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2日目__
ぱち…
「ん…ふぁあ~…」
朝8時頃、どの松よりも早く目が覚める
今日はにゃーちゃんのライブがある。
アホ毛があるなんてみっともない。
そう思い、
洗面所まで行く。
正直就活はすごくめんどくさいし、
働きたくない。
だけど
僕は母さん、父さんからどの兄弟よりも期待を抱かれている。
真面目だから、
しっかりしてるから、
…頑張らなきゃ
サッサっとくしで髪を整える
ぎゅ…
「ん?」
突然後ろから手を巻かれる
いわゆるバックハグだ。
「……」
数秒の沈黙が続いた後、僕は口を開く
「…なにしてんの、おそ松兄さん…」
「……お前ライジングしてすぐ居なくなんじゃん。だから離さない」
「居なくなるって…。兄弟なんだから離れることは無いよ」
「…もー、ちげーよ…」
「じゃあどういうこと?」
そう問うと兄は
肩を持って僕の体をくるっと回し、
顔がよく見えるようにした。
「チョロ松が…チョロ松が他の野郎に取られるのが嫌なの!そんくらい言わせんなクソシコ松」
「はあ?急になんだよ、取られる?僕モノじゃないし人間だから。何訳のわかんないこといってんの。」
「はぁぁーーー…」
「エっ、なに、なんでそんなでっかいため息ついてんの?僕なんか悪いことした?」
「……」
頭にハテナを浮かべながら顔を傾ける。
おそ松兄さんの様子がおかしい…?
……そういえば昨日からヘンなゲームしてたっけ。
___100日以内に僕の心を少しでも動かせたら…付き合ってあげる。
…だからこんなグイグイ来てるのか
「なんで僕あんなこと言っちゃったかなぁ…」
はっとため息をつき、
鏡をもう一度見直して歯磨きをはじめる
「…チョロ松」
「んぁに?(なに?)」
歯磨き粉が口の中に入り、
白い物体が少し唇に着いた状態で返事をする
「好きー…。」
まだ寝ぼけたままなのだろう。
うとうとして、寝言のように告白をしてくる。
「…うん」
回答に困りながらも適当に返した。
___
「にゃんにゃんにゃんにゃーーーーーんっ!!!」
ステージ全体に老若男女と主役のアイドルの声が響く。
「にゃーちゃんっ!!ちょーぜつかわいいよっ!!!にゃああああちゃーーん!!」
色んな人にファンサをしてくれる優しくて天使で超絶可愛いこのアイドル、にゃーちゃんはずっと前から僕が応援してる人だ。
「あぁ~…さすが、今日も可愛いなあ。」
「ほんとそれな!!また来ようね」
にゃーちゃん繋がりで知り合った友達、
いわゆる「にゃー友」と少し語ってから別れを告げる
「ばいばーい」
と一言。
新しく買ったグッズを抱え、
独り言を呟きながらぽつぽつと帰っていく
「~、、かわいかったなぁ。さすが僕の推しっ!あーあ…、あんな子が彼女だったらどれだけ幸せなんだろ…」
浮かれた顔をして、ある程度家まで近づくと
突然後ろから足音が聞こえてきた。
それも近くなってる?
タッタッタッタ…
後ろを振り向こうとした瞬間、
視界が真っ赤にそまる
ドンッ…!
「おわっ…っ!??」
目を開けると、
汗でだらだらになったおそ松が
僕の上に乗っかって抱きしめていた
「やっっと捕まえた、チョロ松ぅ~」
にこにこして、人差し指で鼻をこする。
「ちょっ!?おそ松兄さん!?びっくりさせんなよっ!」
「だって起きたら俺のシコ松いなかったんだもーん。」
「はあ?兄さんが起きるの遅いんだよ。……………あ…」
「お?どした?」
手元を確認すると、
砂で汚れ、ひびの入ったにゃーちゃんのアクスタがあった。
「あ、…ああ……」
「……用事思い出した!!っじゃ!!」
兄さんは状況を察したっぽく、
気がつけばどこかへ走り去っていった。
「おいいいいぃぃーー!!!!コラ長男コラアアァァッッ!!!!!!」
叫びながら、
ダッシュで追いかける
あんのクソ野郎…っ!
ガラッ…
イライラし、呼吸が整らないまま家の中に入る
「やっと帰ってきた?チョロ松兄さん。おそ松兄さんなら2階にいるよー」
松野家末弟、トド松。
何故トド松が事情を知ってるのか疑問に思ったが、そんなことより…。
ドンッドンッ
と大きく音をたてながら階段を昇っていく
ガラッ
ドアを思いっきり開け、息を吸い
「おいおそ松ッ!!!!お前何してくれてんだよっ!」
部屋にいたのは漫画を床に広げて暇そうに寝転がった長男だった
のんきにダラッダラしやがって……
「あ、おかえりー俺のチョロ松」
「鬱陶しいな!それよりアクスタどーしてくれんの?!これ1600円もしたのに…!」
「わりぃわりぃ、手が滑っちゃってさぁ……」
えへへと笑って誤魔化そうとする長男に、より一層怒りが湧いてきた。が、
「っっ、これ、……限定のやつだったんだよ…、二度と手に入らないのに……っ」
「っえ」
目から何故か大粒の涙が溢れてくる
「……ぅ、っなんでいつも…僕ばっかりが……」
「えぇ!!泣くの!?チョロ松、ごめんって!!」
手や腕でぬぐっても止まらない涙…。
この感情は
怒りなのか、アクスタを壊された悲しさ、悔しさなのか
僕には分からなかった
「な、チョロ松、弁償するからさぁ…」
ごめんごめんと何回も謝りながら、僕を抱きしめる。
「…………」
絶対に許したくない
うざい。
ほんとにムカつく
…… だけど
「………嫌いになれない……」
「……え…」
僕は朝からのライブと、長男に振り回されたことに疲れたのか、おそ松の腕の中でそのまま眠りについてしまった。
「…あれ、チョロ松?……寝ちゃった。」
おそ松視点
「…あれ、チョロ松?……寝ちゃった。」
俺の腕の中で眠ったチョロ松をソファーに置き、薄い布をかける
俺が襲うとでも思った?
バーカそんなことしねぇよ
正直……アクスタとやらを壊した時、自分でもよく分からんけどすげえスッキリした
「にゃーちゃんがさ…!〜ーー、ーーー」
「この前のライブで…ーー〜〜、、、」
レイカの話になると、
顔がふにゃってなって、嬉しそうで、幸せそうで……
かわいいけどチョロ松がレイカの事を楽しそうに口にしたとき、すげームカつく
俺のチョロ松なのに
俺以外のやつと手繋いだり、
話したりしてるとか
ありえねーし。
「……ねぇチョロ松」
目の前でぐったりと寝ているチョロ松に、
届きもしないのに話しかける
「……さっきの嫌いになれないってどーゆー意味なの……」
起こさないように小声でぽつりと言ってから
チョロ松の頬にキスをする
ちゅ………
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