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「…ん。」
雨風が窓を叩く音で目が覚めた。予報では明日も雨らしい。
連日雨続きで、少し気が滅入る。
トイレにでも行って、もう一度寝よう。そう思ってベッドから抜けると、そのまま台所を過ぎて、トイレに入る。
今は暗闇に目が慣れているので、電気はつけなくていい。
用を済ませてトイレから出て手を洗う。
寝室へ戻るとき、小窓から雷が光った。隣に、今スヤスヤと夢の中にいる彼を連れていたら、怯えて俺にしがみ付いていた事だろう。
そんな事を考えていたら、嫌な記憶まで思い出しそうになって、頭を振った。
寝室への扉を開けようと手をかけたが、変な事を考えてしまってか、このまま戻っても眠れないと思ってリビングへと足を運んだ。
ホットミルクを飲みながら、電気も付いていないリビングで一人、思考に浸る。
真夜中という事もあり、嫌な事ばかりが頭を過ぎってしまい、よく分からない内に涙が込み上げてくる。
自分はちゃんと愛されているのか。とか、あいつには嫌われていないだろうか。とか、また仕事でミスをしてあの時すごく怒られて嫌だったな。とか。
いつも日中には考えないようなネガティヴなことまで考えて泣いていたら、隣に俺がいないと分かって起きて来たらしい彼が、隣にそっと座ってきた。
「……よしよし。たっつんは偉いよ~。」
そう言いながら、優しい手つきで頭を撫でた。
「…じゃぱぱ。」
擦れた声で名前を呼ぶと、優しく抱きしめられた。
「疲れた日は、甘えて良いんだよ。疲れてなくても甘えてほしいけど。」
そう言って笑った顔は見えなかったけど、もう嫌な事は全部吹き飛んでいた。
「俺の隣で寝る人~?」
「ふふっ…。はーい。」
俺の変化に直ぐ気づいて、ちょっとだけ温かい言葉を添えてすぐ笑わせてくれる、君が好き。