「カナリヤの殺人」
両角斑羅
真っ暗なこの世の中に産み落とされたその時、人生というものは既に定められている。どう生きるのかと何を目指し手を伸ばすのかも。その世の中ある一つの問題が原因で私の人生は変貌を遂げた。
2021年10月30日 岩手県
第一章『起点』
私の生きる町には何かが起きる。それには『前触れ』は見えないようにも思えるが私だけには『匂い』でわかる。錆び付いたような血のような味の匂いが。私のこの力を警察や刑事に役立てるとみんなはそういうがそんな気は尚更起きやしない。将来は就職志望の高校生だがミステリーは憧れるような風貌では無いしそういう性格もない。ミステリーには心が惹かれないのだ。
私は平穏な日々にコーヒーか紅茶を注ぎ、自分の考えた世界を紙に書き留めることが一番の趣味であり、唯一の心の置き場なのだ。こうやって無理やり体を鎖に止める世の中は嫌いなのだ。私は中で生きたいといつも願っている。今日は土曜日で前触れの匂いは一切しないので家の中の自分の部屋にこもり作品を生み出すことにした。
家系図は母は仕事に出かけ、父は私が8歳の時に仕事で亡くなった。警察官だったけど追いかけていた犯人に銃で打たれて死亡したんだって。父があの場にいなければ今は私と一緒に映画や買い物に行っているに違いない。だけど、今はあの人がいないから大黒柱は母が担い続けている。私も支えてあげたいけれど、未熟な私は支えにもなりやしない。
こういう時には物語を創るに限る。そう考えると私は原稿用紙を用意し鉛筆を右手に握り物語を描く。今という名の儚い時を刻みながら。
『カナリア』
花江美幸(はなえ みゆき)作
私が生きる時間にはいつもあの人がそばにいる。そしてその人にはいつも殺気と血の匂いがする。でも私はあの人のことが忘れられない。そして同じ日々がやってくる。
平成26年7月21日 朝
目覚めると共に気だるさと生きるということに感じられる重苦しさが17歳の私の体を縛るように感じる。
「陽薙(ひな)ぁぁぁぁ!今何時だと思ってるの!?いい加減起きなさい!!」
母の声がベットで寝ていた私の頭を横切った。私は乗り気でない体をゆっくり動かし準備を整え学校に向かう。人の多く乗る電車やバスに揺られながら学校へ到着する。のらりくらりと廊下を歩くとある者に衝突する。
「きゃァァァァ!」
「ん!す、すみません。怪我をさせてしまいましたか?」
「い、いいえ。はっ、逆に大丈夫ですか!?」
「ええ、私は平気です。すみません。考え事をしていたせいで。」
相手の風貌は、丸顔に黒髪に紛れて白の毛がちょこちょこと生えている。身長は175cmくらいの清潔感のある青年である。見た目でわかる先輩である。
「いえいえ、全然大丈夫ですよ!ん?」
「ん?どうなさいましたか?」
「い、いいえ!」(この人、なんか変な匂いがする。この匂い、まるで血のような匂いが。)
「すみません。今度からは前を見るように気をつけます。」 男性はにこやかにその場を去る。
一方私は教室に向かおうとすると同時に男性が向かってきた道の匂いを辿ると男子更衣室にたどり着いた。扉を開けると、そこには鋭利のもので首を切られた生徒の姿がそこにはあり、私はその光景に驚きを隠すことが出来ず悲鳴をあげてしまった。生徒の手元には自分がやりましたと証拠を残すように包丁を持っていた。
私は小説を書く手を止め目の前にあるコーヒーカップに手を伸ばし一口飲み込む。すると目が暈け疲労が溜まっていることを確認すると私は今日の作業をやめることを決めた。準備を済ませ夕ご飯とお風呂を済ませると私は直ぐに布団に入り睡眠をとった。
明日になると気だるさと重苦しさを感じながら起き、パジャマから制服に着替え、朝食を素早く食べ終え、カバンを持ち外へ出た。電車に揺られながらスマホで最新ニュースや好きな作品のグッズ等を見ながら学校へのらりくらりと向かい、昇降口まで到着する。下駄箱に入っている靴と履き替えて自分の教室へのらりくらりと歩きながら向かう。
すると何処からか分からないが私の元へ『前触れ』が訪れた。私はその匂いの出てる方へと向かいその部屋の扉の前で私は立ち止まった。その部屋は、男子更衣室であり、昨日、私が書いていた小説のように感じられた。でも私はまぐれだと感じ部屋の扉を開けた。中には鋭利のもので首を切られた生徒の姿がそこにはあり、手には包丁を握っていた。それを見た私は驚きと悲鳴を隠すことが出来ず大声で悲鳴をあげた。その声は学校中に響きわたり今後の物語を大きく変える『起点』である。
第一章『起点』終わり
コメント
3件
おもれぇぇぇぇ!