「ねー!真広、陰陽師の集会とか興味ない?」
帰り道に琴巴が話しかけてきた。
「陰陽師の集会?」
「うん!定期的に陰陽師が集まって情報交換するの。ちょっとひとりだとさびしくてさ、いろんな話も聞けるから真広もどうかなって。」
うーん、どうしようかな。いろんな話が聞けるなら行こうかな。僕、陰陽師についてあんまり知らないし。
ー行ってみては?最近の情勢とかも知れると思いますよ。ぬらりひょん勢力やその他の勢力のこととかー
でも、危なくない?黒田家とかもいるかもしれないし。
ー基本的に土地神はいいもの、神聖やものと考えられているので、黒田家が憎んでいるあやかしとは違います。相当な悪人でなければ土地神とバレても手は出されないでしょう。それにあなたも強くなってきました。そうやすやすとやられないでしょうし、逃げられるでしょう。まぁ、絶対バレない方がいいですがー
面白い話も聞けるかもしれないから行ってみようかな。
「行ってみようかな。いい?」
「ほんと!ありがと!美味しいものとかも出るよ!あ、顔とかみられたくなかったらつけたら顔がわからなくなる顔を覆う札があるから貸すよ!」
僕がいつもつけてる紫が作ってくれた仮面みたいなやつかな?
「じゃあ、貸してもらおうかな。」
「わかった!じゃあ明日の夜にあるから学校終わって着替えたらうち来て!」
「わかった。」
「待ってるね!あと、その連れてる金魚は2匹とかの方がいいかも。そんなに引き連れてたら目立っちゃうから…あと、この間の猫ちゃんは絶対出したらダメだよ。出したら葉月家っていう式神が得意な家が真広のことたぶんスカウトしに追いかけてくるよ。まぁ、葉月家だけじゃなくいろんなところからスカウト来ると思うけど。」
あぁ、そういえばこの数を使役するのは異常なのか。
うん、あいつは出さん。
スカウトとかあるんだ。
「わかった!」
次の日
「あっ!真広待ってたよ。」
学校が終わって着替えてきたら琴巴と琴巴の父さん、お付きの人が数人待っていた。ちなみに家の前にリムジンが止まっているんだが…
まさかリムジンで行くのか?
「う、うん。待たせてごめん。今日はよろしくお願いします。」
「あぁ、真広君。はい、これが顔を隠す札だよ、渡しておくね。じゃあ早速行こうか。」
琴巴のお父さんから顔を覆う大きなお札を貰った。
そうしてみんなリムジンに乗り込んでいく。
すげー、本当にリムジンでいくんだ…
「ん?真広どうしたの?早く乗って。」
「あっ、うん。わかった。」
恐る恐るリムジンに乗った。
リムジンの中はとても広く、テーブルがあった。その上にはお菓子やジュースなどがあった。
リムジンの座り心地はとてもいい。
あと、僕だけ私服だけどいいのかな?
お付きの人はスーツで琴巴と琴巴の父さんは着物を着ている。
「琴巴の家ってお金持ちなの?」
「え?当たり前じゃん。私の家、陰陽師名家五家に数えられる名家だよ?結構すごいんだよ?」
そ、そうだったんだ。陰陽師って儲かるんだなぁ。
「真広の家だってお金持ってるでしょ?お爺さんが結構稼いでたはずだよ?だってあの赤舌っていう大妖怪を倒した人だもん。それだけで何十億は貰ってるはずだよ?」
「ん?ん?ん?ん?ま、まって?聞いたことないんだけど?」
な、何十億だと…?
「え?」
琴巴は首を傾げる。
「それほんと?」
「本当だよ。父上、赤舌討伐はそれくらい貰えますよね?」
「あぁ、貰ってると思うよ。でも、重蔵さんは被害に遭った人にもお金を渡していたからね。それに装備とかにもすごいお金を使ってた人だからね。どのくらい残ってたのかはわからないかなぁ。」
えー、そんなぁ。おじいちゃん、僕にも残しておいてくれよぉ。
いや、待てよ。流石に1、2億くらいは残ってるんじゃないか?
ー俗物ですねー
しょ、しょうがないだろぉー!
「あと、3,4時間はかかるからゆっくりしててね。」
「え?」
遠くない?
5時間後、僕たちはある大きなお屋敷の前についた。もうすっかり真っ暗である。
長いよ、途中渋滞してたし。
お屋敷の前にはいくつものリムジンが止まっている。
やっぱり陰陽師って儲かるんだなぁ。
「真広もう顔にお札つけときな。行くよ。」
琴巴にそう言われてお札をつける。
「う、うん。」
けっこうな人が集まって居る。
「真広君、黒田家には近づかないでね。危ないから。あの家はどこの家にも嫌われてるからね。まぁ、琴巴と一緒にいてね。」
「もちろんです。」
僕も嫌い。
お屋敷の中に入ると、さまざまな人がいた。式神も出している人もいるので、あやかしとたくさんの人間が一緒に食事をしているなんて、なんだか不思議な感じがする。
大きなテーブルがいくつも置いてあり、さまざまな美味しそうな料理がたくさん並んでいる。
「なんだかすごいね。」
「すごいでしょ。でも、気をつけてね。」
「あら、琴巴ちゃん!久しぶり!元気だった?」
「葉月 心さん!お久しぶりです。」
「まぁ、大きくなったねぇ。霊力も上がったわねぇ。強くなった、強くなった!」
なんだか陽気なおばさんが琴巴に話しかけてきた。
「ありがとうございます。」
「隣りの金魚ちゃんを連れてる彼は琴巴ちゃんの彼氏?」
「ちっ、違います!友達です!なんでそうなるんですか!真広は学校の友達で、真広も陰陽術の心得があったので、仲良く…」
「まぁ、必死になってかわいいわね!」
そういうと葉月 心は口元を押さえて頬を赤めて笑う。
「ち、ちがっ…」
「ふーん…」
そういうと葉月 心はこちらをじっと見つめて来た。
なんだか奥の方まで見透かされるような感じがする。
「へぇ、すごい霊圧ねぇ。あなた、うちに来ない?いい生活ができるわよぉ?」
「勧誘はやめてください。それと、あんまり真広を見ないでください。顔に札をつけてる意味がないじゃないですか。」
「ごめんなさいねぇ、人材発掘も当主の役目なの。真広君!いつでも連絡してね!」
そういうと名刺を渡してどこかに歩いて行った。
「今の人って…」
「名家五家の一つの葉月家当主よ。昨日話した式神が得意な家ね。ああ見えてとっても怖い人みたいだから気をつけてね。黒田家と一番仲が悪い家よ。」
「へー、そうなんだ。」
「あと、あそこにいるのが名家五家の一つ土御門家 当主の土御門 京介。あの家の先祖はかの有名な安倍晴明って言われてるのよ。」
「僕でも安倍晴明は知ってるよ。」
「ふふ、あなたのお爺さんも安倍晴明くらい有名で、みんな知ってるのよ。」
「え、そうなの?」
おじいちゃん、安倍晴明と並ぶくらい有名なの?
「本当にすごい人だったんだから。だからぜっったいバレちゃだめだよ。騒ぎになるから。」
「わかった!」
「あっ、今私の父上と話しているのが名家五家の一つ清華家 次期当主 清華 真二だよ。当主は清華 玄治 怖そうなおじいさんなの。時々風を操る特殊能力を持ってる生まれてくる人がいる家なの。」
「ふーん。」
やっぱりみんな強いのかなぁ?あの葉月さんは只者ではなさそうだったけど。
ザワザワ、ザワザワ
なんだか会場が騒がしくなった。
「来たわ、黒田家よ。」
「あの男の人が黒田家当主?」
黒い着物を来た30代くらいの男性の後ろを黒田夏美を含めた数人のお付きが歩いて来た。
「そう、あれが今どこからも嫌われているけど、最多の人数がいる名家五家の一つ黒田家 当主黒田司よ。近づいたらダメだからね。この間、ぬらりひょんを撃退して日本を混迷させている家よ。」
「司さん?今回のことどう責任取るつもりですか?」
黒田家一行が会場入りするとすぐに、さっきの葉月 心さんがお付きの数人と黒田家一行の行く手を阻んだ。
「責任とは?ぬらりひょんの方から攻めて来たのですよ?」
「あなた方が無計画に、そして不必要にあやかしを祓いまくっているからでしょう?」
「人にあだなすあやかしを狩るの必要なことです。それに計画的に狩っていますよ。」
「ええ、計画的でしょうね。今回、隠神刑部狸や、悪魔、吸血鬼ともすでに手を組んでぬらりひょんを迎え討ったとか。それってぬらりひょんに攻撃するようなにかしかけたってことでしょう?それにそんな連中と組むとか正気じゃないわ。」
ザワザワ、ザワザワ
「うそだろ?」「悪魔たちと手を組んだのか!?」「ぬらりひょんが攻撃してくる前から手を組んでいたってこと?確信犯じゃないか。」
「あなた方だってあやかしと仲がいいでしょう?同じことですよ?それにぬらりひょんは悪の親玉です。それを討ってなにが悪いのですか?」
「わからないのですか?ぬらりひょんが頂点にいたことで平和が保たれていたのです。祓うべき相手を見定めなさい。」
「あはは、それは平和とは言いません。それに、もちろん見定めて狩っていますよ。」
「では、この日本の混乱をどう鎮めるのですか?」
「そもそも、それがおかしいのです。なぜ1匹のあやかしを撃退に追いやった程度で日本が混乱するのですか?日本の闇の治安は私たちが守るべきでしょう?なぜ、ぬらりひょんが守っていたのです?それは我々の仕事のはずです!」
「妖怪とも協力し合い、尊重し合っていくことが大切なのです。」
やばい、めちゃくちゃ揉めてるよ。
絶対近づかないようにしよう。
あっちに、大トロの寿司があったなぁ。とりにいこーっと。
ドンっ!
「うわっ!」
僕は誰かにぶつかってしまい尻餅をついてしまった。
「大丈夫かね?」
そう言って、手を差し伸べたのは、髭が生えており怖い顔をしたお爺さんだった。
「あ、ありがとうございます。」
「儂もあっちの騒動を仲裁しに行こうとして前を見ていなかったすまんかったのお。」
あれ、顔は怖いけどいいお爺さんなのかな?
「ん?お主…」
そういうとこちらをじっと見つめてくる。
あっ、これさっき葉月 心さんと会った時と同じ感覚だ。でも、葉月 心さんの時よりも深く見られてる気がする。
「お主、名前は?」
「えっとー…」
「お主は、涼風君かね?」
「え!?なぜ僕のことを?」
「やはり!お主もしかして、涼風 真広か!」
あっ、しまったカマかけられてた。
「ちっ、違います!人違いです。」
「ええい!もう遅いわ!それにお主の目元は重蔵さんそっくりじゃ!」
辺りに風が舞い始める。
「この札で顔見えてないでしょう?」
「儂くらいになれば、集中すればそれくらいの札、透けて見えるわい!あぁ!まさかこんなところで会えるとは!」
この札意味ねーじゃん!
風はどんどん強くなりこちらに注目が集まり始めた。
ザワザワ、ザワザワ
「ねぇ、あれって。」「あぁ、清華家当主の清華 玄治様だ。」「なんかすごい興奮してるみたいだけど…」「あの子はどこの子だ?」
えっ!清華家って五家の一つじゃ…
「おっといかん!興奮しすぎてしもうた。真広、一回こっちに来なさい。」
そういうと真広の手を引いて歩き始めた。
「仲裁はしないでいいんですか!?」
「もうどうでもいいわい!どうせ、儂がせんでも、立花家の若造が仲裁に入るじゃろ。」
えぇー…そんなぁ。
あぁ、大トロ寿司もどんどん遠ざかって行く…
そうして真広は会場の外に連れ去られた。
ちなみに琴巴は黒田家と葉月家の騒動に夢中でこちらに気がついていなかった…
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