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私は満面の笑みでそう言った。
本当に大丈夫だと伝えたくて……
美味しいと言ってくれるだけで、ご飯を作った甲斐がある。洗濯も、龍聖君の下着を洗ったりして何だか照れるけれど、それも奥さんしかできないことだと思うと嬉しかった。
毎日ちゃんと自分の中で「夫婦ごっこ」ができている……だから、全然平気。
こちらこそお礼を言いたいくらいだ。
「琴音……」
何だかいつもと違う……龍聖君おかしいよ。
心臓がキュッとなる。
「わからないんだ。俺、仕事はすごく充実してる。それは間違いないのに、でも……何か足りないんだ」
「何か……足りない?」
「俺のすぐ近くに琴音がいて、毎日笑顔を見せてくれて、でも……」
「龍聖君、本当にどうしたの? やっぱり……あまりにも忙しいから気持ちが疲れてしまってるんじゃないかな? 無理し過ぎなのかも知れな……」
えっ……
胸の辺りを強く締め付けられる感覚で、私は龍聖君に抱きしめられていることに気づいた。
「ちょっ、ちょっと龍聖君?」
「琴音が欲しい、ここでしたい」
あまりにも甘すぎる声で囁かれた瞬間、力の入った私の体が恐ろしいスピードで熱くなり、そして、脱力した。
立っていられなくなった体を、龍聖君はソファに押し倒し、見下ろしながら私を見つめた。艶気のある瞳に惹き付けられ、その奥に映った自分に恥ずかしくなる。
龍聖君の顔が、この世のものとは思えないほど美しく、そして、妖しくて……言葉にできない感情が湧き上がり、私は思わず息をのんだ。
「こ、こんなのおかしいよ。急にどうしちゃったの?」
「理由が無いと抱いちゃダメか?」
あの日……
大学卒業の記念に、「最後の思い出」を作りたいと龍聖君は言った。
そうだよ……
この人は、恋愛感情が無くても女性を抱けるんだ。
「琴音が欲しくてたまらない」