第12話「絆を紡ぐ旅」
蒼と美月は、再び未来ノートを手に取った。そして、これまで共に過ごした日々や、乗り越えてきた試練を思い返しながら、一度原点に戻ろうと決意した。二人の絆をさらに強固なものにするために、彼らは幼い頃や過去に特別な意味を持った場所を訪れる「思い出の旅」を計画する。
最初に訪れたのは、二人が幼少期に星空を見上げながら未来を語り合った公園だった。公園の古びたベンチに腰掛けながら、美月は懐かしそうに周囲を見渡し、静かに呟いた。 「ここで、蒼と初めて未来ノートを作ったんだよね。」 蒼も微笑みながら頷く。 「ああ、ここからすべてが始まった。俺たちが描いた未来、少しずつ形になってる気がする。」
次に向かったのは、美月が子供の頃によく通っていた図書館。蒼はそこで、彼女が好きだった本を探しながら話しかけた。 「この本、まだ覚えてる?いつもここで読んでたよな。」 美月はその本を手に取り、懐かしそうに微笑む。 「そう、蒼が読み聞かせをしてくれたこともあったよね。」
思い出の場所を巡る中で、二人は過去の小さなエピソードを一つ一つ思い返し、それぞれの心が再び温かく満たされていくのを感じた。
最後に訪れたのは、二人が以前に一緒に見た夕焼けが広がる丘。そこでは、蒼がふと立ち止まり、美月に向き合いながら言葉を口にした。 「美月、俺たちはたくさんの試練を乗り越えてきたけど、これからもきっといろんな困難があると思う。でも、どんな時でも一緒にいよう。」 美月は静かに頷き、蒼の手をしっかりと握った。 「うん、私も。一緒なら、どんな未来でも怖くないよ。」
その旅を終えた夜、二人は未来ノートに新たなページを開き、「これからも一緒に、どんな時でも支え合う」と書き加えた。今回の旅を通じて、二人の絆はこれまで以上に強く、深いものとなった。