその打ち明けられない悩みを解決していく6番さんかっこよすぎてほんとにやばいですね!!
白ちゃんが読書好きなの、なんか納得.....✨ 黒くんの反応がめっちゃ可愛いっ!笑🫶💕