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⚠︎注意⚠︎
・眉ラン×英
・CP<兄弟愛
・uk四兄弟バチボコ不仲
・暴力的表現有り
・コンプレックス表現
・何でも許せる歓迎
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周りから見れば、それは酷く歪で、細く、今この瞬間にでさえ、プツンと切れてしまいそうな程脆い糸。
そして、当事者から見たそれは、他人が見るより、更に脆い糸。
その筈なのに、何度手を伸ばし、掴み、切ろうとしても、痛みを感じるほど引っ張っても、それは音も立てず、細いままの糸。
そんな、不安定で、分からない糸は、今日も歪のまま伸びている。
◇◇◇◇◇◇◇◇
時は一年前。その四兄弟の柵に、ひび割れが生じた年。 長男は高校二年生。次男、三男は高校一年生。末弟は中学三年生だった頃。
その一家┈カークランド家は、優秀な家庭だった。各々が突出した能力を持ち、頭脳明晰だった。
その四兄弟も、両親の遺伝子を色濃く受け継ぎ、周りから見れば、完璧な兄弟だった。
ただ、末弟┈アーサーだけは、そうとして見れなかった。
生まれ、物心ついた時から、優秀な兄が三人、それは言わば大きな壁で、越えられず、永遠と自分の前に立ちはだかっていた。
自分が一つの事を覚えるうちに、兄は二つ、三つの事を覚える。
それは、もとより自虐的な性格だったアーサーを、よりそうさせていく。
両親も兄も、優しい人物だった。だから、最初は、アーサーも心を病むことなく、家族と笑顔で交流していた。
ただ、周りだけはそうでない。周りは、一番と最下位を比べたがる。カークランド家での最下位は、言わずもがなアーサーだった。
自分が何かを失敗する度耳に入れなければならない、「お前の兄なら出来ていた」という言葉が、アーサーにとって毒でしか無かった。 そんな事、アーサーが一番理解していたのだ。
何かを成功させても、「カークランド家なら当然」と、” 才能 “という言葉で片付けれらるのが、屈辱的でしか無かった。
アーサーに限らず、カークランド家は、みな努力家の一家だった。
才能という言葉で片付けられ度、アーサーは、自分だけでなく、兄や両親の努力さえ、踏み躙られている気分に陥っていた。
そんな感情、不快感が積もり行き、アーサーが中学三年生の時、それはまるで土砂の様に流れた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
その雨の日は、テストの順位が発表される日だった。
アーサーの目に映る順位表。そこにある自分の名前。そこは、惜しくも二位と記されている。
アーサーは 二位が嫌いな訳では無い。兄も両親も、きっと頑張ったね、と言って褒めてくれる。それを、アーサー本人も分かっていた。
ただ、当時の担任から言われた言葉。
「お前の兄は、全員一位だそうだ。お前だけだぞ、出来ていないのは」
” お前だけ “その言葉に、アーサーは勝つ事が出来なかった。自分の努力が、実ることは無く、否定された様な気がした。耳の中を不快な音がザワめいている気がして、いたたまれなかった。
担任が言った言葉が、何度も頭の中で再生され続けている中、その日も、何時もと変わらない、優しい笑みを浮かべた兄が、中等部の校舎に来た時、その糸は細まった。
「あーくん、テストどうだった?」
なんの事情も知らない、純粋に、弟の結果を褒めたかった兄┈ウェルの言葉が、アーサーの胸に突き刺さった。
「…兄さん達からすれば、きっと、酷い順位だよ」
自分の中では、酷くいい順位なのだ。でも、いつだって一番になる兄からすれば、悪いに決まっている。アーサーは、自虐的な意味でほくそ笑んだ。
そんな弟の様子を見て、兄達は心配そうに眉尻を下げた。
「大丈夫?」と、優しく声を掛けながら、近寄ってくる兄┈ノースの手を、アーサーは力強く弾いた。
その音は、静かな校舎内に、大きく響き、差し伸べられた手は、薄く赤くなっていたた。
叩かれた本人であるノースも、傍観者であったウェルも、長男┈スコットも、周りにいた生徒でさえ、目を見開いた。
周りの視線が一点、自分に集中していることを気にする事無く、アーサーはエメラルド色の瞳から、雫を流した。
「俺に関わるな、近寄るな、話しかけるな」
肩に掛けられた鞄を、爪が白くなる程強く、アーサーは握りしめた。
「兄さん達が努力すればするほど、俺は、もっと努力しなきゃいけなくなる。兄さん達が凄すぎるから、俺は凄くなれない」
何時もは、明るく、よく通るアーサーの声が、この時は酷くかすれていた。
「こんな必死に、努力してるのに…」
それは、兄も同じだという事を、アーサーは誰よりも分かっていた。
それでも、一度流れ出した土砂は、何かの壁が無ければ止まらない。それも、分厚く、強固な壁でなくば。
兄達とよく似ていて、少し違う制服に、黒ずんだシミが出来ることも構わず、目元が赤くなる事も厭わず、アーサーは強く瞳を拭った。
そんな弟の姿を見て、兄は何かを言おうとした。
しかし、アーサーはその言葉を聞かぬよう、傘立てに差し込まれた儘の、兄とお揃いの色をした傘をささず、雨の中を走っていった。
兄が直そうとした糸。それは、アーサーが拒んだのだ。
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♡下さい…🙇🏻♀️
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コメント
10件
あぁぁぁぁぁ…アーサーを拒絶しないで嫌ってない眉ランは普段ない栄養がありすぎてぇ過剰摂取で倒れそう…好きすぎるぅ
ヒィィィィィィィッ!!! コンプレックスの書き方が最高すぎる… しかもちゃんと努力型で… 兄弟愛もあって…!!!! 好きです最高ですありがとうございます
ああああ、悲しすぎる…続編待ってます…