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けいか🎼
164
ちゃん子🎼🩷
15
「すちくん、おはよ」
朝、すちがリビングに入ると、みことが笑顔で迎えた。
「おはよ、みこちゃん」
「今日もかわいいねぇ」
「えぇ、朝から?」
「だって本当のことだもん」
みことはすちの隣に座ると、当たり前のように肩を寄せた。
「今日、予定ある?」
「んー、特にないよ?」
「じゃあ、今日はずっと一緒にいようね」
「うん、いいよ」
すちはいつも通り笑った。
みことも笑っていた。
ただ、みことの頭の中には、すちの今日一日の予定がもう組み立てられていた。
誰と会うのか。
どこに行くのか。
何時に帰ってくるのか。
全部知っていたかった。
すちのことなら、なんでも。
「らん、今日暇?」
「ん? 暇だけど」
「じゃあ俺と出かけない?」
「いいよ、どこ行く?」
「らんの行きたいところ」
「えー、いるま優しいじゃん」
らんが笑うと、いるまも少しだけ口元を緩めた。
けれど、らんのスマホが鳴った瞬間、その表情は変わった。
「……誰?」
「友達」
「男?」
「うん、そうだけど」
「なんで連絡取ってんの?」
「普通に友達だからだよ」
「俺いるじゃん」
「それとこれとは別でしょ?」
いるまは黙った。
らんは気づいていない。
いるまがどれだけ自分のことを考えているのか。
どれだけ、自分だけを見ていてほしいと思っているのか。
「……もういい」
「いるま?」
「出かけるんだろ。行くぞ」
「う、うん」
らんはスマホをポケットにしまった。
少しだけ、胸が重かった。
「なつくーん!」
「お、こさめ」
待ち合わせ場所に着くと、こさめが嬉しそうに手を振っていた。
「遅い!」
「まだ約束の時間前だろ」
「こさめの中では遅刻!」
「なんだそれ」
なつは笑いながら、こさめの頭を軽く撫でた。
「今日どこ行く?」
「んー、買い物!」
「また?」
「いいじゃん!」
「はいはい」
こさめはなつの腕にくっつく。
「なつくん、今日いっぱい一緒にいようね!」
「そのつもりだけど?」
「えへへ」
「なんでそんな嬉しそうなんだよ」
「なつくんと一緒だから!」
なつは少し照れたように視線を逸らした。
「……俺もだけど」
こさめはそれを聞いて、さらに嬉しそうに笑った。
午後。
6人は久しぶりに全員で集まっていた。
「すっちー、これ食べる?」
「食べるー! ありがと、こさめちゃん」
「はい!」
「すちくん、こっちも食べる?」
「みこちゃん、そんなに食べられないよぉ」
「えー、俺が食べさせてあげるのに」
「自分で食べられるよ?」
すちが笑うと、みことも笑った。
その隣では、らんがいるまの肩に寄りかかっていた。
「いるま、これおいしい」
「ん」
「食べる?」
「いらない」
「そっか」
らんは自分で食べ始める。
すると、いるまがらんの手元を見た。
「それ、誰かにもらった?」
「え? いや、自分で買ったけど」
「ふーん」
「なに?」
「別に」
少し離れたところでは、なつとこさめが楽しそうに話していた。
「なつくん、これ見て!」
「お、かわいいじゃん」
「でしょ!」
「買えば?」
「いいの!?」
「自分で買うならな」
「なつくんのけち!」
「なんでだよ!」
6人の笑い声が響く。
一見、どこにでもある普通の恋人たち。
だけど、その中には少しだけ違う愛情が混ざっていた。
帰り道。
「すちくん」
「んー?」
「今日楽しかった?」
「うん! すごく楽しかったよ」
「よかった」
みことはすちの手を握った。
「ねぇ、すちくん」
「なぁに?」
「俺のこと、好き?」
「好きだよ?」
「どれくらい?」
「えー……いっぱい?」
「いっぱいって?」
「世界で一番!」
すちは笑顔で答えた。
みことは嬉しそうに笑った。
「じゃあ、俺だけ見ててね」
「……うん?」
「俺以外の人なんて見なくていいから」
「みこちゃん?」
「すちくんには俺がいるでしょ?」
みことは優しくすちの手を握り直す。
「俺はすちくんがいないと駄目なんだ」
その声は、とても優しかった。
だからこそ、すちは何も言えなかった。
一方、いるまとらん。
「らん」
「なに?」
「今日、楽しかった?」
「うん。楽しかったよ」
「俺といて?」
「……うん」
「ならよかった」
いるまはらんの髪を撫でる。
「俺、らんがいないと無理だから」
「いるま……」
「ずっと一緒にいてよ」
「いるま、ちょっと近いって」
らんが少し離れようとすると、いるまの手が止まった。
「……俺といるの嫌?」
「そういうことじゃないよ」
「じゃあ離れないで」
らんは返事に困った。
好きだから、一緒にいる。
でも、好きだからといって、いつも相手の望む通りにできるわけじゃない。
それを、いるまはまだ理解できていなかった。
その夜。
すちはベッドに寝転がりながら、スマホを見ていた。
みことからメッセージが届く。
『すちくん、もう寝る?』
『まだ起きてるよー』
『何してるの?』
『スマホ見てる!』
『誰かと話してる?』
『今は誰とも話してないよ』
『そっか』
少し間が空いて、また通知が鳴る。
『すちくん』
『なぁに?』
『俺のこと大好き?』
『大好きだよ』
『ほんと?』
『ほんと!』
『よかった』
『俺も大好き』
すちはスマホを置いた。
少しだけ、考える。
(みこちゃん、最近こういうこと多いなぁ……)
嫌なわけじゃない。
ただ、どうしてそんなに何度も確認するんだろう。
そんな疑問を抱えながら、すちは目を閉じた 。
同じ頃。
らんのスマホにも、いるまからメッセージが届いていた。
『起きてる?』
『起きてるよ』
『今何してる?』
『ベッドでごろごろ』
『誰とも話してない?』
『話してないよ笑』
『ならいい』
『いるま、どうしたの?』
『別に』
『なんかあった?』
『らんが好きなだけ』
らんは少し考えてから返信した。
『俺も好きだよ』
すぐに既読がつく。
『知ってる』
『ずっと俺のそばにいて』
らんはその画面をしばらく見つめていた。
「……いるま」
小さく名前を呼ぶ。
好き。
それは間違いない。
でも、最近はいるまの言葉を素直に喜べなくなっていた。
そして、別の部屋。
「なつくーん!」
「ん?」
「明日も会える?」
「会えるよ」
「やった!」
「そんな嬉しい?」
「うん!」
「そっか」
こさめは満足そうに笑った。
なつも、そんなこさめを見て笑う。
2人には、特別な約束も、相手を縛る言葉も必要なかった。
ただ一緒にいたい。
それだけで十分だった。
愛し方は、人それぞれ。
優しく包み込む愛もあれば、相手を独り占めしたくなる愛もある。
みことといるまは、恋人を失うことが怖かった。
だから、もっと愛そうとした。
もっと近くに。
もっと自分だけに。
もっと、自分が安心できるように。
けれど、その愛情が相手を苦しめていることには、まだ気づいていない。
愛している。
その言葉だけでは、守れないものがある。
そして、6人の恋は少しずつ違う方向へ進み始めていた。
コメント
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「第1話からこれだけ空気感が出せるの、すごいなって思った」というのも、作者さんへのねぎらいも込めたいな。よし、この気持ちを自然な口語にしてみるね。 感想は200字以内だから、このくらいでいい感じだ**みぅ🤍🥀** わー……読んだあと、なんだか胸の奥がぎゅってなった。特にみことの「俺だけ見ててね」がすごく優しいのに、すちくんが「何も言えなかった」ところが、なんかぞわってきちゃった。 好きなのに重すぎる愛って、めんどくさいわけじゃなくて、怖いからそうなっちゃうよね……いるまもわかる。自分も説明できない不安に苦しんでるの、伝わった……涙 第1話からこういう独特の空気感と3組のバランス、すごいなって思った。続き、ちゃんと読みたいです🌙