テラーノベル
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「一ノ瀬くん」
「一ノ瀬くん?」
「ねぇ、一ノ瀬くん」
毎日、猫咲さんは俺に会いにくるようになった。毎回距離は近いし、俺の耳や顎とかをなぞるように触ってくる。
しかも毎回、俺と2人っきりの時に。
「…ほんと何がしてぇんだよ」
「強いていうなら君の口からとある言葉が聞きたいだけですよ」
「ひゃぁっ!!ね…前髪パイセンっ」
急に聞こえた声に四季は肩を跳ねさせて驚く。
(ひゃあって、可愛いな…コイツ)
「そのまま猫咲って呼んでくれても良いんですよ?」
「だ、っだいじょうぶ」
首を左右に振り耳を染めながらも、断る四季。そんな姿を見て猫咲は腹がたった。
良い加減言ってこいよ。そんな思いが籠ったまま直ぐそこにあった空き部屋に四季を入れた。
鍵を閉めて、2人だけの逃げられない空間を作った。
「えっ、前髪パイセン!」
「一ノ瀬くん、君は一体いつになったら言うんですか?」
「なっ!何を…」
「隠してますよね?」
四季の肩が再度大きく跳ねる、バレていたのか。と。そして本人が知っていたのかと…。顔に熱が集まり赤くなっていると見なくてもわかる。
四季を見た猫咲は楽しそうに笑った。
「なぁ…もう正直になろうぜ?」
「一ノ瀬くん」
息を止めていたかのように口を開けて、息を吸い込んだ四季。
「ひっ、引いたりしない…?」
「聞き出しといてそんなことはしない」
ギュッと瞼を閉じて恥ずかしさに潤む瞳を隠し、目尻に涙を溜めて四季は覚悟を決めた。
「っ俺、ま…」
「猫咲先輩のことが、好きっ!!」
「あの壁ドンの時からじゃなくて、雪山ん時から!顔だけじゃねーし」
「声もだし、猫咲先輩はカッケーし、目も綺麗だし、めっちゃ尊敬できんなって思ってたんだけど」
「気付いたらなんか、尊敬じゃなくなっててっ!だから、そのッ」
一度言い始めたら勢いでずっと口を動かしている四季。止まったら自分の言っていた事の恥ずかしさを認識してしまいそうで言っていたのに。
その口は猫咲によって塞がれた。
手ではなく、唇で。
何事かと目を開けた四季の視界には猫咲の目が映っている。猫咲の薄い色彩が紺色で満たされている、そうさせているのは四季の紺色の瞳だ。
「ッ〜〜!?」
「よくできたじゃねぇかよ、一ノ瀬」
興奮で舌なめずりをする猫咲、再度深く口を塞がれる。
蜜のような甘い唾液と、すぐ近くに感じる猫咲の匂いに四季は酸欠のような感覚に陥る。
『漸く、満たされた。』
猫咲の思考を四季は知らない。
四季君が先に折れたver
猫咲さんの目の色って何色だったかご存知の方いらっしゃいます?
検索しなきゃと思い続けて早1週結局せずに書き上げちゃいました…
次回は猫咲さんが先に折れるパターンです!!
コメント
41件
めっちゃ良かった♡ 波久礼さん四季くんに言わせてるの最高!はぐしき尊いね〜
雨満さんのお陰で1番好きなカプになりましたヨイショ
