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『星降るカクテル』

第1話 - プロローグ

2025年09月09日

#ファンタジー

#BAR

#創作

#人外

にぇろ子ちま

夜が静かに降りてくると、街の灯りが一つ、また一つと輝き始める。その中に、ひときわ静かで落ち着いた輝きを放つ場所がある。

「Fleur」という名の小さなバー。

入り口に掲げられた、淡い紫色の看板に目を奪われる人々は少ないが、その扉を開けると、どこか懐かしく、安らかな空気に包まれる。

「Fleur」――それはただの酒場ではない。

ここでは、人々が心の中に抱える秘密や悩みを、静かに吐き出す場所なのだ。

そして、訪れるすべての者に、ただ一つの“魔法のカクテル”を提供する店でもある。

そのカクテルは、見た目も味も、どこにでもありそうな一杯である。しかし、それを飲んだ者には、心の迷いや悩みが、ほんの少しずつでも軽くなるような不思議な力が宿っていると言われている。

時に、悲しみや不安を取り除き、時に、過去の傷を癒す。

だがそれは、あくまで訪れる者の心に応じた、慎重に調整されたものだ。

店主のリュカは、そのカクテルを作る達人であり、訪れる客たちの心の奥底にある「痛み」を理解している。彼の目は常に、客の心を見透かすように優しく、しかしどこか遠くを見つめている。

もう一人の店員であるカインは、リュカの相棒であり、静かな微笑みを浮かべながらも、その目には暗い影がひそんでいる。彼は、過去に何かを失ったのか、それともその過去が今も彼を追い詰めているのか。誰も彼のことを完全には知らない。

今日もまた、「Fleur」の扉は開かれ、客が足を踏み入れてくる。

それぞれが持つ悩み、迷い、悲しみを抱えて――

だが、どんな暗闇の中でも、ここでは必ず光を見つけることができる。

そして、その光は、きっと誰かが心の中で深く抱えてきた答えを、静かに引き出してくれるのだろう。

「Fleur」――心のカクテルが、今夜も新たな物語を紡ぎ出す。

BAR【Fleur】は、ちょっと変わったお客様を引き寄せる場所だった。だが、その「変わっている」というのは、ただの外見ではない。異形の頭を持つ者、動物の耳が生えた者、さらには肌の色や形が不自然に変わっている者もいる。けれど、そんなお客様たちも、どこか悲しげな目をして、悩みを抱えていることが多かった。

それでも【Fleur】の魅力は、そんな悩みを少しでも癒してくれる、特別な場所であることだ。店内に一歩足を踏み入れれば、そこには「魔法のカクテル」が待っている。

登場人物

• *リュカ*（年齢不明）

• 落ち着いた雰囲気を持つ、温和な男性。普段は静かで穏やかな性格だが、必要な時には的確な言葉とアドバイスをくれる。

• *カイン*（26歳）

少し無愛想で冷徹な印象を与えるが、実は非常に真面目で心の優しい人物。理論的な思考が得意で、問題を分析し、冷静に解決策を提案する。