テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
麗
54
瀬名 紫陽花
3,026
150
ギルドを出た私達は、沢山の人々が行き交う街の中を進み、孤児院を目指していた。
その間にエリナさん達から、固有スキルは誰しもが持っている物で、スキルポイントを得て取得する事の出来るスキルとは全く違うものだと言う事を教えてもらった。
エリナさんはの固有スキルは【風の愛し子】と言うもので、風魔法を通常よりも上手く扱え、風魔法の取得スキルポイントが少なくなるんだとか。
そして、アルスさんの場合は【剣の道】と言うスキルを所持しているようで、剣術に関わるスキルを取得する為にだけ使えるスキルポイントを修行により得られる効果があると言っていた。
そのお陰で剣術のレベル3を取得出来たんだと教えてくれたんだけど、そろそろレベル4を取得出来るポイントが貯まると言っていて、努力が目に見えて実るそんなスキルはとてもアルスさんに合っていると私は思った。
そんな話をしていると、リサは暇だと思ったのか少しご機嫌が斜めになってしまった。頬を膨らませながら私にピッタリとくっついている。後でしっかりご機嫌取りをしないとだね。
「さぁ、ここがこの街の孤児院よ」
エリナさんがそう言うと、大きな教会の横にある建物を指差した。
「大きいですね⋯⋯」
その孤児院には大きめの庭があるようで、子供達の楽しそうな声が聞こえてくる。
「この街にはね、冒険者の子供なんかも多く居て、そんな子供を預かってくれたり、万が一があった冒険者の子供を保護してくれたりと、冒険者からすれば無いと困る施設なの」
「孤児が住むだけじゃ無いんですか?」
「そんなに孤児が大量に出てしまう状況自体がおかしいんだからね?」
「や、やっぱりそうですよね」
「とりあえず、リナとリサはここに住めるか聞く為にも中へ入ろうか」
「はい!」
アルスさんが私にそう告げると一緒に中へ入っていった。
♢
「おやアルスにエリナじゃないですか、どうしたんですか今日は」
中へ入ると、年をとったシスターさんがアルスさん達に声をかけた。
「シスター久しぶり、元気そうで嬉しいわ」
「シスター、久しぶりだな。
今日は相談があって来たんだが⋯⋯」
「そこの子供達ですか?
見た感じ二人とも8歳くらいみたいですが⋯⋯」
「こっちのリナが10歳で、こっちがその妹のリサが8歳だ」
「⋯⋯話を聞かせてくださいますか」
シスターは私達を見ると、寂しげな顔をして、アルスさんにそう言った。
「あぁ、リナも良いか?」
「はい」
そうしてアルスさんがシスターさんに私達の事情を話しはじめた。
「なるほど、ご両親を⋯⋯
大変でしたね、ここで良ければいて頂いて構いませんから、今は心の傷を癒すと良いでしょう」
「ありがとうございます、でも私は出来れば冒険者として活動したいと思っています。
ずっとお世話になる訳にもいきませんし⋯⋯」
「分かりました。あなたの決定をどうこう言うつもりはありませんし、あなたの年になれば冒険者になる子がとても多いのは事実です。
特に孤児院のように両親の庇護がない子供の場合は。
ただあなたを失うとリサちゃんは間違いなく傷つきます。それだけは、絶対に忘れないでください」
シスターさんは私にそう言ってくれた。
リサを悲しませる訳にもいかないし、安全第一でやっていきたいと思う。
「もちろんです! 私が出かけている間、リサの事、よろしくお願いします!」
「⋯⋯リサちゃんも、大丈夫?」
私がそう言うと、シスターさんはリサにそう声をかけた。
「おねぇちゃん、ぜったい戻ってくる?」
「うん、約束する」
「じゃあ、わたし、がまんする!」
リサは少し寂しそうな顔をしながらも健気に笑顔でそう答えた。こんな顔されたら死ぬに死ねないよ。
「はぁ、私としてはあなたみたいなまだ小さな子に冒険者なんてさせたく無いのですが⋯⋯」
「一応、基礎の基礎は俺たちが教えた。
それにリナは薬草の知識があるらしい、薬草採取なんかの依頼でも食っていけるだろうさ」
「薬草の知識が⋯⋯?あれは錬金術師の間で一子相伝とまで言われる物、まさか親御さんが?」
「いや、俺にはわからないぞ」
「私も知らないわよ?」
「そ、そんな大した物じゃないですよ!?」
私のお母さんはいつも色々な薬草について教えてくれていた、だけどお薬だとか錬金術なんてやっている所は見た事が無い。
⋯⋯流石に隠れてやってたら、わからないけど。
「まぁいいでしょう、とりあえず空いてる部屋に案内しますが、掃除をしていない部屋なので気を付けてくださいね」
「はい!」
「あい!」
シスターさんの案内で私たちがお世話になる部屋へ案内してもらう事に。
「ここがあなたたちの部屋になります。
お掃除は大変だと思いますが、頑張ってくださいね」
シスターさんがそう言うと少しして突然コメントが書き込まれた。
:急にごめんね、生活魔法のクリーンを使ってお掃除とかって出来ないの?こうなんて言うか、部屋全体にクリーンをかけるイメージでさ!
リナ:あっ、確かにそう言われるとそうですね⋯⋯試してみます!
何故私は気付かなかったのだろうか。
自分の汚れを綺麗にするクリーンならお掃除だって出来そうな気がする。
「なるほど⋯⋯【クリーン】!」
「「「えっ」」」
シスターさんにエリナさん、アルスさんも目の前で起きた光景に驚いていた。
「⋯⋯凄い、本当に使えた」
かく言う私も本当に出来るなんて思わなかったのだけど。
:すげえええええええ!!!!
:俺もクリーン使いたいなぁ、俺の部屋汚いし
リナ:そうなんですか?
:なんか面倒でさ、そのままにしちゃうんだよね
リナ:ふふっ、なんでも出来そうな人だと思ってました。なんだか意外です
:⋯⋯俺はそんな大した人間じゃないよ
リナ:そうですか? 私をこうして助けてもらえただけでも、本当に嬉しかったですよ
「り、リナ!? 今あなた何を!?」
コメントとお話ししていると、固まっていたエリナさんが突然私にそう詰め寄ってきた。
「え、えっと、クリーンですけど⋯⋯」
「クリーンでお掃除なんて出来たの⋯⋯初めて見たわよ⋯⋯」
「お、俺もだ⋯⋯」
「私も初めてですね⋯⋯お小遣いあげるので他の部屋もお願い出来たりしませんか?」
「お、お小遣いですか!?」
「ここまで綺麗にされたら、あげたくもなるわよ⋯⋯」
「まるで新品だな⋯⋯」
どうやらお部屋全体にクリーンをかけるのは普通じゃなかったようです。
:リナちゃん、なんか⋯⋯ごめん
リナ:いえいえ、むしろお掃除が楽になったのでありがとうございます!
:固定観念って怖いなぁ⋯⋯
リナ:見方一つでこうも変わる物なんですね⋯⋯
:それもだけどクリーンの綺麗にする能力の高さにもびっくりだよ
リナ:確かに、そうですね⋯⋯
コメントで謝られてしまったけれど、私としてはとてもいい発見に繋がったと思うから、気にしないで欲しいんだけどな⋯⋯
「と、とりあえず部屋はこれで綺麗になりましたし、荷物などがあれば置いてもらっても大丈夫ですよ」
シスターさんもやっと落ち着いたのか、私達にそう言ってくれた。
これで落ち着けるかな⋯⋯それにしても、ベッドなんて、どれくらい振りだろう。
「は、はい! これからお世話になりますっ!」
「おせわになります!」
「はい、ここを自分の家と思って過ごしてくださいね」
私達はお礼と挨拶をすると、シスターさんは笑顔でそう言ってくれた。
これで今日から住む場所も確保出来たから、明日から頑張らないと⋯⋯!
なんてそんなことを考えていたら、突然アルスさんに話しかけられた。
「なぁ、リナ」
「は、はい?」
「スキルについて、詳しく教えて貰えるか?」
「⋯⋯固有スキルの方ですよね?」
「あぁ、隠すような物でも無いから俺たちは話したが、もしかして、喋りにくいスキルだったりするのか?
無理に教えてくれとは言わないが⋯⋯」
「話す事は出来ます、けど、信用してもらえるかどうか⋯⋯」
「どういう事だ?」
「⋯⋯ちゃんと説明します」
私は異世界配信スキルについて説明する事にした。
コメント
1件
読み終えたわ!「クリーンで部屋全体をお掃除」って発想、完全に盲点だったよね…!私もリナと同じで「自分の汚れを落とすだけ」って固定観念あったわ。コメントからヒントもらって実際に成功するところ、スキルの可能性って無限大だなって思えた。リサが「がまんする!」って笑顔で言ったシーンもグッときたよ…!次回、固有スキル「異世界配信」の説明始まるみたいで楽しみ🔥