テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
1
注意事項
・創作BL
・ストーカー 執着 エセ関西弁 要素あり
…登場人物…
主人公(男、受)
→柳楽 啓司(やぎら けいじ)、15歳。勉強に明け暮れる学生で、趣味は絵を描くこと。美術部所属。つり目が特徴の猫っぽい子、前髪ちょっと長めの黒髪。
先輩(男、攻)
→白雅 朝陽(はくが あさひ)、16歳。部活大好きの体力おばけの学生、趣味は啓司のストーカーをすること。美術部所属の金髪系メガネ男子、イケメン。
友人(男)
→佐久嶋 諒汰(さくしま りょうた)、15歳。毎日運動するほど運動好きの学生、趣味はバスケをすること。バスケ部所属の関西弁タイプ。
—————————————————–♡
いつも通り昼休みに友達の諒汰と話をしていた。この日はいつもより暑く、体操着姿の人が多かった。自分もその一人だけどな。
「今週の漫画見た?俺、ホンマに主人公の…」
毎週連載される漫画かと思いつつ、相槌を打ちながらの話を聞く。
いつにもまして、感心した様子で話していたため、どうにか聞き逃さないようにする。マシンガントークかよってくらい喋るし早口すぎ。
「啓司いる~?」
突然自分の名前を呼ばれて驚きつつ、扉の方を見てみると白雅先輩がいた。
「ごめん、ちょっといってくる」
「わかった、ほな気をつけてな 」
席から立ち上がって先輩の元に駆け寄る。
「どうしました?」
「あのな、頼み事なんだけどさ…」
声を潜めてから俺の耳に顔を近づけてこそっと話してきた。
「彼女役してくれない?」
先輩はそう言って、すぐに俺の耳から離れる。自分は思わず硬直してしまうも、すぐに我に返って先輩の目を見つめる。
「俺男ですよ、先輩」
「いや、女子に頼むのは無理だろ…」
何言ってんだこの人。
「友人とダブルデートするから、彼女のフリしろってことじゃないんですか?」
「そういうことじゃないんだ」
段々と頭が混乱してきそうだった。この人はなんで彼女役を頼んできたのか、それがきになって仕方ない。
「正確に言うと、彼女のシュミレーション手伝ってくれってこと」
「…はい?」
言っている意味が分からなくて、思わず聞き返してしまった。まぁ、確かにこの人語彙力低いけど。
どうやら、彼女が出来たときに上手く接したいから、代役として俺に頼んできたとの事だった。
「いきなりそんなこと言われても困りますよ、同級生か友人誘うのがベストでしょ」
少し眉間に皺を寄せる。すると、先輩は焦ったように目を泳がせるも、すぐに目を合わせてくる。
「た、頼む…お前にしか頼めない」
少し考えた末に、口を開く。
「いいですけど、いくらくれるんですか」
「金取るのかよ」
そうして、俺は先輩の彼女役となった。
あまり乗り気ではなかったが、絶対他の人に言わないと念押もされたため、結局了承してしまった。
こういう所が、甘いんだろうな俺。
「また部活でな」
「はい」
先輩は話が終わると廊下を走っていき、俺は自分の席に戻って再び諒汰と話す。
「なぁ、さっき何話しとったんよ」
「別になんでもない」
素っ気なくそう返すと、諒汰は渋々了承していた。
「ところでさ、次の授業って理科やっけ?」
「あー、うん。理科室行かなきゃだし、もう行こう」
自分たちは荷物を持って教室から出る前、ついでに電気を消しておく。そして、理科室に向かって、そこで授業を受けて、無事に放課後となる。
放課後、帰りの支度をしているときに、少し嫌な予感がして筆箱の中身を見てみる。
「…あれ、ボールペンない」
「理科室に落としてきたんとちゃう?探してこいよ…最近、無くし物多いなぁ。この前、ハンカチ無くしてたやん」
「そうか?まぁいいや、探しに行ってくる。また明日な」
「また明日~」
諒汰と別れ、廊下を出て荷物を持ったまま理科室へと向かう。
最近自分は無くし物というか落とし物というか…そういうのが前に比べて増えた気がする。既に、ハンカチ1枚とシャーペン2本を無くしていたから。しかも今月中。
理科室に着いたので、取っ手に手をかけると珍しく開いていた。本来鍵がかかっているはずなのに…。
「…あれ、先輩?」
理科室の中には白雅先輩がいた。
「あ、啓司じゃん。ここに用でもあるの?」
「えと、ボールペンここで落としたかもしれなくて…三色ボールペンありませんでした?」
「いや、別になかったぞ」
先輩が後ろに手を置いていたので、怪しいと思った自分は先輩に近づく。
「先輩、手出してください。持ってますよね?」
「持ってねぇよ、ほら 」
両手を差し出してくるも、確かにボールペンはない。ポケットに入っているかもと思い、後ろや横のポケットを見てみるも、入って無さそうだ。
「てか先輩、上にジャージ着てて暑くないんですか?」
「…部活で絵の具使うから、体操服汚したくなくてさ」
「そうですか」
先輩から離れて、自分の座席ら辺のところを探してみるも、ボールペンが見つかることはなかった。
多少腹がたちながらも、先輩と一緒に美術室に向かう。
「先輩、本当にボールペンありませんでしたか?」
疑わしいったらありゃしない。
「まじでなかったってば…信じてくれよ」
そう言って、先輩は口を軽く尖らせていた。変な顔だなと思いつつ、口には出さない。
美術室に着いたあと、各々コンクールのために絵を描き始める。コンクールの出品は1ヶ月半ほど先なので、ほぼ皆喋りながら描いていた。そういう俺も先輩と喋りながら絵を描いていた。失敗したくなかったので時々話すくらいだったが…。
「つか先輩の髪って、それ地毛なんですか。思いっきり金髪ですけど」
「え?思いっきり染めてるよこれ」
平気でこの人は校則違反をしている。
「親に怒られそうですねそれ」
「怒られたよ」
「え?」
「怒られたって」
思わず先輩の方を向いてしまったじゃないか。それに、2度も同じことを言わんでいい。
「なんだあんた」
「てへぺろ」
「きっしょ」
「えーん、俺傷ついたぁ!慰謝料500万頂戴案件なのと熱いちゅーしろ」
軽く笑いつつ、キャンパスに色の着いた筆を滑らせていく。そうすると、目線は自然とキャンパスに向く。
「代償でかすぎませんか。どっちも無理です」
「啓司、今笑ったな?よかった笑ってくれて…このまま滑るとこだった」
この人は面白いから、いい先輩だとつくづく思う。たまに調子乗りすぎてると、普通に腹たってくるけど。
そうして、下校時刻まで俺たちは喋りながら絵を描いていった。
「そろそろ片付けよう、下校時刻近いし」
「分かりました」
ふと、先輩の手元を見てみると、ジャージに絵の具が着いている気がした。気になったので、先輩の手首の近くを掴んで、俺の方に向けてみる。
「…あ、絵の具ついてますよ」
「え?あー、ほんとだ」
見間違えじゃないことを確認できたから手を離そうと思ったが…なにか鉛筆?のようなものがあることに気づいた。おそらく、ジャージの中だろう。
自分は先輩の腕をジャージ越しに触ってみると、ペンのような形である。
「お、おい…なんだよ」
手首の方から、ジャージに手を突っ込んでみる。すると、先輩のジャージから自分の無くしたはずのボールペンがでてきた。
「あー、バレちゃった…ドッキリ大成功!」
「ビビらせないでくださいよ…ジャージの中にしまってるとは思いませんでした」
先輩に呆れながらも、ボールペンが見つかって一安心した。
すぐに片付け終わったので、先輩の方を見てみると、なんというか目が怖かった。無表情だけならまだ良かったが、目がかなり睨んでいるような感じであった。
「せ、先輩。なんか手伝いましょか?」
「放課後、家来てよ」
いつの間にか先輩の目つきは元に戻っていた。
「え、あぁ、はい」
そうして、片付けを終わらせたあと、俺たちは約束通り家に向かった。
道中、先輩が俺の手をそっと取って恋人繋ぎをしてきた。困惑しつつも、とりあえず指を絡めておく。
「どう?ドキッとした?」
「いや、困惑しかしませんでしたよ」
「えー、普通はドキッとして恋に落ちて…ってのが定番だろ」
真剣なのかふざけてるのか、その顔はどっちなんだ。
「好きな人ならなりそうですけどね」
「え、好きな人いるの?」
あ、口が滑った。
そう思ったときには時すでに遅し。先輩はニヤニヤと笑いながら、少しだけ顔を近づけてきた。
「好きな人誰?どんな人?女?男?」
「質問攻めしないでください」
「気になるからいいじゃん、それかタイプの人教えてよ」
「…優しくて面白い人ですかね」
「完全に俺じゃん」
「先輩のこと殴りたくなってきました」
気づけば、先輩の家の前に着いていた。
「あ、もう着いちゃったか 」
先輩はそっと俺から手を離して、玄関の鍵口に鍵を差し込んだあと、ガチャっと音がした。 そして扉が開くと、先輩は先に入っていき、俺もその後に続いて入った。