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「酸素ってさ、毒なんだよ」
「は?」
何を言っているんだこいつは。
馬鹿みたいなことを言っているこいつは俺の幼なじみで期末テストでは一応上位に入るやつだ。
頭でも打ったのだろうか。
理科室の窓から空を眺めながら呟いたそれについて詳しく話す。
聞いてないんだが。
「酸素は毒で、でも人を殺すのに80年とかかかっちゃってるらしい 」
「どこの情報だよそれつまんね」
こいつにしてはつまらない冗談だ。
クラスの中心でみんなを笑顔にしているやつの話とは思えない。
「話すことなくて狂ったか?」
「なわけないだろばーか」
こいつが急に理科室行こうぜとか言うから相談でもあるのかと心配した俺が馬鹿だったか。
「やることないなら帰ってうちでゲームしようぜ」
「おう、」
ゆったり帰る準備を始める。
すっかり太陽も傾いて、先生に早く帰れと急かされる。
せっかく理科室に来たなら隠れて薬品でも触ればよかったかな。
ま、今はこいつをゲームで負かせることが最重要事項だな。
「ほら早く、ほらほら!」
ふざけ混じりで急かす。
いつもだったら笑うあいつも今日は呆れた感じでつまらない。
次の日
あいつが死んだ。
死んだというより行方不明らしいが、部屋に遺書があったらしい。
ほんと馬鹿だよな。
遺書に書いてあったのはpc見んなよ、だとよ。
そんなこと書いてなかったさ、。
あいつらしく最後まで馬鹿らしくふざけてればよかったのによ。
至って真面目な遺書だったよ。
『俺は酸素に殺された。酸素というより空気に。ふざけキャラというのが疲れたんだ。何を言ってもいじられて、全部笑われて。みんなを笑わせないといけなくて。隣にはずっと友達。』
『俺は俺が分からなくなった。俺は一体誰なんだ。俺はスバルか。スバちゃんか。』
『俺は80年かかんなかったみたいだわ。』
抜粋したがこんな感じだった。
スバちゃん、いじられる時はそう呼ばれていた。
物心つくころからあいつは、スバルはみんなからいじられていた。
授業中でもいつでも先生も笑われた。
スバルも嬉しそうにしてた。
いや、嬉しそうに見せてたのか。
初めて聞いたよあいつの本音。
昨日、相談を、そのことを俺に話そうとしたんじゃ。
悪い事をした。
俺が殺したも同然じゃないか。
俺もあいつをいじることは多かった。
よく隣にいたから。
俺が殺したも同然?
ちがう、
おれがころしたんだ
スバルをいじられ役にしたのは俺だ
おれが、
スバちゃんと名ずけたのもおれだ
そうか、演じさせたのも我慢させたのも。
全部、全部おれだ。
遺書は俺に向けてだ、全部。
あいつを殺したのは酸素でも空気でもない。
俺だ。
俺が酸素だった。