テラーノベル
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私は文野環。
今日はね、事務所に呼ばれたから急いで行かなきゃなの。ほんと、いつも急すぎるのよ。もっと前から伝えといてよね。ふふん。
「あれ?なんだか……、めまいが……」
大変!もう事務所は見えてるのに、すごく目が回ってきちゃった。もしかしたら熱中症?かしら。水筒を持ってくるべきだったわね……。
足元がふらつく。視界もぐにゃりと揺れて、うまく前を見られない。
だんだんまともに立てなくなってきて、その場で倒れ込んじゃう。暑いし、もう死んじゃうのかな……。わたし。
「たすけて……」
囁くように呟く。こんな声、誰にも届くはずがないのに。
……眠い。でも、ここで寝ちゃったらダメな気がする……。
誰か、誰かぁ。
もう、諦めようかな。瞼を閉じ、意識を手放す寸前、
『猫ちゃん、?!……文野環!?』
聞き慣れた声が聞こえた。
「剣、持さん……?」
『ちょ、大丈夫?!しっかりして!!
……アッツ!?水は?!ない?じゃあ僕のやつ飲んで!!』
寝そべっている私の上半身を起こし、少しずつ水を飲ませてくれる。飲み込めなかった水が地面に落ち、静かに湿った音を立てている。
『ちょっとだけでいいから、飲める?』
とても剣持さんとは思えない優しい声だった。私はコクリと頷き、口の中の水を体内に流し込んだ。
この出来事、絶対後でフミちゃんに話そう。
『…ちょっ、と失礼』
剣持さんはグラつかないよう私の腰を持ち、ゆっくりと事務所までの道を辿っていく。こんなに介護してもらって、なんだか申し訳ないな。
◇◇◇◇
『ん、ここの部屋のエアコンすぐに効くと思うから、安静にしててね』
そう言ってエアコンの温度を下げてくれた。冷えピタみたいなのも乗っけてくれて、すっかり気分も良くなってきた気がする。
「剣持さん、ありがと」
お礼を言うと剣持さんは満足そうに頷いた。
暫く暇だな〜としっぽをぴょこぴょこさせ遊んでいると、スマホの通知音が聞こえた。ここにはスマホ持ってきてないから、剣持さんのスマホからかしら。そういえばスマホどこに置いたっけ。倒れる前まで持っていた気がするんだけど。
『あ、ちょっとだけここで待っててくれる?』
「? わかったわよ」
『すぐ戻ってくるね』
そう言って早足でどっか行っちゃった。何をしに行くんだろう。
『お待たせ』
「何しに行ってたの?」
『……んーとね、予定空けてもらった』
「えっ」
予定を空けてもらった?私のために?
「えっ、それって」
『勘違いするなよ。僕は休みが欲しかっただけだ。別に猫ちゃんのためじゃないから。ていうか、僕がこういう事したの、ほかの二期生に言うなよ。絶対だぞ』
ギリギリ聞き取れるような早口で剣持さんは言った。そっか、私のためじゃないんだ。でも、看病してくれたことには変わりないし。それにしても
「フミちゃんには言っていい?」
『駄目に決まってんだろ!!』
ダメだった。
じゃあ、配信のネタにしようかな。
コメント
1件
わあ〜〜第1話からもう尊すぎる!!😭💕 剣持さんのツンデレ介護、まじで胸キュン不可避だった…「僕のためじゃないから」って早口で言い訳するところ、完全に好きすぎるやつじゃん!!笑 環ちゃんの「フミちゃんには言っていい?」→「だめ」の流れも最高すぎて、続きが気になって仕方ないよ〜〜!!🌸✨