テラーノベル
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🌸愛され / WB腐 / ほんのり🐢🌸
二重人格の🌸
正直二重人格について詳しいわけではないため、ほとんどの部分を想像で書いています。
気分を害してしまったらすみません🙇♀️
❥ 表 ︎ ↪︎ 原作🌸遥(記憶、自覚無)
❥ 裏 ↪︎ 初期🌸遙(記憶、自覚有)
モブ女(名無し)× 🌸 初めの方有り
未成年喫煙、飲酒ほのめかし、売/春 諸々…… 有り。
⚠この物語はフィクションです。真似をしてはいけません。
過去捏造
なんでも許せる人向け🙆♀️
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「 ねぇ、遙、私疲れちゃったなぁ…… 」
ピンク色に煌めくホテルをちらちら見ながら顔色を伺う。わざとらしくも可愛らしく顔を赤らめ、トドメのような上目遣いと猫なで声でぼそりとつぶやく。一体今までにどれだけの男を食ってきたのか。計算高いその仕草は、大抵の男なら簡単に堕ちるだろう。
「 はっ、そう言って本当はオレに抱いて欲しいだけだろ? 」
若干悔しそうに、でもそんなのも嫌いじゃないわと言わんばかりににんまりと笑みを浮かべる。この女がそうであることを理解していたからこそ出た言葉。
「 んも 〜 、 もう少しムードとか考えられないのぉ? 」
「 でも、 それがいいんだろ? ホ別で5なら受けてやるよ 」
ついでに今ならサービスしてやるよ。
耳元で甘く囁けば断る者はいない。
目の奥にハートを隠し持ちながら、いいわよと頷き、甘ったるい香りを纏わせた身体をぴたりと密着させ、豊満な胸をぎゅうぎゅうと押し当てて、少し強引にホテルの方へと引っ張る。
できる限りこの身体を汚したくはないから、さっさと離れてくれねぇかな。と思いつつも、無理だろうから必要経費として目を瞑ることにした。それよりも今はどうやってこの女を潰すかを考えなければならない。いかに触れないように、汚れないように。
「 桜ぁ ……? 」
今日の反省点をあげるとすれば、この姿が”誰に”見られているかを微塵も気にしていなかったことだ。
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静かな部屋にシャワーを浴びる音と、ご機嫌な鼻歌が微かに響く。部屋にはベッドには気持ちよさそうにすよすよと眠る女の姿。 身体にはびっしりと紅い花が咲き乱れている。
カチッと水を止める音がしたと思ったら、間髪入れずにガラガラとスライド式の扉が開かれる。中からは鬱陶しげに2色の髪を後ろへかきあげる遙の姿。
予め用意していたタオルを手に取り、身体を大雑把に拭いていく。時刻は日にちを跨いで少ししたぐらい。あまり時間は残されていないため、無駄なことはしたくはない。
あらかた水気が取れたところで鏡の前に立ち、身体をくまなく確認する。行為をほのめかす跡はないか、喧嘩で負った傷や打撲はないか。
気が済むまで確認を行ったら予め用意しておいた替えの服を身につけ、女のところ……ではなく、女の手荷物の元へ行き、ゴム手袋を着けて中身を漁り、財布を取り出す。
中から報酬の万札を5枚と、サービス料として追加で2枚を貰うことにした。
「 じゃあな 」
誰に伝える気もない空っぽの挨拶が、静かな部屋に響き、閉ざされる。
適当にいい高さの室外機に腰掛ける。座ったことによりシャワーで取り切れなかった甘ったるい匂いが主張を強める。
めんどくさい女。 それが遙にとっての感想だった。 細かい要求が多く、執拗にキスを迫ってくる。
キスなんてするわけないだろ。ましてやあんなはした金では。
思い出すだけでイライラしてくる。 むしゃくしゃした気持ちのまま、煙草のパッケージを乱雑にあけ、中身を口に咥える。そのまま少し吸い込みながら火をつけ、煙で肺を満たしていく。
生き返る。 女を抱くために空っぽにした心が戻ってくる気分だ。 本当は酒も欲しかったが、あの女が無駄に大人をしてくれたおかげで手に入らなかった。
「 未成年が煙草なんてダメだよぉ ? 」
変に間延びした声が聞こえたと思えば、口に咥えている物をバッと取られる。その声には聞き覚えがあった。目の前には厚い胸板とそれを隠す作務衣。まさか…… だってこいつには決定的な違いがある。だってあいつは……
「 今日は下駄じゃないんだぁ 、 鼻緒が切れちゃったから修理中 」
通りで…… 目線を下にやるとそこにはビーチサンダルがあった。これじゃあ最大の特徴でもある下駄の音が聞こえないわけだ。
心の中で舌打ちする。 さすがにバレるのはまずかった。
「 それで、 桜は何してたのぉ? 」
その一言で全てを理解した。こいつ、全部を見ている。
「 …… さぁな …… お前には関係ねぇよ …… 」
「 じゃあ質問を変えるねぇ、 お前は誰だ 」
普段の十亀からは想像できないほどの低い声。首元にギロチンを落とされた気分になった。遙が想像する以上に、十亀の勘は鋭い……いや、桜のことをよく見ているようだ。
「 誰だって…… お前さっきオレの名前呼んでたんだから知ってんだろ? 」
「 うん、でもお前は桜じゃないでしょ? 桜はこんなことしないし、 そもそも目が違う 」
桜はそんな冷たい目をしていない。
「 へぇ…… お前、遥のことよく見てんだな 」
遙の遥呼びに眉間がピクりと動く。どいつもこいつもわかりやすい奴ばかり。
「 半分正解で半分不正解、 オレは確かに桜遙だ、 でも、お前が知ってる桜遥ではない 」
「 なにそれぇ …… 意味わかんなぁい 」
「 簡単に言えば二重人格っヤツ、お前が知ってる遥は表の人格、 オレは裏 」
──────
桜が2つ目の人格、遙を作り上げたのは両親が死んで親戚に引き取られて少しした頃だった。
桜は両親には愛されていた。 そう、両親には。 世間の目はいつも桜には冷たいものだった。 それを桜が気づくことのないように、触れることのないように、両親が周りを囲って守っていた。
そんな両親がいつの日にか、交通事故で死んだ。 桜が遊びに行きたいと言って、公園に行こうとしている途中、居眠り運転で歩道に突っ込んできたトラックから桜を守るために。
救急車が事故現場に着いた時には、真っ赤な血の海になっており、その血の海の中で桜だけがただ無心で座っていたらしい。泣くこともせず、両親の亡骸に縋ることもせずに。
葬式の時も桜は泣くことはなかった。桜にとって死は理解できるものではなかった。今までずっと両親に囲われていることもあり、日常生活で身につける常識的なところが欠如している部分があった。 そもそも交通事故により、ぐちゃぐちゃになってしまった両親を、両親と認識できなかったというところもあるが。
桜の両親はいつもニコニコしていた。桜の前だけは絶対に笑顔を欠かさなかった。そんな両親を見て、いつの日か桜もそれを真似て、いつでもニコニコするようになっていた。そう、笑顔を欠かさないようになってしまったが故に、葬式の時も笑顔でいてしまったのだ。
一般的に、両親が死んだとなれば悲しみ、悔やみ、泣き崩れるものだ。しかも、それが自分を庇った結果となれば。 そんな中、ニコニコと笑顔でい続ける桜は、並外れた容姿も相まってどれだけ奇妙に映ったことだろう。
桜自身は何も分からないまま、理解する機会も与えられないまま、あれよあれよと事が進んでいき、全く知りもしない親戚のもとへ引き取られ、よく分からない場所に詰め込まれた。
そこからは地獄も同然だった。 今まで両親が見せないように、触れないようにしていた、世間の冷たい目が、悪意が、全部表に出たのだから。
最初こそ未知の反応、未知の感覚に戸惑い、傷つき、時には涙をこぼすこともあった。いつか終わる。いつか両親が助けてくれる。 最初はそう信じて、唯一の両親とのつながりである笑顔は守り続けていた。
だが、いつしか涙はおろか、傷つくことも無くなった。いつまでも終わらない。いつまでも迎えに来ない両親に諦めを覚えてしまった。同時に両親との唯一のつながりであった笑顔も捨ててしまった。
「自分の身は自分で守るしかない、そう気づいた時ぐらいから、遥の身を心を守るために、オレはできた、って感じだな 」
「 ……っ はぁ ー…… 」
隣から聞こえるバカでかい溜息に笑いが込み上げてくる。笑い事じゃない。と恨めしげに目線で訴えてくるが、そんなものは知ったことでは無い。
「 この話、桜の口から聞きたかったなぁ…… 」
「 オレの口から言ってんだろ 」
「 君じゃない方の桜から聞きたかったってこと、 わかってるでしょ…… 」
「 知らねー 、 てか普通に無理だろ、遥はオレのこと知らねぇし 」
「 は……? え、 桜は君のこと知らないのぉ……? 」
「 知らねぇに決まってんだろ、 オレが自我を出すのは基本的に桜が眠りに落ちた夜の間だけだし、 そもそも知ってたらあんな純粋になれねぇよ 」
「 確かにぃ…… 」
そう、桜は純粋である。 両親が守っていたところもあるが、 両親が居なくなってからは主に遙が桜を守っていた。 不純なものには近づけず、 不純な動機を持って接してくるやつは遙であるときに始末する。
そうして育ってきた桜は、不純なもの……特に性的なことに関するものは一切知らなかった。
「 ちなみに遥は自慰すらしたことない 」
「 え゛ …… え、 それって大丈夫なのぉ……? 色んな意味で…… 」
「 まあオレが発散してるからな、 身体は大丈夫だと思う 」
「 あっ …… そっかぁ …… 」
「 だが確かにそろそろ知ってもらわねぇとダメなのはオレもわかってる 、 でもオレが教えることはできねぇし…… かといって遥を不純なものに触れさせる気はねぇし 」
「 桜の身体で色んなことやってるのにぃ ? 」
「 これは不可抗力だ!! 別に好きでやっちゃいねぇよ…… 金を稼ぐためにはこれしかなかったんだよ…… できる限り身体は触れさせないようにしてるし、キスもさせたことはねぇよ 」
「 そっかぁ …… まあなんにせよ、 君が桜のことを大切に思ってくれていることはわかったよぉ 、 桜のことを守ってくれてありがとうねぇ 」
「 …… は? 」
最初の頃の敵意はどこに行ったのやら。 嬉しそうにふにゃりと笑い、桜の何倍も大きい手でゆっくりと撫で始める。
なんなんだ、この感覚はなんだ。 今までの、悪意や不純な動機が一切ない、 ただの好意、いや、それを超えた愛情というものなのか。 遙が生まれてからは一度も味わうことのなかった感覚。思い。感情。
「 なっ、 なっ゛ …… !? 」
顔に一気に血が上って行く。 先程までの妙な落ち着きや、何も映さないような濁った瞳はどこにもない。
年相応…… いや、十亀の目には少し幼く見えたかもしれない。
「 あれぇ ? 君ももしかして人の好意とかに耐性ないのぉ? 」
「 っ 〜〜〜!!!! っるせぇ !! 仕方ねぇだろ!! 」
「 そっかぁ …… じゃあ今までの分も、これからもオレがたくさん伝えるよ、耐性がつくまで……いや、耐性がついても 」
「 はぁ゛ !?!? そういうのは遥にやれ !! 」
「 もちろん、桜にも伝えるよぉ、 でも、君にも伝えるよぉ、 君は桜にとってもオレにとっても大切な人だからねぇ 」
それにオレの愛は重たいからぁ、2人分とか余裕なんだよねぇ。
十亀とはしばらく言い合いになったが、あまりにもしつこいためとうとう遙が勝手にしろ!!と折れてしまった。
疲れた…… なんて思いながら空を見上げると幾分と明るくなっていた。
桜は早寝早起きタイプのため、そろそろ起きてしまう頃合いだろう。 となれば早いこと家に帰らないといけない。
「 そろそろ遥が起きるから帰るわ 」
「 そっかぁ 、 ねぇ また君と会えるかなぁ 」
「 さぁな 、 まあ…… 気が向いたらあってやらないこともない…… 」
「 ふふっ、 やっぱり君も桜と似て優しいねぇ 」
「 っるせぇよ…… じゃあな 」
「 うん、 またねぇ 」
十亀に背を向け、ようやく煙草を吸える、と思い懐から取り出して、やめた。
しばらく考えるように顎に手を当てたと思えば、十亀の方へくるりと身体を向ける。
なにか忘れ物でもした? そう声をかけようとした瞬間、 まるでイタズラが成功したかのようににぃっと笑う桜。
「 十亀になら、遥を任せられるかもな 」
「 ……ぇ 、 ? っ!! ちょっ 、 ! 何それどういう…… !? 」
「 またな 十亀、 遥をよろしくな 」
最低で最高な置き手紙をされた十亀は可哀想な程に顔を赤らめ、しばらくそこを動くことが出来なかった。
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だいぶ短くなりました。 続きません。
とにかく遙と十亀をテレさせようとしたらこうなりました🙇♀️”
ここまで見て下さりありがとうございました🙏
(2025/08/05 21:30:08)
約6000文字
コメント
2件
更新頻度高くてビビる 🙃 よおこんな良いシチュエーションがポンポンと ... シグが人間ChatGPT説も浮上する 寝る前だから一旦さっと読んで明日ちゃんと見ようと思ってたのにいつの間にか全部見通していたよ ... 強気な子が攻められるのには弱いのは需要高いよ ... 😇