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彼がわたしの世界に来て、私が彼の世界に行って。
なんかもう、映画の主人公にでもなった気分。
実際そんなにいいものじゃないし、生活自体は実に平々凡々だったけれど。
「○○ーッ!」
「なぁに、ルフィくん!」
「こっち来いよ!!」
私の人生の中で、彼に出会えたこと以上の刺激なんてないだろうし、要らない。
腰にぐるぐる巻きになった腕に勢いよく引き寄せられて、展望台から二人で海を眺める。
案外筋肉質な身体に己の体重を預けてみてもビクともしないから、いっそ思いきりもたれかかってみたり。
「なんだ?もたれてきて」
「何でもないよ」
そう、この何でもない日常こそが幸せなんだな、と彼と出会って改めて思うことが増えた。
胸にあるバツ印も、左目の下の傷も、彼は勲章だと言い張った。
憧れの人から預かっている麦わら帽子を風に飛ばされないように押さえて、私のことも抱き寄せてくれる。
「○○はどっかに飛んでっちまいそうだからな!
おれが捕まえてなきゃダメだな!シシシ!」
「どこにもいかないよ。
けど、ずっと捕まえててもらうのも悪くないね」
「おう、ずっとこうしててやる!」
ぎゅーっ、とお腹に腕がまわって、首筋に彼の顔が埋められた。
ずっとそこで笑ってるからくすぐったくて、私も笑いがこみ上げてきて。
二人して意味もなく笑い合えるのが、心地良い。
「ルフィくん」
「ん?なんだ?」
「好きだよ」
「おれは、愛してる!!」
end -
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