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#ファンタジー
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君は死んだ。僕しか生き残らなかった。それが15年前の出来事だ。たぶん僕たちは似通っていた。死は人を平等に裁く。君が死んで僕が生きている矛盾をずっと僕はどこか後ろめたい気持ちで感じていた。「麻也、明日の練習どうする?」
明るい声で美紀が話しかけてきた。
僕は思案していたことを一瞬忘れて、
「ああ、小森のマラソンコースを走ろうかなって思ってるよ、君がよければ」
それに美紀は頷いた。
僕たちはとても仲が良かった。美紀と出会ったのも、君がいたおかげでもないけど、君がいなかったら今の僕はなかった。
そういう意味で感謝―でもないけどそれに近い感情―をしている。
もし、僕が死ぬとしたら、たぶんそれは15年前ではなかったけれど、僕が君が死ぬという選択をしたのは間違いだったと思っている。ひどい話だ。我ながら酷い話だとは思うけど、君の選択は結局、最悪の中の最悪だからね。
だから、僕は君の分までとは言わないけれど、せめて君のように苦しむひとがいないように自分の周りだけでもきちんとしようと思っている。それが君が死んだことへの贖罪だから。
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