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ギゅが薬やり過ぎておかしくなってます。
なので🈂️が死んだ(殺した)のに気づいてません!
꒰ ♡ ꒱ - - - - -
トイレの中。
トイレの床は赤い血で染まっていて、サノスの首元には深く潜ったフォークが刺さっていた。
床に広がる血は透明感のある赤色で、とてもとは言えないが凄く、綺麗だった。
「⋯⋯俺なしで生きていけるハズないのに、
何なんだよその態度は?⋯⋯
頭おかしいんじゃないのか⋯⋯いつまでも⋯見下しやがって⋯⋯クソ、クソ、クソ!!」
胸ぐらを掴んだ手に、力がこもる。
指先が白くなるほど、ナムギュはサノスの服を握りしめていた。
サノスは一言も発さず、無表情のままナムギュを見ていた。
その無機質な瞳が──何よりも癪に障る。何も言わないその態度が、まるで「どうでもいい」と言っているようで。
「なんで⋯⋯なんで、そんな顔できんだよ」
ナムギュの喉が震える。
「おれがどんな状態か、わかってんだろ?見てたろ?あんた、全部見てたくせに……っ」
目の奥が痛む。
吐き気がする。喉が渇く。
薬を切らした身体は、もうまともに保てていない。
「眠れねぇし、吐き気も、震えも止まんねぇんだよ⋯⋯
でもそれでも、おれ、、俺はまだ、生きたいって思ってんだよ⋯!」
声が、擦れて消えた。
感情が先に行き過ぎて、言葉が追いつかない。
「⋯あんたに言われたくなかった」
ナムギュは、低く言った。
「“お前はもういらねぇ”なんて⋯⋯言われたくなかった。
誰よりも、あんたにだけは……」
拳が震える。
「⋯なんで、そんな顔できんだよ⋯⋯クソが⋯⋯」
その言葉に、サノスは瞬きを一つ落とした。
けれど、やっぱり言葉は返ってこない。
ナムギュを責めるでも、宥めるでも、否定するでもない。
ただ、黙って受け止めるだけの、透明な無表情。
それが、一番ナムギュを狂わせた。
「俺だけが、おかしいみたいな顔すんなよ⋯⋯」
「⋯⋯俺が、ここで何を飲み込んできたかも知らねぇくせに⋯」
ぶつけたい。
壊したい。
このどうしようもない自分を、何も言わないあいつを、
全部、全部──どうでもよくなってしまいたい。
けれどその一線を超えられなかったナムギュは、
崩れるように手を放した。
掴んでいたサノスの胸元が、ぐしゃりと音を立ててしわくちゃになった。
ナムギュの呼吸だけが、部屋に残る。
「⋯⋯なあ、サノス」
「俺、おかしいのか?」
静かに問う声に、やっぱり返事はなかった。
けれどその無言が、まるで肯定のようで──
ナムギュは笑った。泣きそうな、苦しい声で。
「……ああ、やっぱおれ、終わってんな」
言い捨てて、ふらつく足取りで背を向ける。
その背中を、サノスは追いかけなかった。
いや、追いかけられなかった。
ただ、ずっと、最後の瞬間まで黙って見つめていた。