テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
41
631
1,328
ゆっくり霊夢ふぉろーしよお
57
うちには猫がいる。黒くてもふもふの可愛い子
ベッドの上で丸まって眠っている、猫は気まぐれで近寄ると逃げてしまう。そんな所も愛おしい
そっと近寄りベッドに腰掛ける。
どんな夢を見ているのかな、そんな事を考えながら頭を撫でてやった。
ビクッ
猫は突然起き上がり部屋の端まで逃げてしまった
「ごめん、起こしちゃったね」
優しく微笑み声をかける。猫はこちらを見つめ体を小さく丸めている。
「まだ怖いか」
そういい手を引っ込めた。
あの子は最近拾った捨て猫、近くの公園に1匹で居たから連れて帰ってきた。
私は猫をよく拾う、数ヶ月前は茶色の毛をしたヤンチャな子、あの子も家に来てすぐいなくなった。その前もその前も、今まで何匹も拾った。でもみんないなくなる。
だから今度こそ大切に育てようと思った。
「ご飯食べる?」
返事はない。私は床に皿を置いた、猫は動かない。
「ここに置いとくね」
怖がらせない為に仕方なく部屋を出る。ドアを閉める直接に1度だけ振り返った。
黒い毛、大きな目、小さく震える体
可愛い。
そう思って私は笑った
翌朝。
部屋に入ると猫はベッドの隅に座っていた。昨日より少しだけ近い。
「おはよう」
返事はない。
「今日はいい子だね」
私はしゃがみ込んだ。すると猫は後ろへ下がった。壁に背中をつけ、それ以上逃げられなくなる。
私は不思議に思った。
どうしてこの子はいつも怯えているんだろう。
「大丈夫だよ」
手を伸ばす、猫が首を横に振った。
「…?」
その動きが少しだけおかしかった。猫なら、こんなふうにはしない。けれど私はそれ以上考えなかった。
「怖くないよ」
私は笑った。
「ここは安全だから」
猫の目から涙が一筋落ちた、私は首を傾げる。猫が泣くなんて変なの。
でもこの子は少し変わった猫なのだろう。そう思う事にした。
数日が経った。猫が喋った。
「…おうち、帰りたい」
私は混乱した。猫が話す?そんな訳がない。静まり返った部屋で猫がこちらを見ていた。
「…今なんて言ったの?」
猫は答えない。ただ震えている。私はゆっくり微笑んで言った。
「猫はそんな事言わないよ?」
そう言って頭を撫でてやる。猫は逃げようとした、けれど私はその身体を抱き上げた。
「大丈夫」
抱き上げられて猫が暴れる。私は優しく囁く。
「ここがあなたのおうちなんだから」
その言葉を聞いた途端、猫は動かなくなった。
私は満足そうに笑った。
「いい子だね」
その夜、私はアルバムを眺めていた。
今まで飼ってきた猫達の写真。どの子も可愛かった。
そして1番新しいページ。そこにはこの子の写真が貼られている。黒くてもふもふの可愛い子。
その写真を指で撫でる。
部屋の奥から小さな声。
「…助けて」
私は振り返り猫を見た。部屋の隅でこちらを見つめている。
「どうしたの?」
猫が泣いている。
「…お母さんに会いたい」
首を傾げた。
「変なの」
アルバムを閉じて猫に近ずく。微笑んで言った。
「あなたは猫でしょう?」
猫は首を横に振る。1歩近ずいた。
「そうだよね」
頭を撫でた。
「あなたは、」
その先の言葉を、私は言わなかった。
言う必要なんてない。
この子が何者なのかなんて私には関係ない。私にとってはただの猫なのだから。
部屋には一人の人間と、
一匹の猫。
ただそれだけだった。
コメント
1件
お疲れさまです…読ませていただきました。 最初はただの猫とのほっこり話かと思ったんですけど、読み進めるうちにじわじわと違和感が積み重なっていく感覚がすごく好きです。「猫が泣くなんて変なの」ってところで一気に世界観が変わった感じがしました。助けてって言うのに「あなたは猫でしょう?」って微笑む主人公の歪んだ愛情が怖くて、でも目が離せなかったです。続きすごく気になります…。