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「…あ。起きた。」
目の前で、私の顔を覗き込んでいた青年に、枕を投げつけてしまった。
「冠 希更?」
「いった…寝起き、悪…」
「ちょ…ごめんね…でも!女子だから!私!いつから部屋いたの!?」
「さっき…チャイムなってんのに、起きなくて、俺が…」
「え?わ!ごめん!ありがとう!」
「まあ…俺も色々見れたから、いいけど…」
「何を?ねえ、ちょっと行かないでよ!」
すたすた歩いていく彼を呆然と見ていたが、時間に気づいた私はあわてて着替えた。…見たって、これのことじゃないよね…
体にある無数の傷を、私はそっと撫でた。服の下だし、平気だといいけど。
「ちょっと、琴吹恋!」
この声は、藍空か。何か用かな。朝からお客様(?)が多いなあ。
「何?」
「きーと!部屋で何してたの!?あんたの部屋からきーが出てきたじゃない!」
「起こしてもらったらしいよ。」
「な…!」
藍空は、私を思いっきりたたくと、外へ出ていった。
「きー!ちょっと!」
「何」
「きー、あいつと何してたの!?」
「お前には関係ないだろう?」
「でも、あたし…!」
「言いたいことがあるならはっきり言え。面倒だ。」
「あたしは、きーのこと…」
「…俺は、お前に興味ない。失せろ。」
私は、藍空と希更のやり取りを見ていた。…だからあんなに私に怒ったのか。
それにしても、あの男最低だな。藍空と少し仲良くなりたくなった。泣きながら出てきた藍空は、私に気付くと掴みかかってきた。
「やっぱり、!あんた、きーのこと、たぶらかしてるんでしょう!?」
「な…」
「キャロルね!?あたしのこと嫌いだもんね!陰で一緒に笑ってるんでしょう!?」
違うと言おうとしたが、首を絞められて声が出なかった。酸素が薄くなっていく。死ぬのかな、勘違いなのに。そう思っていたら、彼女の涙が、頬に落ちてきた。少しずつ、力が弱まっていき、私は大きく咳をした。
「なんで、あたしじゃないの…あたし、頑張ってるのに…」
彼女の悲痛な声が耳に入ってくる。たまらず私は言った。
「違う!私は本当に何もないから…安心して…」
「知らないよ。あんたのことなんて、信じないから!」
彼女は、もう一度、私の首を絞め始めた。まずいな…
「はぁい!お二人さん、そこまで!」
場違いな明るい声。シャルルが、やってきた。
「チャイムなってたんだって!もう時間だよ。教室行こ?」
「そう。ありがとう。」
藍空は、私をにらみつけると走り去っていった。
「シャルル…あなた、キャロルのこと。」
「ああ、あの子が言っていたのは本当だよ。」
「な、なんで…!」
「…知ってたんだよね。キャロルが能力持ちなこと。そして、いつか暴走すること。」
「どういう…」
「ボクが先に能力が発動したんだ。だから、たぶん、キャロルもあるなって…」
「だから、嫌われ役をしてまで、キャロルに人を殺させないようにしたってこと…?」
「うーん…それは、ボクが死にたくなかったからかな。どんな方法でもいいから、生きるために脅威は減らしたいし!」
「脅威?自分の家族でしょう!?」
「…あのね、世の中って、そんな綺麗事だけじゃないんだよ?」
私は、なんと返したらいいのかわからなかった。これは、能力持ちにしかわからないことだ。私は…
「ねえ、琴吹。聞いてる?」
シーナに呼ばれて、今朝のシャルルの話を思い出していたが、慌てて現実へ戻った。
「ごめん、聞いてなかった。」
「ひどいな。まあ、風邪には気を付けようって話だ。」
「え?」
「キャロルが風邪を引いたんだ。昨日、二人でプールに落ちただろう?」
「え?私のせいで?あやまりにいかなきゃ…」
「いや、それはやめてほしいと言っていた。お前が風邪をひいていないのはすごいな。」
「まあ、私は頑丈だからね…」
シーナと話していると、楽だ。キャロルがいなくてさみしいが、それなりにのんびり生活できた。
異変があったのは、その日の夜中だった。
爆音が聞こえ、私は飛び起きた。何があったんだ!?とにかく、空いている部屋があったため、何も考えずに飛び込んだ。
「転校生。」
車いすに乗った青年、花宮更紗が、驚いたようにこっちを見ていた。ってことはここが、朔良の部屋か。希更の服やらがあるが、どうしたんだろう。
「更紗、だったよね?何が起きているの?」
「あ?知らねーよ。藍空の能力が暴走したとか、なんとか…」
それを聞いて、部屋を飛び出す。今朝、藍空と喧嘩(?)してから、話せていなかった。私のせいかもしれない…!
外では、天使のような羽が生えた藍空と、希更が戦っていた。私はあわてた。そして、希更のほうへ行った。
こっちを見た彼は、なぜか、藍空ではなく私めがけて、ナイフを投げつけてきた。その瞬間、藍空の放った弓矢が希更を貫いた。
「琴吹!そいつから離れろ!死ぬぞ!」
シーナが、私を引っ張った。希更にも、彼女と同じ羽が生え、紫色の霧を噴射した。
「まずいな。生徒たちの命が危ない。俺は希更を引き留める。琴吹は藍空を…っ!」
指示するシーナは、希更の能力で吹っ飛んだ。希更は、大きな百足を操っている。それが通るたびに、大量の霧が生まれる。そして、藍空は、私のいるのとはべつの寮に向かっている。まずい、キャロルがいる!!私は走ったが、希更による被害のほうが大きそうで。動けなかった。
死ぬ。キャロルが。そして、希更の向かうもう一つの寮には、動けない更紗がいる。どうしよう。その間も、藍空は、光る矢を乱射して、生徒たちの自分の配下へと変えていく。希更が気絶させ、藍空が撃つ。私は。私はどうしたらいいの。
このクラスメイトだけでなく、近所に住む一般クラスの子たちまで、危険にさらされている。先生も、ここまでの事態は想定していなかったのだろうか。
『迷ったら、大人数を守れ。そして、有力なものを生かせ。』
うん、わかった。そうだ。なんのために私がいるんだ。あの人のため。この世界のため。そうじゃないと。悕。
藍空に狙いを定め、私は彼女のもとへ向かった。
こんにちは!凛雨です!物語をかなり進めました!シャルルくんと恋ちゃんについて少し載せてみました!藍空ちゃんやキャロルちゃんの力が暴走した理由は何でしょうか…。あと、更紗を喋らせたのは初めてですね。凛雨の中では、更紗と朔良はそっくりです。朔良は結構いかれた感じです。凛雨は朔良が好きです。今日のアイコンは、シャルルくんと、希更くんです。この辺はゴチャゴチャさせるつもりです。
ラ・シャルル・レーヴェ↓ 自称芸術家です。この子は子供っぽいイメージです。(最年少ではないです)
性別 ♂
性格 明るい、人懐っこい、気分屋
一人称 ボク
能力 ルナティック・パレット
共鳴率 50%
冠 希更↓ 基本表情死んでます。うまく表現できなかったですね…。顔に傷ある子、好きです。
性別 ♂
性格 依存症、冷たい、弱い
一人称 俺
能力 蟲毒
共鳴率 70%