テラーノベル
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グラスに顔を近づけ、1口ビールを飲むと、冷たくてさっぱりとしたあの味が口の中に広がる。もう一口、といこうとしたところで、ふと今回の”目的”を思い出し、グラスを机に置く。
涼ちゃんの言葉を思い出す。
『一緒に、元貴を助けよ?』
そうだ。今日俺は、元貴を助けるためにここに来た。決して、ただ飲んで遊ぶために来たわけじゃない。元貴の本当の気持ちを、何としても聞き出して、元貴を助けなければ。机の下で握った拳に力が入る。
一方の元貴は、1口ビールを飲むなり、「どれ食べよっかな」と自家製のおつまみへと手を伸ばしていた。
「あ、若井も好きに食べて?」
「まだ材料あるから、すぐ作れるし」
元貴の言葉に、ふと豪華なおつまみへと目線を向けたその時。元貴のロンTの袖から見え隠れする手首が視界に入る。
「っ……!」
元貴の手首には、何やら赤い線が1、2本。
これって……リストカット?
背筋がゾクリと音を立てるのとともに、察しの良い元貴にバレないようにと、すぐに目を逸らし、おつまみへと手を伸ばす。
見てしまった。あれはリスカに違いない。さっき見たからには、まだカサブタにはなっていなかったし、もしかして俺が来る数時間前の出来事だったりするのか?
変に聞かない方がいいのは分かってる。でも、こんなもの見て聞かないでおけるはずがない。聞くのを流して、一回涼ちゃんに相談する?また涼ちゃんに手伝ってもらうのか?俺にしか出来ないことなんだろ?
俺は恐る恐る元貴の顔色を伺いながら、手首のそれについて聞くことにした。
「…っ…も、元貴…手首、どうしたの?」
最後の方はほぼ消えてしまいそうな程に、か細い声になってしまった。元貴は俺の言葉を聞くなり、表情は変えずに、サッと跡があった方の手首を隠した。
「……見ちゃった?」
元貴は「しくった」とでも言うかのような、困り笑いのような表情で問いかけてくる。
「………う、うん」
意を決してそう返すと、元貴の手首を隠したもう片方の手がパッと離れる。
「いや……実はさ、おつまみ作る時に切っちゃって………」
「………ぇ、?」
「いや、その…!やっぱ若井には完璧は俺を見せたくて!!」
「だっていつも何でもできちゃいますオーラ出してるやつが、簡単なおつまみで怪我とかダサいでしょ!?」
「包丁置く時にうっかり……ね?」
元貴は恥ずかしそうに頬を赤らめながら理由を口にする。元貴の回答に、全身の力がふわっと抜けていく。
「………なんだぁ、よかった……」
「え?何が?」
「いや…元貴が何か悩んでて自分で切ったりしたのかと思って……」
俺がそう口にすると、元貴はぽかんとした顔をしていたものの、すぐに吹き出す。
「心配しすぎ!俺そんなメンタル弱くない!!」
「いやいや…!元貴忙しいし、疲れとか溜まってるだろうし!」
元貴は「なにそれ!」なんてキャッキャと笑う。
でも、本当に良かった。もう手遅れなのかと思った。この元貴の様子からするに、案外精神的にはそんなにダメージが無さそうなのか…?いやいや、そんなことないはず。俺が聞かない限り、元貴から口にすることはないだろうし、上手く流れを作んないと。
そんなことを思っていると、元貴が口を開く。
「てか、そんな俺のこと心配ならさ、聞いて欲しいことあるんだよね」
「愚痴っぽくなるけど…いい?」
元貴からの提案に、心の中でガッツポーズをする。いい流れだ。この話に乗っかれば、絶対いい感じに……。
「もちろん、なんでも話してよ」
元貴はおつまみを取るフォークを自身の取り皿に置くと、少しだけ真剣な表情で話し始めた。
「その…彼女の話なんだけどさ、」
「彼女」という言葉に、頭の中のアンテナが反応する。めちゃくちゃいい流れだ。俺はなんとか前のめりになるのをグッとこらえて、何度も自身に「平常心」と言い聞かせた。
「最近さ、すっげー喧嘩しちゃったんだよね」
「……すっげー喧嘩…?」
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なかなか焦れったいシーンが続きますね😿💦
(↑原因:更新が遅い)このお話は全13話で構成されてますので、気長に待っていて頂けると嬉しいです꒰^> · <𓈒^꒱💦
ではまた次のお話で^^
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コメント
5件
すごく好きです、どんな喧嘩をしたんだろう、
「あー、もう焦れったい!笑」 手首の傷見たときはマジでドキッとしたけど、料理中の怪我でよかった……。でも元貴の彼女話、気になるやつやん!ここからどう転ぶのか、次が待ち遠しい🔥 更新ゆっくりでも待つから、しっかり書いてね〜!